世界が、クローズシステムからオープンシステムに移行する今、狭い視野に陥った私たちの思考を解き放ち、より根本的な問題解決・イノベーションにつなげる「システムシンキング」は、これからのリーダーシップに不可欠なものです。
変革とイノベーションを生み出す リーダーシップ・ジャーニー®
ビジネスや社会の有り様が大きく変わってきている状況の中で、既存の枠組みを打破し、新たな価値を創出するような変革やイノベーションの必要性が、より一層高まっています。ヒューマンバリューでは、「リーダーシップ・ジャーニー®」と呼ぶ長期的なプロセスを通じて、イノベーションを自ら生み出せるリーダーシップの開発と組織の変革について、業界、業種を問わず支援しています。
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いま求められるリーダーシップとは
ビジネスを取り囲む環境の変化が激しくなり、未来の不確実性が一層高まる中、多くの企業が生き残りをかけ、新たな変革を起こそうと模索しています。
しかし、企業の現場では、将来への不安から、無力感や疲弊感が増しているといわれています。このような状況になると、働く人々は未来への可能性を信じることができず、古い考え方や価値観を捨てきれないため、変革に挑戦することができなくなる恐れがあります。
そこで、大切なことは、たとえ組織が不安定な状況に置かれているとしても、自ら変革への一歩を踏み出し、仲間と協働しながら、困難な局面を乗り越え、実現したい価値を生み出すリーダーシップを組織的に育むことです。
そうしたリーダーシップは、肩書きや専門性に基づいた影響力ではなく、未来を切り拓きたいという情熱や主体的な行動に基づいた影響力によって、組織に働きかけ続けた結果として獲得されるものなのです。
リーダーシップ・ジャーニー®とは
上述したような次元の高いリーダーシップは、座学で学んだり、1日の研修で高まるわけではありません。自らの変容をベースに、組織のメンバーと協働しながら、組織と社会・マーケットにイノベーションを起こす仮説を立案し、実践と検証を繰り返すアクション・ラーニングを通じて育まれます。ヒューマンバリューでは、そうしたリーダーの探求と実践のプログラムを「リーダーシップ・ジャーニー®」と名付け、多くの企業で展開しています。
リーダーシップ・ジャーニー®が生み出す変革の好循環
まず、リーダーが自身の内なる目的意識に基づいた個人ビジョンを描き、その個人ビジョンの実現に向けてできることの実践に着手します。それから、徐々に周囲の仲間を巻き込み、継続的な対話を通じて、共有ビジョンを創造していきます。そして、共有ビジョンの実現に向けて、皆で考えた取り組みについて、試行錯誤の実践と振り返りのプロセスを通じて、小さな変化を育んでいきます。やがて、小さな変化の積み重ねが臨界点を超えて、さらに大きな変化を生み、それが目指していた未来の業績や成果につながります。
リーダーシップ・ジャーニー®のプログラムイメージ
リーダーシップ・ジャーニー®の7つの特徴
1.セルフ・ノーイングによる自己の探究からスタート
組織変革やマーケットのイノベーションを推進するリーダーシップであっても、その始まりは、自らを知ることからです。自分自身を理解し、リードすることで、仲間や組織を理解してリードすることができ、それが社会やマーケットをリードすることへとつながっていきます。リーダーシップに不可欠である、自分が何をするかというDoingではなく、自分がどうありたいかというBeingを探究することに重点を置いています。
2.情熱と主体性をもって取り組めるテーマ設定
自分自身のBeingに基づいて描いたビジョンの実現に向けて、検討したいテーマを探究し、推進することが重要です。与えられたテーマではなく、自らの意思に基づいたテーマであるからこそ、待ち受ける困難を乗り越えることができます。
3.試行錯誤とチーム学習
変革やイノベーションは、最初に描いた青写真通りに推進することは難しいものです。そこで、自身が取り組むことができる施策に着手し、試行錯誤のプロセスを歩みます。そして、定期的に振り返りの機会を設定し、再検討することが重要となります。
アクション・ラーニングの中では、一人ひとりが推進シナリオを描き、成功要因・失敗要因とその対策を考えて現場で実践します。
そして、仲間たちとそれを定期的に振り返りながら、シナリオを描き直し続けることが組織の思考の質を高めていきます。
4.システム的な理解
変革は、機械的・直線的な成長曲線のようには起こりません。
自然界の成長と同じように、拡張循環的な成長曲線を描き、徐々に成長を抑制する力が回り始めて、成長曲線が緩やかになります。
そこで、少しずつ変化の種を育てながら、それと同時に、変革や成長を阻害する要因を取り除いていくようにします。
5.オープンシステム
変革に関わるメンバーが閉じているのではなく、組織全体、あるいは顧客も含めた関わる人々全体に対してオープンになっていることが重要です。
システムが閉じていると、相互作用が起きづらいばかりか、取り組んでいるものと、そうでないものとのギャップが広がり、ますます閉じていくという悪循環に陥ります。
そこで、変革を円滑に推進し、創発が起こるためにシステムが「オープン」(開放系)になるようなデザインとサポートを行います。
6.変革のスキルの体得
変革を推進する際に、最も重要なのは、一人ひとりの意志や覚悟、情熱です。
しかし、情熱や意志だけで推進しようとすると、変革に時間を要し、困難を乗り越えるために必要以上のエネルギーが掛かります。
そこで、自分自身が実現したい未来に向けてのシナリオを円滑に進めるために、適切なスキルをタイムリーに体得していきます。
7.学習と自己組織化する実践コミュニティの継続
学習と実践は、プログラムが終了したからといって終了するわけではありません。むしろ、プログラム終了後からが本格的なスタートといえます。
多くの場合、共に取り組んだ仲間同士が継続的に学習と実践を続けますが、チェンジ・リーダー同士の主体的な取り組みをオープンにするなど、自己組織化し、創発が起きるようなサポートを行います。
リーダーシップ・ジャーニー®の導入例
イノベーションを創造する次世代経営者育成
A社では1兆円を超える借入金の返済時期にあり、経営が効率性と採算性へと偏重していた。そのため、借入金の返済は順調に進んだものの、以前のような市場創造的な新規事業・ビジネスモデル創出といったイノベーションが思うように生まれなくなっていた。そこで初年度は、マネジャークラスから選抜した24名にリーダーシップ・ジャーニー®を導入した。翌年度は部長クラスの選抜24名に、3年目は事業部長クラス24名にリーダーシップ・ジャーニー®を導入した。その結果、新規事業も創出されるようになった。また現在、A社の持ち株会社全役員20名のうち18名がリーダーシップ・ジャーニー®の既受講者となり、イノベーションの創出と次世代経営者育成の両方を成立させた。
実施期間:2009年~現在継続 | 対象人数:1Gあたり16名・累計1000名超 | 情報サービス会社
マネジメントアプローチを革新し、横断的なつながりを生み出すために導入
B社では、組織文化として社員の業務への取り組み意欲は高いものの、業務負荷が高まると時間を増やして対応するのが常態化し、業務プロセスの変革が進んでいないという傾向があった。そして、それが社員のモチベーションを徐々に下げてしまうという状況があった。背景を調べてみると、マネジャーのメンバーや仕事へのアプローチが、伝統的な指示命令的によるもので、社会的な変化に適応した革新がなされていなかった。その理由の1つに、部署を超えたマネジャーとの交流が少なく、自分が経験したマネジメントスタイル以外を知らないということがあった。そこでリーダーシップ・ジャーニー®を課長層に導入し、社員の参画と主体性と創造性を高める「ラーニング・オーガニゼーション」の哲学と方法論を導入していった。組織規模が大きいため、短期間では組織全体としてのマネジメントアプローチの革新が生まれないことから、毎年継続して実施し、現在3年目に入る。現場では、リーダーシップ・ジャーニー®を受講したマネジャー同士が部門を超えて交流し合いながら、継続的な取り組みも生成していて、組織全体のマネジメント文化の革新へもう一歩というところに至っている。
実施期間:2011年~現在継続 | 対象人数:年度あたり100名前後・累計300名超 | 半導体製造装置メーカー
組織文化を変革するために導入
C社のR&D部門では、社員の疲弊感が恒常的に高まっている状態が続いていた。そこで「組織イノベーション実践」と銘打ってリーダーシップ・ジャーニー®を課長層に導入し、社員の参画と主体性と創造性を高める「ラーニング・オーガニゼーション」の哲学と方法論を導入していった。1万5千人を超えるほどの大規模な組織であるため、短期間では組織文化は変わらないことから、本プログラムを毎年継続して実施し、現在では、既受講者が1000名近くとなった。そして、500名単位の部門レベルでも、ポジティブアプローチやホールシステムアプローチによる主体的な取り組みが広がり、自己組織化した取り組みがさまざまなところから生成するようになっている。
実施期間:2004年~現在継続 | 対象人数:年度あたり100名前後・累計1000名超 | 自動車メーカー
企業風土を変革するために導入
D社では、いわゆる体育会系的な企業風土・マネジメント文化がこれまでの会社の強みであった。しかし、社会と市場環境の変化に伴い、一部の経営陣が意思決定をし、それを部下に降ろして徹底した行動管理をすれば成果・業績が出るという状況ではなくなった。そのため、市場ニーズと提供サービスとの間にかい離が生まれ、将来的な成長が危ぶまれていた。そこで部長クラス24名にリーダーシップ・ジャーニー®を導入し、自分たちのこれまでの強みの確認とともに、長期的な将来ビジョンを創出し、日々の実践の中で、これまでの習慣を壊し、社員の主体性と創造性、情熱を解放していく新たな関係構築とマネジメント行動を形成していく取り組みを行った。リーダーシップ・ジャーニー®のプログラムは終了したが、彼らの継続的な取り組みはいまも続いている。
実施期間:2012年 | 対象人数:24名 | 人材サービス会社
ファシリテーターからのメッセージ
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