ATD(The Association for Talent Development)
ASTD2008概要
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ASTDについて
ASTDは、1944年に設立された非営利団体で、世界中の企業や政府等の組織における職場学習と、従業員と経営者の機能性の向上を支援することをミッションとした、訓練・開発・パフォーマンスに関する、世界第一の会員制組織です。米国ヴァージニア州アレクサンドリアに本部を置き、現在100以上の国々に70,000人余りの会員(会員には20,000を越える企業や組織の代表が含まれる)をもっています。
ASTDは国際的な企業と産業の訓練資源に対して比類ないアクセスをもち、その事業は、世界の最高水準にあると認められています。
ASTDは、トレーナーやトレーニング・マネジャーたちに専門的な開発材料やサービスを提供し、職場における学習促進を援助し、世界中の政府・企業等、各種組織に属する従業員や役員たちのコンピタンス・パフォーマンス・充足感を高める手助けをすることを使命としています。
ASTD2008の参加国・参加者数
本年の参加国数と参加者数は以下の通りとなっています。
参加者総数
10,000名
参加国数
80カ国
海外参加者
2,400名強
米国外からの参加者が多い順
韓 国:442名
日 本:264名
カナダ:178名
クウェート:132名
中 国:131名
オランダ:101名
ASTD2008の主要テーマ
ASTD2008は、 以下の9テーマを中心に展開されました。
1.Career Planning and Talent Management
(キャリアプランニングとタレントマネジメント)
2.Designing and Delivering Learning(ラーニングをデザインし、デリバリーする)
3.E-Learning (Eラーニング)
4.Facilitating Organizational Change(組織変革をファシリテートする)
5.Leadership and Management Development
(リーダーシップとマネジメント開発)
6.Learning as a Business Strategy
(ビジネス戦略としてのラーニング)
7.Measurement, Evaluation, and ROI(測定、評価、ROI)
8.Performance Improvement(パフォーマンス向上)
9.Personal and Professional Effectiveness(個人的および職業的効果性)
ASTD2008国際会議の傾向
ASTD2008 International Conference & EXPOが、2008年6月1日~4日にカリフォルニア州サンディエゴのサンディエゴ・コンベンションセンターで開催された。サンディエゴ・コンベンションセンターは、海に面しており、硝子張りの建物と大きな白いテントの屋根が組み合わされた、いかにもカリフォルニアといった明るく解放感のある建物であった。
今回のASTDの参加者は、世界80カ国から10,000人が参加した。海外からの参加が増加し、韓国の参加者が442人、次に日本から264人、カナダから230人、クェート132名、中国131名、オランダ101名で、海外からの参加者はトータルで2400名であった。
今回は日本からの参加者が大幅に増え、日本の人材開発の主要団体がほとんど集まっているかの印象であった。
ASTD2008の全体の構成としては、本コンファレンスの前に5月29日から31日までの間で2~3日間の24本のサーティフィケートプログラム・コースが開催され、その後プレコンファレンス・ワークショップが31日に12セッション行われ、そして本会議が4日間開催された。この期間中にエクスポが同時に開催された。
今回、ヒューマンバリューのメンバーは4つのサーティフィケート・プログラムに参加してみた。このコースはASTDからの認証が発行されるプログラムであり、他の日本からの参加者もいた。このプログラムは、アクション・ラーニングやHPI、ファシリテーションといった、人材開発・組織開発の主だったテーマごとに構成されている。弊社から参加したメンバーの感想では、内容は基本的なものだったそうだ。進め方は、きちんとステップを追って講義をするという進め方ではなく、参加者が意見交換をして、何かに気づいていくといったものだったようだ。
本会議は、3つのジェネラルセッションと、285のコンカレントセッション、そしてさまざまなネットワークの集まり、そして415の出展社からなるエクスポ、エクスポ出展社からのプレゼンなどで構成されている。
ジェネラルセッションの1回目は、2日目の朝8時から行われた。ASTDのCEOのトニー・ビンハム氏(Tony Bingham)からの挨拶と基調講演として「Blink」「Tipping Point」の著者であるマルコム・グラッドウェル氏(Malcom Gladwell)のスピーチが行われた。3日目には、ASTDチェア(会長)のコンスタンス・フィリング氏(Constance Filling)のスピーチと今年のアウォード(表彰)の紹介、そして「The Five Dysfunctions of a Team」の著者であるパトリック・レンシオーニ氏(Patrick Lencioni)の講演、そして4日目にはUSAネットワーク社の創始者で「Bold Women」「Big Ideas」の著者であるケイ・コプロビッツ氏(Kay Koplovitz)の講演が行われた。
コンカレントセッションは、1日に3つの時間帯で開催されるので、4日間で全部出ても12セッションしか参加することができない。1つの時間帯には同時に20セッションが開催されているので、ASTDの全貌を個人で把握することは不可能である。そのため、同じセッションが2回に開催されるものも多い。また、あとからオーディオを購入できるセッションもある。
ASTD2008のコンカレントセッションの9つのカテゴリー
1.Career Planning and Talent Management (キャリア・プランニングとタレント・マネジメント)
2.Designing and Delivering Learning(ラーニングをデザインし、デリバリーする)
3.E-Learning(Eラーニング)
4.Facilitating Organizational Change(組織変革をファシリテートする)
5.Leadership and Management Development(リーダーシップとマネジメント開発)
6.Learning as a Business Strategy(ビジネス戦略としてのラーニング)
7.Measurement, Evaluation, and ROI(測定、評価、ROI)
8.Performance Improvement(パフォーマンス改善)
9.Personal and Professional Effectiveness(個人的および職業的効果性)
ヒューマンバリューのASTDツアーでは、会議終了後に夜の6時から10時まで、情報交換会を行っている。ツアーにご参加いただいた48人の方々が、ご自分が参加したセッションの内容と感想を報告し、それについて意見交換を行うものだ。
この情報交換会を通して、ダイアログを行っていると、同じセッションを受講していても、人によって認知の仕方が違うことが分かり、さまざまな感想や知見の交換から、現在の人材開発、組織開発の潮流といったものがコンテクストとして共有されてくるのである。
そういった背景を踏まえて、やや独断と偏見かもしれないが、ASTDの中から感じられた傾向について紹介してみたい。個別セッションの詳しい内容については、個別の報告をご参照いただきたい。
まず、今回の会議の第一印象としては、全体を通してのテーマやメッセージがよく見えないということであった。会議の統一テーマといったものが、毎年前面に出てくるのであるが、今年は見つからないと思っていたら、配布されたパンフレットの表紙に小さく「DESTINATION:INFORMATION」とあった。直訳すれば、到着地は情報ということだろうか。複雑性が増大した結果、何が正解か、何をすべきかということを鮮明に打ち出すことが難しくなった今日、ASTDも正解を出せなくなってきたところから、ここにあるのは情報だけで後は自分で考えなさいというメッセージかと推察した。
今回の会議に参加していて、キーワードとして特に目新しいものはなかったが、昨年に続いて、タレントマネジメントという言葉が強くでていたと思う。もう1つは、ビヘイビア(行動)をしなさいというメッセージがコンカレントセッションで多く見受けられたということだろうか。
内容面では、理念やコンセプトの紹介よりは、適用に向けた具体的な方法の紹介や、実践事例の紹介が多く見られた。また、Eラーニングは元気を吹き返して、さまざまな手段を統合した取り組みが紹介されていた。
タレントマネジメント
タレントマネジメントは、企業の競争力の源泉は人材であることから、人材の採用、育成、配置、リテンション、サクセッションプランなどを統合的に取り組むことで優位に立たなければならないというニーズから、出てきているものと思われる。
2003年ごろからタレントマネジメントという考え方がでてきたが、当初は可能性のある人々からより多くの人材を識別してキーポジションに昇進させるというコンセプトだった。最近では、タレントはエリートではなく、すべての従業員を指すようになってきた。すべての人はそれぞれ固有のタレント(才能)をもっているという意味と人材という意味の両方が込められているのだろう。
タレントマネジメントは人材活用によって、業績を向上させ、競争に勝ち抜くというねらいがあるのだろう。そのために、人材の定義、採用、リテンション、サクセッションプランといったHRMとキャリア開発支援と学習を統合した概念として提示されている。そこには、学習というものでそれらを支えるとか、戦略的とか、1人ひとりに目を向けていくというコンテクストがあるように感じられた。
南カリフォルニア大学で教授を務め、HRMやOrganizational Effectivenessの分野で名高いEdward Lawler III氏が、「M100:Built for Talent」というタイトルで講演を行った。そこでは、企業の戦略のあり方の違いとタレントマネジメントのあり方の違いを説明し、その整合をとるように説明するとともに、HR部門の役割認識について方向性を示していた。また、タレントマネジメントやエンゲージメントの分野で有名なBeverly Kaye氏が、「M201:The Development Dialogue:The Critical Link to Engagement and Retention」というセッションを行った。
「M107:Talent Sustainability:Orchestrators, Accelerators, and Influencers」では、リーダーシップ開発の権威であるCenter for Creative Leadership(CCL)が「Talent Sustainability」というコンセプトを紹介した。そこでは、Talent Sustainabilityを実現するために必要なリーダーシップの役割として、Orchestrators(オーケストラを編成する人)、Accelerators(加速させる人), そして Influencers(影響を与える人)の3つを提示していた。
身体性の学習
複雑性の高い環境においては、単なる知識習得では十分でないところから、感性とか察知力、柔軟な対応力といったものが重視されてくる。そういったものを総称して私どもでは身体性と呼んでいる。こういった身体性を高めることを扱ったセッションも多く見られた。即興性(インプロビセーション)を高めるトレーニングとして、即興劇の手法を用いたものが、銀行内のトレーニングに採用されているのが印象的であった。
「SU109:Sim-Elations:Make It Real and Wow Your Learner」では、JP Morgan ChaseのHR、及びトレーニング部門のマネジャーが、同社において、セールススキルや採用におけるインタビュースキル、または顧客との関係性の向上をねらってシアター形式のインプロを取り入れている事例が紹介された。また、「M309:Using Improv Techniques to Teach Managers Recognition Skills」では、マネジャーが部下の話に耳を傾け、尊敬を持って接し、信頼を築き、職場を楽しいものにするレコグニション・スキルの向上のためにインプロを活用することを推奨した。
「SU312:The Power of Voice:Using Vocalics to Influence and Persuade」では、声のパワーに着目していた。
リテンション
入社直後の社員へのアプローチの仕方が、タレントマネジメントに大きな影響を及ぼすということにフォーカスを当てたセッションがあった。
リーダーシップ開発で著名なDevelopment Dimentions International(DDI)社CEOのWilliam Byham氏は、「TU103:10 Secrets Revealed to Minimize Time to Performance While Maximizing Retention」の中で、入社後2年以内に退職する人の半数以上は入社後2ヶ月以内に退職していたり、残り人の大半も入社後2ヶ月以内に別の仕事を探し始めたりしているという事実を紹介していた。
「M310:Engaging New Employees Day One at the World’s Largest Retailer」において、世界的な小売業であるウォルマート社の事例が紹介されていた。同社では、社員が長期的なキャリアを築き、エンゲージメントを高めるために、最初の1日をいかに過ごすかがキーファクターになると説明していた。
メンタリング
メンタリング自体はかなり以前からあるコンセプトだが、今年はより具体的な適用が紹介されていた。同僚間のピア・メンタリングの進め方や構造といったものが明らかになってきたようだ。
「TU116:The Power of Peer Mentoring:Tools for Learning in the Connected Organization」では、New Zealand Mentoring CenterのAly McNicoll氏とWendy Baker氏が、コミュニティ・オブ・プラクティスを通してメンタリングを行うPeer mentoring groupsというコンセプトや、実現するためのツールを紹介していた。
ケイ・コブロビッツ氏の基調講演もメンターの重要性について自分の体験を踏まえて説明していた。
Eラーニング
昨年は、Eラーニング2.0という言葉が登場し、Pod castingやSNS、Wikiなどを使った新しい学習のあり方が提唱された。今年は、それにセカンドライフなどの活用が加わり、さまざまなツールと集合研修などが統合されて展開され大変充実してきている印象を持った。
「M112:Learning in the Virtual World of Second Life」では、Second Lifeのバーチャル・コミュニティにおける学習事例を紹介していた。多くの企業がセカンドライフに島を持っており、そこで学習が展開されていることに驚かされた。IBMでは、新入社員のチームワークがそこで行われていた。
「TU112:AT&T’s Approach to Maximizing Impact in the Virtual Classroom」では、AT&Tが従来バラバラだった学習システムを同期・非同期の学習効果を最大化するような統合的な取り組みを紹介していた。
「TU311:Overcoming Staffing Challenges in a Global Learning Environment」では、働く人々の多様化やグローバル化に合わせた学習環境作りについて、先進するIBMが事例を紹介していた。
Tony Karrer氏の「M313:E-Learning2.0 for Personal and Group Learning」や、Marc Rosenberg氏の「SU201:Beyond E-Learning:New Approaches to Managing and Delivering Organizational Knowledge」の中で、Web2.0の時代における留意点を紹介していた。
コミュニティ的なアプローチによる共創
エンパワーメントやスチュワートシップのテーマで名高いPeter Block氏は「M101:Community:The Structure of Belonging」のセッションでは、変革は青写真を作成し、それを遂行することで成功するのではなく、組織内にコミュニティを生み出すことによると提唱していた。そして、そのコミュニティを作り出したり、人々の繋がりをもたらすのは、構造と作ることによって可能であるという考え方を明らかにした。
また、基調講演のパトリック・レンシオーニ氏は、ハイパフォーマンスチームを作るリーダーの役割として、5つの段階を示し、コミュニティを基にした共創のアプローチを語っているように感じた。
リーダーシップ
世界的なエグゼクティブ・コーチの一人であるMarshall Goldsmith氏は「SU100:What Got You Here Won’t Get You There:Helping Successful Leaders Get Even Better」成功しているリーダーのありたい行動について説明した。
またDDI社の「TU115:Taking Your Leadership Pipeline Global:What Really Works!」では、今年も同社が1000社以上の会社で行った調査をもとに、「本当に機能する」リーダーシップ開発について、事例を交えながら紹介した。
HPI、パフォーマンス・コンサルティング、ROI
現実的で効果のある測定の方法論の紹介がでてきている。Robert Brinkerhoff氏が提唱している「サクセス・ケース・メソッド」が、「W301:Training Impact Evaluation That Senior Managers Believe and Use」で紹介された。
この手法は、受講者に簡単な質問をして、実際に使って効果をあげた人を見つけ、なぜ効果を出すことができたかを明らかにし、組織のパフォーマンス改善を推進するために、マネジャーがレバレッジとして活用できる反復可能な要因とプラクティスを特定することで、ビジネスケースを作るという方法である。サクセス・ケース・メソッドはかなり事例が出てきており、学習の効果測定をトレーニングそのもので測るのではなく、事前から事後までを含めたプロセス全体として把握するようになっていた。
その他にも効果測定の分野のパイオニアであるDonald Kirkpatrick氏による「TU102:Evaluating Training Programs:The Four Levels」)やJack Phillips氏「M303:Show the Impact of Learning and Development:Techniques to Isolate the Effects of Programs」によるセッションも例年のように行われていた。
パフォーマンス・コンサルティングのパイオニアであるDana Robinson氏が、「SU202:Performance Consulting 2.0:What’s the Same and What’s Different?」の中で、パフォーマンス・コンサルティングの15年間を振り返り、1995年と2008年では何が変わったかを明らかにし、これからのパフォーマンス・コンサルタントに求められる役割について紹介していた。
全体的に、よりパフォーマンスそのものの向上にフォーカスし、経営全体の効果性を高める視点をもつようになった動きが現れてきたように感じた。
ASTD2008エキスポジション
本年のエキスポの概要は以下のとおりであった。
出展社数
ASTD2008プログラムガイドによると、本年度のエキスポでの展示は415社であった。
展示日
・月曜日 9:30a.m.-2:15p.m.
・火曜日 9:30a.m.-4:00p.m.
・水曜日 9:30a.m.-1:15p.m.
エキスポの内容
本年度のASTDのEXPOにおいては、415のブースが出展され、カテゴリーの総数は約70にものぼっていた(重複カテゴリーを含む)。出展社数は、昨年と同規模であり、例年同様、それぞれのブースでは、人々の学習とパフォーマンスの向上をサポートする様々な商品やサービスが、紹介されていた。
国際化、多様化するエキスポ
今年の傾向として、昨年と比べて全体的な出展社数が多いことが挙げられる。具体的には、昨年の出展社数が370であったので、45社ほど増えている。その背景として、2つ特徴的なところが見受けられた。ひとつは米国以外に拠点を置くインターナショナルな企業のブースが大幅に増えていることがある。
例えば、ドイツは、11のベンダーが連携してひとつのパビリオンを出展していた。Federal Ministry of Economics and Technologyが積極的に出展を後押ししていたとのことであった。
またドバイにて学習インフラの提供サービスを行っているKnowledge Village社は、今回のEXPOのシルバースポンサーになっていた。その他にも、韓国、中国、日本、サウジアラビア、クウェートといった様々な国が数多く出展していた。
それらのベンダーの中には、既に米国でサービスをスタートしているところもあれば、これから展開する国々を広げようとしているところ、あるいは韓国の企業のように、自国からの参加者が多いところは、米国でサービス展開する予定はないが、自国の参加者に対してプロモーションをしているといったところもあった。
こうした傾向を見ると、トレーニング・ベンダーやコンサルタントの動きも国際化してきているといえる。ASTDのエキスポも、米国で活用されているコンテンツを中心として、海外の参加者たちは、自国への導入を検討するといった一方向的な場ではなく、他国もどんどんマーケットに参画して、様々な流れが生み出されているように見受けられた。
また、出展社数が増えただけでなく、サービスの種類も増えているように見受けられた。一頃はEラーニング一色という感じであったが、既にそういった傾向はなくなり、大きなブースから小さなブースまで様々なテーマが見受けられた。
その中で、特に今年目立っていたのが、大学の出展が増えていることであった。プログラムガイドによると20以上の大学が出展していた。企業で働く職業人向けのコース提供やオンライン大学などのサービスを紹介しているところが多く、学生の裾野を広げてきている背景があるように感じた。
Eラーニング
これまでブースの中心であったEラーニングに関しては、さほど目新しいサービスが出ているという感じは見受けられなかった。ASTDは、今回のコンファレンスとは別にEラーニングを主なテーマとしたTechKnowledgeというコンファレンスを開催しており、Eラーニングのベンダーは、そちらに多く出展しているのではないかという見方もあった。
そうした中で、特徴的だったのは、3Dを使ったオーサリング・ツールやシミュレーションに関するサービスを提供しているところがある。ツールの使いやすさや画像のリアリティなど全体的なクオリティが以前よりも相当高まっているような印象を受けた。
コンファレンスの中でも、セカンドライフ上での学習が既に現実のこととして取り上げられており、今後3Dを駆使した学習の動きも増えてくるかもしれない。ただし、それらをどう使うかといったところはまだ模索しているようであった。
タレント・マネジメント、インクルージョン
コンファレンス全体を通して、今年よく使われている言葉としてタレント・マネジメントが挙げられる。E
XPO内においても、このキーワードがよく見受けられた。
例えば、大手のDDIやPDIのブースにも、タレント・マネジメントという言葉が大々的に取り扱われていた。また、今年から新しく出展していたところにSalary.com社があった。同社は、もともとはCompensationに関するサービスを提供しており、ブースではパフォーマンス・マネジメント支援ツールであるTalentManagerというソフトウェアを紹介していた。
コンファレンスの中でも、タレント・マネジメントの捉え方の幅が広がっている傾向が見受けられたが、EXPOの中でも、同社のようなどちらかというとHRM系の領域から、HRDの機能を統合していこうとする会社も出てきていた。
また、今年の特徴として、ダイバーシティやインクルージョンをテーマにあげたブースも出ていた。例えば、Novations社は、Inclusionに関する書籍「The Power of Inclusion」を出版しており、Inclusionに関するトレーニングを提供していた。また、Ivy社は、「ダイバーシティからインクルージョンへ」といったキーメッセージを掲げ、同社が提唱する58のマイクロトリガー(些細なことであるが、大きなインパクトを人々に与える引き金)についての書籍を紹介していた。