ATD(The Association for Talent Development)
ASTD2014事前レポート
ASTD2014 International Conference & EXPOが、2014年5月4~7日に米国ワシントンD.C.にて開催されます。本レポートでは、ASTD2014公式ホームページに掲載されている内容を参考に、今年のコンファレンスではどのようなことがテーマになるのか、どのような人が講演を行うのかといった見どころをご紹介していきたいと思います。
関連するキーワード
ASTD2014 International Conference & EXPO
このコンファレンスは、Workplace Learning & Performance(職場における学習・パフォーマンスの向上)に関する世界最大の会員制組織であるASTDが、毎年開催しているものです。
このコンファレンスでは、世界中から集った先駆的企業や教育機関・行政体のリーダーたちが、現在直面している諸問題にどのように取り組んでいるかを企業や国の枠を越えて学び合います。世界における人材開発の最新動向に触れながら、これからの組織・人材開発のあり方について多くの人との情報交換や課題の探求をしていく最高の場であるといえます。
今年のキーノート・スピーカー(基調講演者)
ASTDでは、毎年様々な分野におけるオピニオン・リーダーや有識者、経営者や実践家などによる基調講演が行われます。そして、この基調講演者たちの語る言葉やメッセージに耳を傾けていくと、いまの人材開発や組織開発、マネジメントやリーダーシップのトレンドとして、何が起きているかを探る手掛かりを得ることができます。今年は以下の3名によって基調講演が行われます。
アリアナ・ハフィントン
アリアナ・ハフィントン氏はハフィントン・ポスト・メディアグループの創設者、プレジデント、編集長であり、全米に記事を配信するコラムニストで、13もの著書をもつ作家でもあります。
2005年5月にニュースやブログを扱うウェブサイトであるハフィントン・ポストを設立しました。ハフィントン・ポストは瞬く間に広がり、インターネットメディアにも多く取り上げられています。2012年には、国内レポート部門でピューリッツァー賞を受賞しました。
2013年には、ハフィントン氏はフォーブス誌で最もパワフルな女性の一人として取り上げられ、2006年、2011年には、TIME 100(TIME誌の世界で最も影響力のある100人)に選ばれました。
彼女はギリシャに生まれ、その後英国に移住し、16歳でケンブリッジ大学の経済修士号を修了しました。21歳で、有名なディベート・ソサイエティである、ケンブリッジ・ユニオンのプレジデントとなりました。
スタンリー・マクリスタル将軍
素晴らしい業績をもち、ユニークな指揮官である、スタンリー・マクリスタル将軍は、知能と実践を融合させるという革命を戦争の世界にもたらしたことで、広く称賛されています。また、アフガニスタンでの対反政府活動における戦略を立案・実践したり、まったく新しい軍組織間でのコミュニケーションや実践の仕方を生み出した、包括的な対テロ組織を創設したことでも知られています。
4つ星階級章をもつ大将である彼は、元在アフガニスタン国際部隊の司令官であり、軍の最もセンシティブな部隊を監督する、合同特別オペレーション・コマンド(Joint Special Operation Command)の元リーダーでもあります。
また、ベストセラーとなるリーダーシップの本『My Share of the Task: A Memoir(仮訳:私の担当タスク:回想録)』の著者でもあります。元米国陸軍特殊部隊の一員であるマクリスタル氏は、その率直さ、イノベーティブなリーダーシップ、そして物事を最後までやり通すことで知られています。
国防長官であるロバート・ゲイツ氏に「米国で最も素晴らしい戦士の一人」と呼ばれており、リーダーシップ、チームワーク、国際情勢について、彼のような洞察をもって語れる人はほとんどいないでしょう。
マクリスタル氏は軍を2010年に退官し、現在は軍人の家族を支援したり、高等教育のサポートをしたりしています。また、ジェットブルー航空、ナヴィスター社、イエローリボン基金の理事を務めており、シーメンス・ガバメント・テクノロジー社の理事長でもあります。
2011年、マクリスタル氏はオバマ政権のスカウトにより、公共サービス部門に戻り、軍人の家族をサポートすることで注目を集めている合同部隊を監督しています。マクリスタル氏は3人からなる顧問理事会の一人であり、エール大学のジャクソン・インスティチュート・フォー・グローバル・アフェアーズのシニアフェローとして、リーダーシップについての講座を担当し、人気を博しています。
マクリスタル将軍は、2011年1月にマクリスタル・グループを共同創設しました。このグループは、組織においてイノベーティブ・リーダーシップ・ソリューションを実践することをミッションとしており、マクリスタル氏のリーダーシップの手法であるクロス・リードというものを教えています。
このクロス・リードの指針やオペレーション構造は、彼自身の軍での功績に基づいており、鍵となるリーダーシップの原則、たとえば透明性やインクルージョン、チーム力をレバレッジすること、明確なビジョンを共有することなどを大切にしています。
ケヴィン・キャロル
ケヴィン・キャロル氏は、ケヴィン・キャロル・カタリスト社の創設者であり、大きな成功を収めた3冊の本、『Rules of the Red Rubber Ball(仮訳:赤いゴムボールのルール)』『What’s Your Red Rubber Ball?! (仮訳:あなたの赤いゴムボールとは?!)』『The Red Rubber Ball at Work(仮訳:仕事の赤いゴムボール)』の著者でもあります。
業界、組織、CEOからフォーチュン500の会社の社員、子どもに至るまでの個人をインスパイアし、人間としての可能性を最大限に活かし、より意味のあるビジネスや個人の成長を持続させるために、彼らの遊びと創造性の心を受け入れることが、作家・スピーカー・社会変革エージェント(またはカタリスト)としてのキャロル氏の「仕事」であります。
自身のコンサルティングの取り組みによって、キャロルはナショナル・ホッケー・リーグやESPN、ナイキ、スターバックス、NBA、ウォルト・ディズニー社、マテル社、ハズブロ社、プロクター&ギャンブル社、ディスカバリー・チャンネル、キャピタル・ワン社といった組織において創造的なアイデアを現実のものにするための手助けをしました。
キャロルはフィラデルフィアで祖父母に育てられ、近所の公園で多くの時間を過ごし、そこで自分の天命を見つけました。それは赤いゴムボールでした。その後、彼は遊びと「赤いゴムボール」を職業とし、空軍と共に海外で通訳として活躍しました。その間、クロアチア語、チェコ語、セルビア語、ドイツ語を習得しました。
10年間の空軍での仕事を終え、大学を卒業後した後、キャロルは陸上競技のトレーナーとしてフィラデルフィアの高校とカレッジで働きました。スポーツ・パフォーマンスの専門性を買われたキャロル氏は、フィラデルフィア・セブンティシクサーズに認められ、1995年にはヘッド・アスレチック・トレーナーとなりました。セブンティシクサーズに在籍中の1997年には、キャロルはナイキの有名なスニーカーのモデルとなる、ユニークな経験もしました。
当時、「公式」には役職として存在しなかったものの、ブランドのミッションに新たな価値を提供するようなポジションを社内に創設するよう求められ、そのチャレンジを受け入れたキャロルは、クリエイティブ・チェンジ・エージェントとしての「Katalyst(KはKevinのK)」の職務に7年間就くことになりました。
ナイキでは、会社が製品のパフォーマンスやチーム・ダイナミックス、対人コミュニケーションについて、より深い理解を得ることに注力しました。2004年、キャロル氏はナイキを去り、自身の会社であるケヴィン・キャロル・カタリスト社を立ち上げ、世界中のスポーツや遊びの力を引き上げることに貢献しています。
社会変革と成功への手段として、キャロル氏は自身の人生を、スポーツと遊びの発展に捧げてきました。世界中の、ビジョンやゴールを共にするNGOや企業をパートナーとして活動しています。また、開発と平和のためのスポーツ国際年の一環として、2005年に国連でスピーチを行う機会を与えられました。
s2009年から2012年までの間、ソーシャル・イノベーションのための国際集団である、ビヨンド・スポーツ(デズモンド・ツツ大主教はビヨンド・スポーツの後援者)のアドバイザーとしても活躍しており、2013年には、サクセス誌より19名の「Seers – changing the world!(仮訳:世界を変える預言者)」の一人に選ばれました。
ASTD2014のトラックとセッションの見どころ
ASTDでは、基調講演の他に数多くのコンカレント・セッションが行われます。2月27日時点で公開されている情報によると、今年は全体で319のセッションが行われる予定です。(※セッション数は常に更新されていくため、今後セッション数が増減されることもあります)
また、同時並行で行われるEXPOにおいては、事前の発表によると今年は約400のブースの出展が見込まれ、学習とパフォーマンスの向上をサポートする様々な商品やサービスの紹介が行われます。
以下に今年掲げられた12個のセッション・トラック、および各トラックのセッション数を紹介します。
・キャリア・ディベロップメント(Career Development):38セッション
・トレーニング・デザインとデリバリー(Training Design & Delivery):48セッション
・グローバル・ヒューマン・リソース・ディベロップメント(Global Human Resource Development):18セッション
・ヒューマン・キャピタル(Human Capital):29セッション
・リーダーシップ・ディベロップメント(Leadership Development):32セッション
・ラーニング・テクノロジー(Learning Technologies):34セッション
・トレーニング・プロフェッショナルではない人向けのワークフォース・ディベロップメント(Workforce Development for Non-Training Professionals):7セッション
・ラーニングの科学(The Science of Learning):11セッション
・ラーニングの測定と分析(Learning Measurement & Analytics):19セッション
・ガバメント(Government):7セッション
・ハイヤー・エデュケーション(Higher Education):4セッション
・セールス・イネーブルメント(Sales Enablement):12セッション
・その他トラック名のないセッション:60セッション
昨年度のトラックと比較すると、今年は新たにニューロサイエンスなどに関連したセッションが行われる「The Science of Learning」のトラックが創設されています。
また昨年度から以下の2つのトラックの名称が変更されています。
・Design and Facilitating Learning(2013年)→ Training Design & Delivery(2014年)
・Measurement, Evaluation, ROI(2013年)→ Learning Measurement & Analytics(2014年)
以降、各トラックのセッションの見どころを紹介します。
キャリア・ディベロップメント
Career Development(キャリア開発)は2012年に新設されたトラックで、個人および組織のキャリアプランニングが扱われています。
今年度の傾向としては、個人の視点から見たキャリア開発についてのセッションが多くを占めているようです。「SU105:Defining and Leveraging Your Professional Value(あなたの専門価値を定義し活用する」「SU217:Stand Out in a Crowded Field of Competitors: Brand Who You Are(競合のせめぎ合うフィールドで突出した存在となる:あなたが何者かというブランド)」といったセッションを筆頭に、個人が自律的・積極的にキャリアプランニングを行っていくことの必要性が語られるようです。
一方、組織の視点から捉えるキャリア開発を扱ったセッションは、今年度はHuman CapitalやGlobal Human Resource Developmentのトラックに散りばめられている印象です。
テクノロジーという切り口でトラックを眺めても、同様に個人からの視点を扱ったセッションが多くうかがえます。
昨年まではセールス・イネーブルメントの分野で語られていたLinkedInを、個人のマーケティング・ブランディングという視点で捉えなおした「MCC1:Resumes, Bios, and LinkedIn: Connecting / Networking for the 21st Century(履歴書、経歴、そしてLinkedIn:21世紀のつながり・ネットワーク)」「TU312:Using Certifications to Build Your Brand on LinkedIn(資格を使ってLinkedInにブランドを構築する)」といったセッションや、「WCC1:(Like It or Not) You Are Your Portfolio(<否が応でも>あなたはあなたのポートフォリオ)」「SU312:Rock Your Twitter Network(Twitterのネットワークを使いこなす)」など、ソーシャル・メディアやeポートフォリオを活用したパーソナルブランディングのセッションも登場しています。
また、「W105:Web-Based Career Pathing at NASA Goddard Space Flight Center(NASAゴダード宇宙飛行センターのWebベースのキャリア?パス)」では従業員に開かれたWebベースのキャリアパスツールが紹介されるようです。
テクノロジーの進化の一方で、昨年は氾濫する情報を整理し、意味づけるため「キュレーション」という単語がバズワードとして注目を集めていました。
今年度は、昨年キュレーションに関するセッションでスピーカーを務めたデイビッド・ケリー氏が「TU112:Why You Need a PLN and How to Develop One(あなたにパーソナル・ラーニング・ネットワークが必要な理由といかに開発するか)」というセッションを行います。
氏は昨年、Learning Technologyのトラックでキュレーションの必要性とそれと同時に生じてしまうフィルター・バブルや学習が妨げられる状態について語っていましたが、今年度はPLN(Personal Learning Network)という概念をもとに、自ら学習を促進する環境を築いていき、キャリアアップに繋げていくという考え方が紹介されるようで、期待してみたいと思います。
昨年は多く見受けられた、キャリアアップを目的としたコミュニケーションなどのソフトスキル向上についてのセッションは、数は減少しているものの、EQ(Emotional Intelligence Quotient)に関するセッションが登場しているのにも注目してみたいと思います。
EQに関するセッションは、昨年はDesign & Facilitating Learningのトラックの中で1セッション扱われていたのみでしたが、今年度は「MCC3:”The EQ Advantage in Advancing Your Career”(キャリアを積むときのEQアドバンテージ)」「M105:EQ Goes to the Movie(映画となったEQ)」といったセッションの中で、キャリアアップを図る際に対人関係能力を向上させていくことをねらいとしてEQが語られることが予想されます。
その他にも、コミュニケーションについてのセッションとして「M205:What You Must Know to Survive and Thrive in the Workplace of 2014(2014年、職場で生き残り、成功するために知っておくべきこと)」などがあります。
昨年から継続されているセッションとしては、モーリーン・オレイ氏の「M312:Even a Duck Can Drown: The 5 Keys to Building Career Resilience(アヒルさえ溺れる:キャリア・レジリエンスをつける5つの鍵)」、ビバリー・ケイ氏の「TU205:Help Them Grow or Watch Them Go: The Career Development Imperative(キャリア開発の鉄則:チーム成長を支援するか、去っていくのを眺めるだけか)」などがあります。
また、「M102:Building a Practice: Pondering the Past; Predicting the Future(実行の構築:過去に思いを巡らせ、未来を予測する)」では、ビバリー・ケイ氏に加え、アン・ハーマン=ネーディ氏やマジョリー・ブランチャード氏など著名な5人の経営者が集い、事業を継続していくために必要なものについてディスカッションが行われる予定で、こちらにも注目したいと思います。
トレーニング・デザインとデリバリー
このトラックは、2009年まで独立したトラックとして存在していた「E-Learning、Designing and Delivering Learning」と「Design and Facilitating Learning」が、2010年から集約されて「Design and Facilitating Learning」となり、今年はそれがさらに「Training Design & Delivery」という名称に変更されたようです。
このトラックには、全トラックで最多の48セッションが属しており、学習効果を高める学びのデザインやファシリテーションについての基本から応用までのアプローチや実践事例など、幅広いテーマで構成されています。
今年の特徴としては、ニューロサイエンス(神経科学)に関連するセッションがいくつか見受けられます。たとえば「M318:Facilitation and Neuroscience: A Recipe for 21st Century Learning(ファシリテーションと神経科学:21世紀の学習のためのレシピ)」では、ニューロサイエンスをもとにした学習環境のデザインやグループ・ファシリテーションのあり方などが紹介されるようです。
また、ニューロサイエンスという言葉は直接使われていないものの、「W320:Training With the Brain in Mind(脳を意識しながらトレーニングする)」「M120:Capturing Mind Share With Story Theater(ストーリー・シアターでマインド・シェアを獲得する)」「W100:Thinking and Learning Agility: Four Steps to Outsmart Business Pressures(思考と学習のアジリティ:ビジネスのプレッシャーに打ち勝つための4ステップ)」などでは、学習と脳の働きの関連性やそのアプローチが取り上げられており、関心が高まっているように思いました。
その他の特徴として、昨年に引き続き、「アジャイル」や「デザイン」といったキーワードも見受けられました。
具体的には、「W108:Design: Blending Agile and ADDIE to Grow Performance(デザイン:アジャイルとADDIEを融合してパフォーマンスを向上させる)」「W317:Introduction to Agile Project Management for Learning(学習のためのアジャイルなプロジェクト・マネジメント入門)」「W221:Reimagining Learning Through Design Thinking(デザイン・シンキングで学習を再考する)」といったセッションが開催され、学習をデザインするアプローチ自体を変えていくことをテーマにしたセッションも増えているように思います。
例年行われているプレゼンテーションやインストラクション、ファシリテーションといった学習提供者のスキルを高めることを目的としたセッションについても、ボブ・パイク氏、ジム・スミス氏、ケン・ブランチャード氏など、ASTDのレジェンド・スピーカーに加え、初参加の個人や団体によっても複数開催されるようです。
インターネットやソーシャル・ネットワークをうまく活用してラーニングの効果を高めていくことを扱ったセッションも、これまで同様見受けられます。
具体的には、「SU103:Cave Wall to Internet: Storytelling, the Ancient Learning Art(壁画からインターネットへ:古代のラーニング・アートであるストーリーテリング)」「SU203:Designing a Management Development Program that is More Impactful in the Virtual Space(仮想空間内でよりインパクトのあるマネジメント開発プログラムを設計する)」「SU301:Games, Learning Styles, and Engagement: An Evidence-Based Approach(ゲーム、ラーニング・スタイルおよびエンゲージメント:エビデンスに基づくアプローチ)」などがあります。
グローバル・ヒューマン・リソース・ディベロップメント
このトラックは、ASTDとして「グローバル」の視点をより明確に打ち出すため、2011年に新設されました。それ以来、グローバルの変化の動向を踏まえた人材育成のアプローチや取り組み事例を扱ったセッションによって構成されています。
ここ数年、セッションの多くは、米国以外の取り組み事例の紹介が増加しています。今年は中国、インド、韓国、タイ、イギリス、トルコ、オランダ、スウェーデンといった国々の取り組み事例が紹介される予定になっています。
今年の特徴的な傾向としては、VUCA:変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の高いビジネス環境の中で、いかに「グローバル・リーダーシップ」や「グローバル・チーム」の質を高め、パフォーマンスの向上につなげるかといったことがうかがえます。
見どころとしては、「グローバル・リーダーシップ」の観点では、DDI社のディレクターやシニア・バイス・プレジデントによる「SU206:Developing Future Leaders in China and India(中国vs. インド:誰が将来のリーダー開発について先行しているか?)」と「M207:What Drives Leadership Performance in a VUCA World?(VUCAの世界において、何がリーダーシップ・パフォーマンスを向上させるか?)」が挙げられます。
これらのセッションでは、DDI社による中国やインド企業のリーダーの動向調査やグローバル・リーダーシップ予測による分析結果を踏まえたポイントが紹介されるようです。
グローバル・リーダーシップ開発の取り組み事例としては、トルコの銀行であるデニスバンクの取り組みを紹介する「M106:Leadership Development for Sustainable Growth(持続的成長のためのリーダーシップ開発)」が参考になるかもしれません。
このセッションでは、ビジネスゴールの実現に向けて、タレント・マネジメントを踏まえたリーダーシップ開発のプロセスについて触れるようです。
また、「グローバル・チームのコラボレーション」の観点では、肥料製造のグローバルカンパニーであるモザイク社のグローバル・タレント・マネジメント部門のマネジャーによる「M306:Maximizing Collaboration and Learning on Global Virtual Teams(グローバル・バーチャル・チームにおけるコラボレーションと学習を最大化する)」が興味深そうです。
このセッションでは、地理的に分散したグローバル・バーチャル・チームが直面する時差、言語、国や組織の文化を越えたコミュニケーション上の課題や機会について探求するようです。
ヒューマン・キャピタル
このトラックでは、Human Capital(人的資本)を最大限に高め、パフォーマンスの向上や変革を推進するためのアプローチや取り組み例などが紹介されています。扱われているテーマとしては、タレント・マネジメントやチェンジ・マネジメント、変革やイノベーション、コンピテンシー、ダイバーシティ、エンゲージメント、コーチングなど幅広いものが挙げられます。
その中でも、特に今年は「イノベーション、チェンジ、トランスフォーメーション」といったキーワードが多く使われているところが傾向として見受けられました。その一方で、昨年度多く見受けられた「メンター、メンタリング」は、昨年度と比べると減少している印象です。
具体的な見どころとして、まずチェンジ(変革)に関するものでは、変革に対する私たちの捉え方や認識の仕方をシフトさせていこうといった趣旨のセッションが挙げられます。
たとえば、「SU110:It is All in the Mind: Change the Way You Think About Change(すべては心の中に:変化についての考え方を変える)」「TU108:Little BIGS: Small Changes That Ignite Power Behavior Change(Little BIGS:行動の変革パワーに火をつける小さな変化)」といったセッションでは、これまで変革に取り組むにあたって用いられてきた考え方自体を捨てて、変革が実際にどのように進むのかについて、新たな枠組みから理解を深める必要性が、具体例や実践のステップとともに提示されるようで興味深いです。
また、「SU208:Skills for Driving Innovation in Flat Organizations(フラット組織でイノベーションを推し進めるスキル)」では、ゲイリーハメル氏の著書『経営の未来』(日本経済新聞出版社、2008年)の中で、イノベーティブな企業として取り上げられていたW.L.ゴア&アソシエイツ社の事例が、同社のリーダーシップ開発担当者から紹介されます。
マネジャーもタイトルも存在しない同社のフラットな組織のあり方や組織文化がどのように形成されてきたのかを生きた事例から学べる機会になると思われます。
また 「TU215:The Future of Innovation: Why?and How?Everyone Must Innovate(イノベーションの未来:なぜ―そしてどのようにして―誰もが革新しなければならないか)」では、組織のあらゆるレベルで、あらゆる人々がイノベーティブになることの必要性や、そのヒントとしてのヒューマン・センター・デザインなどが語られ、注目してみたいと思います。
そして、リーダーシップのあり方についても、新しいコンセプトや考え方が垣間見られそうなセッションが見受けられます。 「M320:How High-Performing Organizations are Developing Global Leaders at all Levels(ハイパフォーマンスな組織は、どのようにすべてのレベルでグローバルリーダーを開発しているか)」では、i4cp社とAMA(American Management Association)から、グローバル・リーダーシップ開発に関するベスト・プラクティスや調査結果がリサーチに基づいて紹介されます。
その中で取り上げられている「Individual Contributor」という言葉は、多くの場合、マネジメント層との対比で、一般の社員を表現する際に使われるようですが、ここではチームではなく個人として大きな価値を生み出し、活躍している人のことを指して使われているようです。個人にフォーカスが当たった今後のリーダーシップのあり方を考える上でも注目してみたいセッションといえます。
その他にも、「M309:Innovation: What Is It and Can It Be Taught?(イノベーション:それは何か、また、それを教えることができるか?)」「M308:Influential Change Management: Six Keys to Achieving Unprecedented Culture Change(影響力のあるチェンジ・マネジメント:前例のない文化の変化を達成するための6つのキー)」「W110:Change of Scene: Writing a New Script For Change Management(シーンの変化: チェンジ・マネジメントのための新しいスクリプトを書く)」「M110:Becoming a Story-Culture: Aligning Organizational Change and Behavior Through Stories(ストーリー・カルチャーになる:ストーリーを通して組織の変革と行動をアライメントする)」といったセッションにおいても、チェンジ・マネジメントや組織文化について様々なヒントが得られるように思いました。
以上、このトラックのセッションに見どころを抜粋して紹介してきました。このHuman Capitalのトラックは、2012年より創設されましたが、今年は例年以上に、イノベーションや変革について新たな枠組みやより深い洞察が学べるセッションが数多く集結している印象をもちました。
リーダーシップ・ディベロップメント
このトラックでは、リーダーシップ開発に関するセッション全般が扱われています。
今年の象徴的な傾向として、リーダーシップ開発とニューロサイエンスを絡めて扱うセッションが登場したということです。具体的には、「TU314:Neuroscience and Martial Arts: Learning That Drives Performance(神経科学と武道:パフォーマンスを促進する学習)」があります。また、タイトルでは明言していないものの、「M211:Olympic Leadership Lessons: The 5D Framework for Personal Change(オリンピックでのリーダーシップの教訓:個人の変化を起こす5Dフレームワーク)」「TU101:Things About Leadership We Never Would Have Said Just Three Years Ago(たった3年前でも口にしなかったリーダーシップに関すること)」では、Descriptionの中のキーワードとしてニューロサイエンスが出てきており、ニューロサイエンスの知識が人材開発担当にとって重要となってきていることがうかがえます。
また、今年もケン・ブランチャード・カンパニー社のケン・ブランチャード氏他、同社数人、ゼンガー・フォークマン社のジャック・ゼンガー氏とジョー・フォークマン氏、DDI社、CCL等、毎年のように登場している個人や団体がそれぞれセッションをもっています。
今年は、それらの団体に加え、広く知られた調査研究機関であるコンファレンス・ボードのエド・ベトフ氏がセッションを出しています。エド・ベトフ氏は、「TU316:Leaders as Teachers: A Powerful Lever for Growth and Change(先生としてのリーダー:成長と変化のための強力なレバー)」というセッションを行いますが、「リーダーズ・アズ・ティーチャーズ」のコンセプトを企業で導入してきた第一人者の一人です。また、昨年からザ・アイクリフ・リーダーシップ・アンド・ガバナンス・センターという団体が登場していますが、この団体は、アジアを中心としたリーダーシップ開発やコーポレートガバナンスのソリューションを提供するNPOです。米国以外を拠点とした機関が登場してきたのは一つの変化かもしれません。
また、企業によるセッションや事例では、IT企業によるセッションが登場しているのも注目に値します。具体的には、フェイスブック社が「W112 :Social Media as an Organizational Ally: Effective Conflict Resolution Strategies(組織の協力者としてのソーシャル・メディア:効果的な紛争解決の戦略)」、イーベイ社が「W103:Talent Management Strategy and Leadership Development in the Real World(現実の世界でのタレント・マネジメント戦略とリーダーシップ開発)」というセッションを行います。また、グローバルな企業事例としては、韓国企業のサムスン社、ヒュンダイ・ハイスコ社の2社がこのトラックでセッションを行います。その他には、米国企業の事例としてバンク?オブ?アメリカ、ヘイワース社のセッションがあります。
ラーニング・テクノロジー
Learning Technologies(ラーニング・テクノロジー)のトラックでは、様々なテクノロジーを用いて学習を効果的に行う方法や事例などを取り上げています。
近年はソーシャル・ラーニングやモバイル・ラーニングがこの分野の主流として定着し、その発展の中から様々な技術領域の応用が生まれてきました。昨年からは新たに、キュレーション、ゲーミフィケーションといったワードがトレンドになりましたが、今年もこうしたワードを扱うセッションがいくつかあります。
モバイル・ラーニングやソーシャル・ラーニングの具体的な事例として、「W207:The Impact of Mobile in Developing and Emerging Economies(発展途上国や新興市場国でのモバイルのインパクト)」「TU109:Build Your Company Tribe: Engaging Employees Through Online Collaboration(あなたの会社の仲間をつくりましょう:オンライン・コラボレーションによる従業員のエンゲージメント)」といったセッションがあり、新興市場における価値や、コラボレーションによる価値創出についての話が紹介されるようです。
ゲーミフィケーションに関しては、昨年もこのテーマでスピーカーを務めたカール・カップ氏による「W101:Three Mysterious Keys to Interactive Learning: Game-Thinking, Game-Elements, and Gamification(インタラクティブな学習における秘密の3つの鍵:ゲーム思考、ゲーム要素およびゲーミフィケーション)」というセッションがあり、ゲーミフィケーションに関する理解と実践への応用のヒントが得られるかもしれません。
その他にも、映像の活用に関するセッションや、ビッグデータに関するセッションもあり、この分野が関わる領域は年々広がってきているように思います。MOOC (Massive open online course : Web上での無料の大規模講義)なども盛んになり、より多くの人が学習環境にアクセスできるようになる変化の中で、効果的なラーニングをいかに多くの人に提供するか、ラーニング経験をいかにパーソナライズするかといったことに関して注目していきたいと思います。
トレーニング・プロフェッショナルではない人向けのワークフォース・ディベロップメント
このトラックは、昨年新しくできたトラックで、人材開発やトレーニングを主な業務としない、組織で働く一人ひとりが、チームのマネジメントや育成、組織開発に取り組む際のヒントを扱ったセッションが中心となっています。
今年、このトラックのセッションの多くは、現場で感じやすい様々なジレンマを扱っているようです。たとえば、「M217:Converting “Too Busy” Managers into Can-Do Leaders of Workforce Development(忙しすぎるマネジャーを意欲的なワークフォース・ディベロップメントのリーダーに変える)」で語られるマネジメントと業務の両立や、素晴らしい職場をつくる際の数々の障害を乗り越える方法を紹介する「TU217:Great Workplaces: How to Push Past Challenges, Real and Imagined(素晴らしい職場:現実であれ想像であれ、過去のチャレンジを突き進む方法)」などがあり、昨年と比べてもより現場で奮闘するマネジャー層に向けたセッションが多くなっています。
また、昨年はより良いマネジャーになるための方法についてのセッションが多く見られましたが、今年はチームのメンバー全員がリーダーになることを目指す「W217:A Team of Leaders: Empowering Members to Take Ownership, Demonstrate Initiative, and Deliver Results(リーダーのチーム:メンバーがオーナーシップを取り、イニシアチブを発揮し、成果を上げるためのエンパワーメント)」や、「SU115:Creating Greater Organizational Productivity: Helping Everyone Get More Done(組織の生産性を高める:誰もがより多くを成し遂げる手助け)」など、メンバーそれぞれの能力の底上げを図るようなセッションが見受けられることも特徴として挙げられそうです。
中でも注目したいセッションは、「SU202 :How Exceptional Managers Use Psychology to Develop Their People(優れたマネジャーは、どのようにして人材開発に心理学を取り入れているか)」という現場のマネジメントの助けとして心理学を取り扱ったセッションがあります。
また近年、従来のオフィス環境以外で働く人が増えるにつれ、重要性を増してきたバーチャル機器を業務でどのように活用するかというセッション、「W117:The Nuts and Bolts of Virtual Supervision(バーチャル・スーパービジョンの基本)」にも注目してみたいと思います。
ラーニングの科学
このトラックは、昨年までの「デザイン&ファシリテーティング・ラーニング」から分科し、今年新設されました。
主な特徴としては、全11セッションのうち7セッションがニューロサイエンス(脳科学は神経科学の俗名です。)を踏まえた学習や人材育成の促進をテーマとして掲げていることが挙げられます。ASTDコンファレンスにおける過去3年間のニューロサイエンス関連のセッション数の推移を振り返ると、2011年:1セッション、2012年:1セッション、2013年:4セッションとなっており、大幅に増えているといえます。
実際、ASTDのCEOであるトニー・ビンガム氏は、昨年のコンファレンスにおいて、「ニューロサイエンスによって、ディベロップメントを加速させる方法を探し出そうとしている。ニューロサイエンスは個人にも組織にも素晴らしいものをもたらしてくれると期待している」といった発言をするなど、ASTDとしてニューロサイエンスに着目し、意欲的に取り入れていこうとする姿勢がうかがえます。
本トラックの見どころとしては、ニューロリーダーシップ・インスティテュートのCEOであるデイビッド・ロック氏が講演する、「TU200:Transform Performance Management Through Neuroscience(神経科学を通じたパフォーマンス・マネジメントの変革)」は特に注目したいところです。生産性向上のテクノロジーの利用や測定に偏重したパフォーマンス・マネジメントを脱し、真のパフォーマンス向上につながるマインドセットと会話の質を高めるポイントについて、ニューロサイエンスの最新のリサーチを活用しながら、紹介されるようです。また、関連セッションとして、同インスティテュートのスピーカーによる「SU101 :The Neuroscience of Learning(学習の神経科学)」や「M202:Coaching With the Brain in Mind(脳を使ったコーチング)」もお勧めです。前者では、ニューロサイエンスの観点から人が学習するメカニズムを明らかにし、学習の促進を促進させるポイントブレークスルーするポイントが紹介されるようです。また後者では、コーチングを効果的にするためにコーチが知っておきたい脳の知識について紹介されるようです。
また、それ以外では、「TU303:Inspire a More Loyal and Productive Workplace With the Respect Effect(尊重の効果によって、より忠実で生産性の高い職場へとインスパイアする)」のセッションも興味深い内容かもしれません。同セッションでは、ニューロサイエンスと組織開発を統合したアプローチによる文化、生産性、収益向上について紹介されるようです。
ラーニングの測定と分析
このトラックは、ラーニングに関する様々な施策に対する効果の測定や、より成果を高めるための分析に関するセッションで構成されています。昨年までは、「測定、評価、ROI」という名称のトラックでしたが、今年から「分析」という言葉を入れてきたことで、測定・評価で終わるのではなく、集めたデータからよりラーニングの価値を高めていこうというメッセージを打ち出そうとしているのかもしれません。
4段階モデルやROIモデルといった基本的なモデルを紹介するベーシックなセッションと、それをベースにした事例を紹介するセッション、組織開発など組織の戦略や目標を実現するための施策に関する効果測定を扱うセッションなどが近年のトレンドとなっていますが、今年もこうしたトレンドは継続しているようです。
ベーシックなセッションとしては、「SU111:ROI 2.0: New Applications, New Cultures, New Tools(ROI 2.0:新しいアプリケーション、新しいカルチャー、新しいツール)」があります。このセッションでは、ROIモデルの提唱者であるジャック・フィリップス氏が、時代の変化に即したROIの最新研究を紹介するようです。
組織的な取り組みという観点では、「TU319:The Value of Learning: Gauging the Business Impact of Organizational Learning Programs(ラーニングの価値:組織学習プログラムのビジネス・インパクトを測る)」にて、ケビン・オークス氏からASTDとi4cp社の2013年の調査結果が発表されるようですので、こちらも注目したいところです。
最後に、今年からの傾向として挙げられるのが「ビッグデータ」です。社会的な広がりと関連してか、2つのセッションでビッグデータと人材開発・組織開発を結び付けた話が紹介されるようです。昨年までは1つもなかったので、大きな変化といえるでしょうし、ビッグデータの活用によって生じる変化や効果については興味をもって探求したいと思います。
ガバメント
本トラックは、行政における人材・組織開発にも力を入れていこうとしているASTDが2012年度から創設したものです。連邦政府や州政府、地方自治体など、あらゆるレベルの行政体で働く人々による学習とパフォーマンス向上に関する取り組みが紹介されています。
例年は、研修の効果測定などのテーマが多く扱われている印象がありましたが、今年は公共の機関や組織におけるリーダーシップ開発の取り組みが、複数取り上げられています。
「M119:NASA Goddard Space Flight Center’s Integrated Approach to Leadership Development(NASAのゴダード宇宙飛行センターによるリーダーシップ開発の統合的アプローチ)」では、NASAの様々な機関からリーダーシップ開発のベスト・プラクティスとして認識されたゴダード宇宙飛行センターにおける取り組み事例が、その哲学やゴール、アプローチとあわせて紹介されるようです。
また「TU311:Wanted: Enterprise Leaders to Tackle Wicked Government Problems(求む。政府の厳しい問題に取り組むエンタープライズ・リーダー)」では、米国防総省とブーズ・アレン・ハミルトン社の担当者から、行政に求められるリーダーシップのモデルとして、省庁間の垣根を越えて、全体に対して働きかけを行い、統合的なソリューションを生み出せるエンタープライズ・リーダーのコンセプトやアプローチの紹介が行われます。昨今ASTDでも見受けられるBoundary-Spanningといったキーワードも出てきており、注目してみたいと思います。
ハイヤー・エデュケーション
このトラックは、2年前から創設されたもので、高等教育(大学以上)における学習に関する考え方や取り組みが紹介されています。例年4つ程度のセッションが行われているようですが、今年も4つのセッションが行われています。
セッション数がそれほど多くないので、明確なトレンドのようなものは見受けられませんが、それぞれのセッションの概要を紹介すると、まず「M220:Virtual Faculty Training: Tools for Growth and Collaboration(教授陣のためのバーチャル・トレーニング:成長とコラボレーションのためのツール)」「TU220:Conducting and Evaluating Internal Leadership Development Programs in Higher Education(高等教育において内部のリーダーシップ開発プログラムを実施し、評価する)」では、大学内で働く人々の成長、コラボレーション、リーダーシップの向上をいかに促進していくかといった視点から、セッションでは具体的な実践例が紹介されます。
また、「SU220:Help! There Are Adults in My Classroom! (助けて!私の教室に大人がいる!)」「W220:Translating Dynamic Experiential Learning Into the Online World(ダイナミックな体験学習をオンラインの世界に変換する)」では、授業のオンライン化や学生の多様化などといった環境の変化に伴い、高等教育においていかに学習のあり方を変革していけるかについての探求が行われるようです。
セールス・イネーブルメント
このトラックは2012年に新設され、今年で3年目ですが、2年前と比べると、セッション数は徐々に減ってきているようです。
今年の主な特徴としては、セールス・スキルを高めたり、より良いセールス・トレーニングをつくったりすることに加え、チームとしてセールスの効果を高めることについてのセッションが見受けられることです。
たとえば、販売スキルにはチームワークやコラボレーションが大切だとしている「W218:Innovative Team Selling: Teaching Sales Teams How to Leverage Resources(イノベーティブなチーム・セールス:セールスチームに資源の活用法を教える)」や、マネジャーがどのように強いセールスチームを育てたらよいかを紹介する「M118:Sales Managers Wear too Many Hats: Improving Sales Performance(セールス・マネジャーの役割は多すぎる:セールス・パフォーマンスの改善)」などが登場しています。
昨年、このトラックではモバイルやソーシャル・ネットワークを駆使してセールスの成果につなげていくといったセッションが見受けられましたが、今年は「TU218:Mobile Sales Playbooks Made Easy: Shorten Cycles and Increase Win Rates(モバイルのセールス計画書が簡単に:サイクルを短くし、勝率を上げる)」の1セッションとなっています。
注目したいセッションとしては、アルフレッド・カストロ氏が行う「M311:Strategic Storytelling for Sales Manager Development(セールス・マネジャー開発のための戦略的ストーリーテリング)」があります。このセッションは、セールス・マネジャーのコミュニケーションやマネジメント改善のためのプログラムにストーリーテリングを取り入れるという、大変興味深い内容となっています。
また、過去のASTDコンファレンスでも講演経験のあるミラー・ハイマン社サム・リース氏のセッションとして、「W118:State of the Selling Landscape(セールスの景観図)」があります。ここでは、移り変わる消費者の購買行動やベスト・プラクティスの最新トレンドに適応し、今日のマーケットで競争力を保つために必要な視点とそのトレーニング・プログラムについて、紹介しています。
企業事例では、バイエル薬品ブラジルの「TU318:Winning Over the Point of Sale: A Bayer Pharmaceuticals Brazil Case(販売時点情報管理を制する:バイエル薬品ブラジルのケース)」があり、体験的アクティビティや有効な販売時点情報管理マーケティングの知識含む、バイエル社販売員のための5ステップ・プログラムが紹介されます。