リサーチ

「アジャイル組織開発(アジャイルODx)」に関するテーマ探究と共有

いま、人々が主体性と創造性を発揮して、自律的に実験と学習を繰り返して進化していくアジャイルな振る舞いを、組織の構造や運営に取り込んでいくことが求められています。私たちは、その取り組みを「アジャイル組織開発(アジャイルODx)」と呼んで、検討すべきテーマを立てて、探究と発信を行っています。ぜひご一読いただき、皆さまの活動の参考にしていただければ幸いです。

組織に自律分散型組織の強さを取り込み、アジャイルな振る舞いを獲得する

多くの企業がいま目指している姿は、複雑性が増し急激に変化する外部環境に適応して、成長していく力をもち、環境や地域にも貢献しつつ、働く社員も自分の存在意義を確認し自己成長ができる企業になることではないでしょうか。
そのための取り組みのひとつとして、アジャイルに変化に対応でき、進化し続ける能力をもった組織に変革していくことがあげられます。
それは、伝統的な命令統制による階層型組織の中に、フラットな関係性でメンバーが主体的に活動できる自律分散型組織の強さを取り込んでいく試みです。それは、組織がアジャイルな振る舞いを獲得することと言えます。
それによって、一部の人が作った戦略や計画をもとに管理統制することからくる階層型組織のさまざまな弊害を克服し、経営に関わる多くのステークホルダーとの共創、オープンなコミュニケーション、素早い意思決定、実験的な取り組みの推進といった、自律性や創造性、柔軟性を組織内に実現します。

アジャイルな振る舞いを獲得するには、アジャイルなプロセスが必要

自律分散型組織の強さを取り込み、アジャイルな振る舞いを獲得するには、組織を機械のように捉えて、欠陥部品を交換したり、修理するような機械論的なアプローチではうまくいきません。組織や人びとの文化やマインドセットといった背景や状況を変えていく「文脈論的なアプローチ」が必要になります。
文化やマインドセットをアジャイルなものに変えていくには、あらかじめ詳細に計画して取り組むのではなく、人々と共創して自己組織化しながら実験と学習を繰り返していく、アジャイルな取り組みが必要になります。このような取り組みを私たちは「アジャイル組織開発」と呼んでいます。アジャイルな振る舞いを組織が獲得するには、そのプロセス自体がアジャイルでなければならないのです。

また、組織運営そのものをアジャイルにしていくには、マネジメントのあり方も複雑かつスピーディーに、まさにアジャイルであることが求められます。緻密な計画書の作成、稟議書や根回し、全員の合意形成といった従来型の進め方だけでは対応できません。これからの組織の運営には、情報の素早い共有や円滑なコミュニケーションを促進させるITツール(D X:デジタルトランスフォーメーション)も組織の状況に合わせて適切に選択して活用することが大切です。

「アジャイルODx研究会」によるアジャイル組織開発の探究

私たちは2018年から自律分散型組織やアジャイルな組織運営について研究を重ねてきました。2021年からは、アジャイル組織開発にDXを両輪のように活用するという意味の造語「アジャイルODx」を研究テーマとするチーム「アジャイルODx研究会」を立ち上げ、このテーマに関心のあるメンバーともに1カ月に一度程度のダイアログや探究を続けています。

ここでは、アジャイルODx研究会のダイアログから生まれた問いやテーマについて、各参加メンバーの知見を元にした探究の内容を発信しています。この研究の取り組みもアジャイルに進めていますので、発信させていただく情報も、研究会の結論としてではなく、参加メンバー個人の考えたことを広く皆さんに問いかけるスタンスで行っています。皆さんの体験やお考えがありましたら、ぜひお聞かせください。

「アジャイル組織開発(アジャイルODx)」に関するテーマ探究と共有

8.アジャイルな組織文化を作る「話し合いの原則」と実践①_リスペクト
9.アジャイルな組織文化を作る「話し合いの原則」と実践②_目的主導
10.アジャイルな組織文化を作る「話し合いの原則」と実践③_自律性
11.アジャイルな組織文化を作る「話し合いの原則」と実践④_オープン性
12.アジャイルな組織文化を作る「話し合いの原則」と実践⑤_実験性

私たちは人・組織・社会によりそいながらより良い社会を実現するための研究活動、人や企業文化の変革支援を行っています。