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エンゲージメント

ヒューマンバリューでは、エンゲージメントを『「組織」と「個人」が共に成長し、貢献しあう関係』と定義しています。

2019年、個人と組織がより対等な関係を築くようになった時代の潮流を踏まえ、これまで蓄積してきたエンゲージメントに関わるデータやリサーチによる仮説をもとに、ビジネスパーソン1万人を対象としたアンケート調査を行いました。その結果をもとに、エンゲージメントのモデルを再検証し、2020年にエンゲージメント・サーベイをアップデートしました。

調査の結果から、エンゲージメントに関わる個人の状態(エンゲージメント・マインドセット)5項目と、組織の状況(エンゲージメント・カルチャー)9項目を定義しました。

エンゲージメントが求められる社会的背景

現在の企業を取り巻くビジネス環境は、VUCAという言葉で表されるように、不安定で変化が激しく(Volatility)、先が読めず不確実性が高く(Uncertainty)、複雑で(Complexity)、曖昧(Ambiguity)です。そのような環境の中では、一部の優秀な人材が、正解を導き出し、その他の人々はそれに従うというような従来のピラミッド型の企業形態や企業文化では、新たな価値を創造し続けることや継続的に成果を高めることが難しくなってきています。

また、個人の働き方においても、現在は「人生100年時代」と呼ばれ、単に所属する組織に身を委ねるのではなく、自分自身に合った働き方・キャリアを、自律的に構築していくことが求められる時代となりました。

こうした時代の中で、変化を捉え、進化し続けている企業は、人と組織の新たな関係性を模索しています。それは、従来のような「雇用される側」と「雇用する側」に分かれ、組織に対して人が従属するような関係性から、組織のビジョンやバリュー、人・組織のあり方・哲学を軸に、人と組織が対等な立場で関わり合う関係性へのシフトでもあります。

新たな関係性へシフトしていくには、組織は、一人ひとりの主体性が生かされ、多様な人々の力が最大限に発揮されるように、組織形態、チームの関係性、マネジメントのあり方といった企業文化を問い直す必要があります。また、個人は自身の「仕事・生き方・働き方」に対する捉え方などのマインドセットを認識し、自分らしく組織や社会に関われる状態を探求する必要があります。

そうした変化の中で、「エンゲージメント」が今、あらためて注目されています。

エンゲージメントとは

ヒューマンバリューでは、エンゲージメントを『「組織」と「個人」が共に成長し、貢献しあう関係』と定義しています。

エンゲージメントの概念も、時代とともに変化しています。「エンゲージメント」は当初、自組織の生産性を高めることやパフォーマンスを発揮してくれる人材を引き止めるための重要な指標、つまり、企業を中心においた関係性(カンパニー・センタード)の概念として捉えられる傾向にありました。

しかし、組織のあり方が多様化し、人と組織がより対等な関係で価値を生み出していく現在の状況では、「組織と個人が共に成長する」ことが重要となってきています。
こうした変化を受けて、エンゲージメントの概念も、個人の多様な強み・価値観・人間性の発揮や人々との関わり合いを中心においた関係性(ピープル・センタード)から、捉え直すことが大切になっています。

こうした、個人と組織が共に成長に貢献しあう関係性(エンゲージメント)は、どちらか一方の努力だけでは、継続的に育むことはできません。
組織で働く多様な人々が、「自身はこの組織でどのように貢献したいのか」「自組織に求められている変化とは何か」「組織や個人はどのようにつながり、関係を育んでいくのか」を共に探求し、個人と組織が生成的に変化していくことが大切です。