ワールド・カフェ・プラクティショナー養成コース(2024年)

  • 2024年9月3日(火) 、11月15日(金)
  • ヒューマンバリュー半蔵門オフィス

本コースでは、組織開発の手法として幅広く使われるワールド・カフェを行うための方法やスキルを得るだけでなく、その背景にある原理や哲学を深掘することで、単に心地よい話し合いを超えた、「会話から価値を創発する知恵」を探求し、実践する力を高めます。

開催日時

セッション
   開催日:2024年9月3日(火)
   時 間:10:00 ~ 19:00

リフレクションセッション
   開催日:2024年11月15日(金)
   時 間:13:00 ~ 18:00

開催場所 東京都千代田区一番町18番地 川喜多メモリアルビル3F
ヒューマンバリュー半蔵門オフィス
定員 16名
最小催行人数6名(6名に満たない場合は、中止になる場合もございます)
講 師・ファシリテーター 川口 大輔(取締役主任研究員)
参加費用 88,000円(税抜価格80,000円)
※昼食代、教材費、リフレクションセッション(1日)を含みます。
事前プロセス 参加される方には、事前に書籍や「インビテーションカード」をお送りします。
参加にあたっては、実施の1週間前までを目処に御申込をしていただけると、セッションでの探求も深めやすいかと思います。
認定証 プラクティショナー養成コース修了後は、本コースで提供したヒューマンバリューのコンテンツを受講者個人が使用できる認定証を発行します。

ワールド・カフェ・プラクティショナー養成コース概要

ワールド・カフェは、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる「カフェ」のような空間からナレッジを創発する話し合いの方法です。1995年にアニータ・ブラウンやデイビッド・アイザックらによって生み出されました。

組織開発の手法の中でも、比較的短い時間で特別なスキルがなくてもオープンな対話を実現できることから、組織開発やコミュニティの創造から、ワークショップや日々のミーティングにいたるところまで、あらゆる場面で活用が進んでいます。

ワールド・カフェは、とてもシンプルで誰でも実践できる話し合いの方法ですが、単なる作業や手順として運営すると、うまくいきません。ワールド・カフェは、人々がお互いに尊重し合い、オープンに話をし、お互いに話を聴く空間を創ることが、原理としてあるからです。

そうした原理は、ちょっとした場づくりや提示の仕方、質問のあり方、ファシリテーターの心の姿勢に表れます。それらが参加メンバーに影響を与え、話し合いの相互作用や効果を左右するのです。

このコースでは、ワールド・カフェを実際に体験していただきながら、ワールド・カフェの基本となる考え方や実践方法について学び、原理に基づいた対話のデザインを行えるようにしていきます。特にホストのあり方や提示の仕方、場づくりの違いが、どのように参加者の姿勢や相互作用に影響を与えていくかも検討していきます。

ワールド・カフェ・プラクティショナー養成コースでは、ワールド・カフェの基本となる考え方や実践方法について学びながら、原理に基づいた対話のデザインを行えるようにしていきます。

2024年のコース開催への想い
〜ハイブリッドな時代に会話から価値を生み出す原則を探求する〜

ヒューマンバリューでは、2009年から本コースを毎年開催していましたが、新型コロナウイルスの影響を受け、ここ数年は開催を中止していましたが、昨年(2023年)からワールド・カフェ・プラクティショナー養成コースを再開しました。

言うまでもなく、この3〜4年の間に、私たちが見る景色、とりわけ人と人とのつながり方は大きく変化しました。

新型コロナウイルスは、私たちの関係性を分断しかけましたが、ZoomやTeamsなどに代表されるテクノロジーの進化の恩恵を受け、今では私たちはどこにいても世界中の人々とつながることができるようになりました。その結果、オンラインでの対話の場づくりなど、組織開発の可能性も大きく拓かれました。

その一方で、リモートワークや非対面のコミュニケーションが進んだことが、組織の垣根を越えた協働のネットワークを希薄化させたり、メンタルヘルスに影響を与えているデータも出てきています。アップルやグーグルを始め、対面での価値を再考し、オフィスへの復帰を促している企業も多くあります(日本においてもその動きが加速しています)。

こうした動きを見るに、現在は、人と人とのつながり方が大きく変化しハイブリッド化した中で、「そこからいかに新たな価値や意味を生み出していけるのか?」が問い直されている時代ともいえるでしょう。

そして、ワールド・カフェの原則は、そうした問いに私たちが向き合う上で大きな示唆を与えてくれます。

人々の間につながりをつくり、創発を生み出す方法として発展してきたワールド・カフェだからこそ、そこに埋め込まれた哲学や原理を丁寧に眺めていくと、リアル、バーチャルにかかわらず、私たちが会話やつながりを通して新たな価値を生み出していく上で、大切にすべき叡智が実に多くのエッセンスとして埋め込まれていることに気づくのです。

たとえば、ワールド・カフェを通して生み出すホスピタリティにあふれたスペースは、人を交換可能な機能として還元する機械的な世界から、多様な一人ひとりが唯一無二の存在として認識されるインクルーシブな世界への転換がいかに可能であるかを教えてくれます。

あるいは、会話の中の短いチェックインのようなプラクティスを通して、私たちは一人ひとりがもつWhole Selfを毎日の仕事に持ち込むことができます。

また、私たちの核に触れる本質的な問いによって、一人ひとりの好奇心や探究心が呼び起こされ、そこからまた新たな問いが立ち上がり、固定化された世界が壊れ、ダイナミックな経験や主体性が呼び起こされます。

ラウンドを繰り返すごとに、テーブルの相互作用が変わる他花受粉のプロセスでは、公的な空間において、複数性が擁護される対話の場がどんなものなのかを私たちに体感させてくれます。同時に、そうした多様な個の集まりが、刻一刻と変化し、互いに展開し合うことで織りなされる中で、新たな知恵が創発されていくタペストリーのような世界観に触れることが可能となります。

そして、会話が終わり、ハーベストに臨む静寂な内省の時間は、私たちに小休止を与え、この小休止が私たちの未来につながるインサイトを育む温床となり得ます。

こうした一つひとつの原則は、リアルとバーチャルが共存するハイブリッドな現在において、どのような意味をもつでしょうか? 

2024年に開催するコースでは、ヒューマンバリューがこの数年間模索してきたハイブリッド環境下でのワールド・カフェの経験やインサイトについても共有しながら、表面的なテクニックを超えて、本質的な場、プロセスをデザインする力を養うことを目指していきたいと思います。

プログラムイメージ

◆ワールド・カフェの可能性
 ・どんな状態が生み出されるのか?
 ・参加した人の変化・生の声
 ・ワールド・カフェの適用と効果・事例
◆ワールド・カフェの方法論
 ・場のセッティング
 ・基本プロセス
 ・ファシリテーションの手順
◆ワールド・カフェで創発を生み出す要因
 ・ワールド・カフェの構造と場づくりの意味の探究
 →相互作用に違いを生み出す要因とは?
 ・7つの原理(ホスピタリティなど)の探究
◆ワールド・カフェの実体験
 ・ワールド・カフェを成功に導く「ファシリテーター(ホスト)のあり方」をワールド・カフェにて探究
◆適応の具体的な進め方
 ・ワールド・カフェの実践プランニング
 →目的の設定
 →参加者の招待
 →探究する質問の創造
 →ファシリテーション・場づくりの準備
◆新たな可能性の模索
 ・リアル、バーチャル、ハイブリッドでのワールド・カフェを考える
◆プラクティショナーのフォロープロセスの検討

ワールド・カフェ・プラクティショナー養成コース過去参加者の内訳

ワールド・カフェ・プラクティショナー養成コースにこれまで参加くださった方たち(2009年〜2023年:176人)の内訳です。企業内プラクティショナーやコンサルタント、学校関係の方など、多様な方たちが学び合い、実践に向けた探究を行っています。

受講者の声

セッションの約1週間後に実施したフォローアンケートより一部引用(2023年)

一週間ほど経ったいま、共に取り組んだワールド・カフェ・プラクティショナー養成コースを思い返してみてください。一言で言うとしたら、それは自分自身にとってどんな体験だったと言えるでしょうか? そう感じたきっかけや要因には、どんなことがありましたでしょうか。

シンプルなものこそ、やり方で変わるのだということを理解しました。ワールド・カフェの構造は極めてシンプルです。シンプルなだけに、しつらえ方やファシリテーターの在り方で変わってくるのだろうと思います。

対話からもたらされるものの豊かさを改めて感じることができた1日でした。
もともと、抽象的な事柄をあれこれ考察するのが好きなタイプではありますが、様々な人と様々な意見を交流させることで、考えの幅が広がったり深さが深まる感じがありました。コーチングではありませんが、誰かからの発言が新たな問いとなり、それを探求していくプロセスの連続だったように思います。

共創と創発の場づくりとは何かを考える体験でした。私の中での創造性は「他者と交わること」なので、養成コースの体験では「どうしたらより他者と考えたい続けたい、話し続けたい」といった環境を作ることができるのかを考えることができるような情報共有と、実体験、対話だったと感じています。

ワールド・カフェ・プラクティショナー養成コースに参加する前と後では、何か変化はありましたでしょうか? それは自分自身の内側の変化かもしれません。また、誰かの言葉を聴いたときの自分の感じ方の違いかもしれません。もしかしたら、自分の想いや大事にしていることに違いが生まれたかもしれませんし、具体的な自分自身の言動や人々とのかかわり合いかもしれません。ささいな変化でも結構ですので、教えていただけますでしょうか。

場の「しつらえ」の考え方は新鮮でした。自身が企画・実施するファシリテーショントレーニングで、早速取り入れてみました。

身近な人と対話をすることの意義や実際に対話をする場をどう持つべきかについて改めて考えています。(そのトピックについての各参加者の熱量が異なる場合や、感情のもつれがなんとなく感じ取れる場合、対話の場がどのように準備されどのように運営されると良いのか)

人と場を共にする時間をより豊かなものにするための準備に、今まで以上に力を惜しまなくなっているような気がします。場というのは仕事だけではなく、家族や街やコミュニティの中にもあるのだということを前提に、自分の振る舞いが溶け出して価値につながることを願って小さな行動を重ねてみています。

ワールド・カフェ・プラクティショナー養成コースでのご自身の気づきや学んだこと、得られたことを、一過性のものとして終わらせないために、あなた自身が取り組んでいること、また取り組もうとしているプランやアイデアを教えてください。

現在所属している組織では、サーベイで課題感のあったキャリアや成長のトピックでワールド・カフェを実践するべく提案をしようと思っています。
また、自社のクライアントに対しては、VMVの見直しを提案したいと思っているところがあり、特にVisionについてはワールド・カフェで社員の考えを反映できるようにして行ければと思っています。

11月に講師として担当しているワークショップ型研修のブレークアウトセッションでワールド・カフェ形式を試してみたい。リアルと違ってどんな準備や配慮が必要で、どんな進行をすればよいのか暗中模索中。

「ワールド・カフェ」と名のつく機会でなくても、問いをつくる機会やラウンドを設けることはできると考えています。場を一緒にする方々が、新たな枠組みや視点で考えやすい、話しやすいような問いは日頃の中で考えて出すようにしていきます。

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