ヒューマンバリューのミッション・バリュー創造プロセス
ヒューマンバリューでは、2015年に会社の体制が大きく変わったことを契機に、約1年をかけて会社のミッションやバリューをあらためて見直しました。ここでは、私たちがたどった歩みを紹介しています。私たちヒューマンバリューの想いや大切にしていることを知っていただくとともに、自社のミッションやバリューの創造に取り組もうとされている方々にとって参考となれば幸いです。
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メンバー全員が検討に参加して作成したミッション・バリュー
企業が社会の中で価値ある存在であり続け、持続的な成長を実現していく上で、ミッションやバリューは重要な指針となります。変化の激しい時代において、働く人々の心の拠り所となるとともに、一人ひとりが仕事の意味を探求し、皆で大切にしたい価値観を共有しながら、より良い未来を生み出していく基盤となります。
ヒューマンバリューでは、2015年に会社の体制が大きく変わったことを契機に、約1年をかけて会社のミッションやバリューをあらためて見直し、自分たちの言葉で語れるものを生み出していくことに全員で取り組んできました。
私たちのミッション・バリュー探求と創造の歩み(2015年7月〜2016年2月)
旅路の始まり:私たちは何者なのか?(2015年7月)
2015年に創業から30年を迎えた私たちヒューマンバリューは、経営層の交代、若い世代の増加、クライアントや社会環境の変化など、様々な変化と対峙していました。そうした変化の中でこれからの未来を私たちが築いていくために、あらためて私たちが「どんな価値を生み出していきたいのか」「自分たちが何者なのか」ということを問い直すことが大切だと考えました。
そこで、一泊二日の全社員が参加する社内ダイアログ合宿の場で、「ヒューマンバリューとは何者か?」を探求しました。最初に、これまでの歴史や大切にしてきたことなどについて、長く会社を支えてきたメンバーがストーリーテリングを行い、皆でこれまでヒューマンバリューが大切にしてきたことについての理解を深めました。その後、あらためて私たちがこれまで大切にしてきたミッション・バリューを見返してみたところ、若い世代も共感でき、これからの未来をつくる指針となるようなものを再構築していきたいという想いが生まれました。そこで、ミッション・バリュー検討のサポートチームを社内で結成し、私たちのミッションやバリューを探求する旅路が始まりました。
ミッションって誰のもの?(2015年8月)
しかし、その旅路は簡単には始まりませんでした。 後日開催した社内ミーティングで、ミッション・バリューを探求する進め方を皆で検討したところ、皆の中に様々な疑問が浮かんできました。
そもそもミッションとは誰が生み出すものなのだろうか?想いをもち、経営の責任を負う役員が生み出すものであり、全員が賛同できるものをつくる必要はあるのだろうか? あるいは、全員が共感していないといけないものなのだろうか? ミッションとは誰のためのものなのか? ヒューマンバリュー(会社)とはいったい誰なのか?
それらは、その場では答えが出ないような深い問いばかりでした。 そこで、それらの問いに対する答えを探求することをひとまず保留し、まずは一人ひとりが自分の中にある使命感と向き合い、お互いの想いを共有することから始めました。
見えてきたミッションの片鱗(2015年8月)
一人ひとりが使命感や想いを探求するために、新たにインタビューシートを作成し、互いの想いに耳を傾けることにしました。全員でインタビューを実施する時間を取ることが難しかったので、インタビューは3つのグループに分け、隙間時間を利用して実施しました。「自分は何を学ぶために生まれてきたのか?」「人生が終わったときに、人生を振り返って何をしてきたのかと答えるのか?」「5年後の素晴らしい未来像とは?」といったような問いをもとに、自分や自分たちが何者であるかを考えました。
その後サポートチームが中心となって、インタビューで生まれてきた言葉を読み込み、意味や背景にある想いを踏まえて大事にしていきたいキーワードを分類し、ラベルをつけることにしました。そこから出てきたキーワードは、そのどれもが自分たちらしいもので、私たちのミッション・バリューの片鱗が浮かび上がってきたように思われました。
10年後の未来に足りないピースは何だろう?(2015年9月)
皆のインタビューから整理したミッション・バリューのキーワードの一覧を用いて、皆であらためてミッション・バリューを検討する時間を取りました(第2回社内検討会)。検討会の中では、キーワードを元に、ミッション・バリューを言語化しようと試みましたが、皆の認識が合わず、うまく言葉にすることができませんでした。その背景には何があるのだろうと考える中で、もしかしたらこれまでの検討は今をベースに進められており、「10年後の社会を思い描いていないかもしれない」「10年後を考える上で足りないピースがあるかもしれない」という声が生まれてきました。そこで、10年後の社会や地域、仕事の進め方、人々の関係性をマインドマップを通して広く描くことにしました。マインドマップの検討は、皆の時間を調整することができなかったので、後日3つのグループに分かれて実施する時間を取りました。
その中で、これからの雇用のあり方や労働の意味づけの変化、情報のオープン化による影響、急速な変化への対応など観点が広がり、あらためて私たちがこれから向き合っていく世界への理解が深まりました。そうした探求を踏まえ、次に開催された第3回社内検討会では、「私たちの未来の関係性や世界観は、どうなっているだろうか?」「10年後の未来に足りないピースは何だろうか?」「これまでを踏まえて、ミッション・バリューを検討する上であらためて大事にしたいことは何か?」についてダイアログを行い、ミッション・バリューのプロトタイプについてブラッシュアップを試みました。
プロトタイピングを繰り返し、意味が生まれる(2015年10月〜2015年12月)
ミッションやバリューを形にするために、個人でたたき台をつくってみたり、皆で精査したり、再度個人でアイデア考えてみたりというプロセスを何度も何度も繰り返しました(第4回社内検討会~第5回社内検討会)。そうした検討の中では、このミッションは「一人ひとりが行動を起こす際や会社として方針を判断する際の指針となるか?」「社外からはどう見えるのか?」「一人ひとりが想いをもって語れるか?」といった観点をもとに粘り強く探求しました。
時間はかかりましたが、このプロトタイプの錬成の中で、「一人ひとりが大切にしていることや、互いに大切にしていることは何か」「ヒューマンバリューとして大切にしていることは何か」、「自分たちが実現したい世界はどのようなものなのか」といったことへの理解が深まるにつれ、ミッション・バリューへの共通の意味が少しずつ生まれてきました。
結晶化と新たな始まり(2016年1月〜)
プロトタイプがブラッシュアップされ、いよいよ最終的な文言へと集約するにあたり、あらためて最終決定を誰が行うのがよいのかを話し合いました。経営層が行う、サポートチームが行うなどのアイデアがありましたが、ここまで皆で深く話し合ってきたので、誰が言語化してもよいのではないかという結論になりました。その場で有志のチームが組まれ、ミッション・バリューを作成することとなりました。
その有志のチームで作成したミッション・バリューは、第6回社内検討会、第7回社内検討会での検討を経て、デザインを整え、文言を微修正し、最終決定となりました。これまでの検討を踏まえて作成されたミッション・バリューは、一人ひとりが自分事として語れるものになったと感じています。それは、プロセスが初めから決められていたのではなく、検討会の中で、一人ひとりが率直な想いを語れる工夫をしながら、その場で生まれてきた想いを大切にして、プロセスそのものを生み出しながら進めてきたことがポイントだったのかもしれません。
ミッション・バリューは形になりましたが、この探求の旅路はこれからも続いていくものです。一人ひとりが仕事の中で実践し、問い続け、また仲間とともに想いや価値観を共有していくプロセスを通じて、私たちは皆さんと一緒に未来を切り拓いていきたいと思っています。