ATD(The Association for Talent Development)

ATD2018事前レポート

ATD2018 International Conference & EXPOが、2018年5月6日~9日に米国カリフォルニア州にて開催されます。本レポートでは、ATD2018公式ホームページに掲載されている内容を参考に、今年のカンファレンスではどのようなことがテーマになるのか、どのような人が講演を行うのかといった見どころを紹介していきたいと思います。

関連するキーワード

このカンファレンスでは、世界中から集まった先駆的企業や教育機関・行政体のリーダーたちが、現在直面している諸問題にどのように取り組んでいるかを企業や国の枠を越えて学び合います。世界における人材開発の最新動向に触れながら、これからの組織・人材開発のあり方について、多くの人との情報交換や課題の探求をしていく貴重な場であるといえます。

本レポートでは、ATD2018公式ホームページに掲載されている内容を参考に、今年のカンファレンスではどのようなことがテーマになるのか、どのような人が講演を行うのかといった見どころを紹介していきたいと思います。

今年のキーノート・スピーカー(基調講演者)

ATDでは、毎年様々な分野におけるオピニオン・リーダーや有識者、経営者や実践家などによる基調講演が行われます。そして、この基調講演者たちの語る言葉やメッセージに耳を傾けていくと、人材開発や組織開発、マネジメントやリーダーシップのトレンドとして、いま何が起きているかを探る手掛かりを得ることができます。今年は以下の3名によって基調講演が行われます。

第44代アメリカ合衆国大統領バラク・オバマ (President Barack Obama)

オバマは、大統領の座に辿り着くまでには、とても異例な道を歩みました。

母親はカンザス州出身で、父親はケニア出身です。自身はハワイ州で生まれ、祖父母に育てられました。そのため、彼の人柄は温厚なアメリカ中西部のカルチャーから来ています。家族に育まれた価値観や、生まれもった人生への前向きな姿勢から、オバマはアメリカという国が自分に与えてくれた機会と同じものをすべての子どもに与えるために、人生を捧げなければならないと思うようになりました。

奨学金をもらったり、ローンを組んだりして大学をなんとか卒業した後、オバマは、イリノイ州のシカゴに引っ越しました。シカゴでは現地の教会などと協力をして、製鉄業の衰退により貧困に陥ったコミュニティーの再生を支援しました。

その経験によって、一般人の人々であっても政治的な目的を中心に団結することで、素晴らしい変化をもたらすことができるという信念が磨かれました。法科大学院では、Harvard Law Reviewの史上初アフリカ系アメリカ人編集長になり、卒業後はシカゴ大学の法科大学院で教師をするためにイリノイ州に戻りました。その後政治の世界に飛び込み、イリノイ州の上院議員を経て、アメリカ合衆国の上院議員に就任しました。

2008年11月4日に、オバマは史上最多の票を集め、44代目のアメリカ合衆国大統領として当選しました。
彼が就任した当時、アメリカは大混乱に陥っていました。他国と交戦状態にあり、環境問題も深刻化し、経済も大恐慌以来の危機的な状態にあるなど、アメリカン・ドリームのコンセプト自体が脅かされていました。

しかし、あらゆる政治的妨害にあっても、オバマは自らのリーダーシップで乗り越えました。経済を改善し、アメリカの自動車産業も復活させ、24万人のアメリカ人をカバーする医療制度を改革し、クリーンエナジーを使う道へと国を導きました。また、雇用機会の創出にも尽力し、アメリカ史上、最も長期間に渡る雇用状況の改善に貢献しました。

他にも、世界の舞台におけるアメリカの強力なリーダーシップと外交力に対するオバマの信念によって、イラクとアフガニスタンの戦争を終結させ、アルカイダを滅ぼし、テロリストを排除し、イランの核兵器計画を停止し、キューバの人々と新しい関係を築き、気候の変動に対処するために人類を団結させました。

大きな挑戦と変化の時代に、オバマ大統領のリーダーシップの下、アメリカはより強固な経済、より平等な社会、そして国内においてもより安全な社会を実現し、世界からも称賛を得ました。オバマ政権によって、人々はアメリカの大きな変化を目の当たりにし始めただけではなく、オバマ自身が捉えているアメリカのビジョンが見えてきたときでもありました。アメリカは、世界で雄一我々の物語が可能な地だと。

バラク・オバマと妻ミシェルには、娘が2人 (18歳のマリアと15歳のサーシャ)います。

マーカス・バッキンガム(Marcus Buckingham)

マーカス・バッキンガムは、強みを明らかにし、パフォーマンスを向上させ、人々の働き方の未来を開拓することに焦点を当てた研究者であり、思想的リーダーです。

ギャロップ社の上級研究員としての20年近くの経験を踏まえ、現在は共同経営者と才能の専門家としてADP研究所のビジョンを指導しています。

彼は「強大な革命を起こす」という明確な使命をもって、2006年にマーカス・バッキンガム・カンパニーを設立しました。彼は、単に従業員の弱点を改善するのではなく、強みを育むことに重点を置く企業は、個人の最大の成長を可能にしながら、効率と生産性を劇的に向上させると信じています。
マーカスは、強みを発揮したエンゲージメントの高い従業員と、売上率、顧客満足度、利益、生産性といった、ビジネスをする上での重要な要素間との相関関係に焦点を当てています。

マーカスは、国際的に有名な思想家のリーダーであり、ビジネスの専門家としてNew York Times、Fortune、Fast Company、Harvard Business Review、USA Today、Wall Street Journalなど、複数のビジネス誌で紹介されています。
また、Larry King Live、The Today Show、The Oprah Winfrey Showなど、数多くのテレビ番組にも出演しています。
他にも、トヨタ、Facebook、 Lululemon、Coca-Cola、Box, Master Foods、Wells Fargo、Microsoft、Disneyなど、数々の企業と協力して、従業員一人ひとりが自身の強みを見出し、人生で成功し続けることをインスパイアしました。

マーカスの初上梓である『First, Break All the Rules(邦題:まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーはここが違う)』(1999年、共著:カート・コフマン)は、すべての人が最高のパフォーマンスを発揮できるが、ルールはその最高を引き出すのに必要とされている個人のオリジナリティーと独創性を規制してしまうと主張しています。

ゴールは、チームリーダーにメンバーの才能を発揮させ、パフォーマンス向上を促すのに必要なツールを提供し、組織により大きな成功と生産性をもたらすものです。職場における強みに関する彼の他の著書には、『Now、Discover Your Strengths(邦題:さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす)』(2001年、共著:ドナルド・O. クリフトン)、『The One Thing You Need to Know(邦題:最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと)』(2005年) 、『Go Put Your Strengths To Work(邦題:最高の成果を生み出す 6つのステップ)』(2007)『The Truth About You(邦題:「興味」と「成功」の法則”ほんとうのあなた”を仕事に活かそう!)』(2008年)、そして『Find Your Strongest Life(邦題:さあ、シンプルに生きよう!)』(2009年)があります。

『StandOut』(2011年)の成功を経て構築したStandOut 2.0は、人それぞれの強みのトップ2に合った役割(比較優位の領域)を明らかにするプロダクティビティ・プラットフォーム(生産性の基盤)を備えています。StandOut 2.0は、一人ひとりの強みに合った実用的な革新をもたらし、チームリーダーがチームメンバーから最高のものを得るための洞察を迅速に提供します。

コニー・ポデスタ(Connie Podesta)

作家であり、教育者でもあり、プロのカウンセラーである、スタッフ・ディベロップメント&エンプロイーアシスタントの元ディレクターのコニー・ポデスタは、聴衆に語りかけるだけではなく、彼らを魅了し、インスピレーションを与え、個人的および職業的なより高い目標に対し向上心を促すプロの講演者です。

彼女は、プライベートでの生活の質とビジネスでの成功は強く関係していると主張しているため、職場や家庭で役に立つアドバイスを提供しています。
また、エンターテイナーとしてのスキルも活かし、コニーは人々の人生を変える具体的なアドバイスもします。彼女は『Audiences Stand Up When You Stand Out』、『Life Would Be Easy If It Weren’ t for Other People』 and 『Self-Esteem and the Six-Second Secret』の著者であり、『How to Be the Person Successful Companies Fight to Keep(邦題:勝ち抜く人の8つの習慣)』の共著者でもあります。

※キーノート・スピーカーの記事、及び写真は、ATDのウェブサイトから引用しています。

ATD2018のトラックとセッションの見どころ

ATDでは、基調講演の他に数多くのコンカレント・セッションが開催されます。3月22日時点で公開されている情報によると、今年は全体で約420のセッションおよびワークショップが行われる予定です(※セッション数は常に更新されていくため、今後セッション数が増減することもあります)。
また、同時並行で開催されるEXPOにおいては、例年400以上のブースの出展が見込まれ、学習とパフォーマンスの向上をサポートする様々な商品やサービスが紹介されます。

以下に、今年掲げられた14個のセッション・トラック、および各トラックのセッション数を紹介します。

・ラーニング・テクノロジー(Learning Technologies):44セッション
・リーダーシップ・ディベロップメント(Leadership Development):47セッション
・トレーニング・デリバリー(Training Delivery):32セッション
・インストラクショナル・デザイン(Instructional Design):38セッション
・タレント・マネジメント(Talent Management):29セッション
・キャリア・ディベロップメント(Career Development):19セッション
・グローバル・ヒューマン・リソース・ディベロップメント(Global Human Resource Development):17セッション
・ラーニングの測定と分析(Learning Measurement & Analytics):15セッション
・ラーニングの科学(Science of Learning):27セッション
・セールス・イネーブルメント(Sales Enablement):14セッション
・マネジメント(Management):13セッション
・ガバメント(Government):6セッション
・ヘルスケア(Healthcare):10セッション
・ハイヤーエデュケーション(Higher Education):4セッション
※セッション数は、2018年3月22日現在のものです。

以降、各トラックのセッションの見どころを紹介します。どんなセッションが行われるのかをダイジェストでご覧いただき、タレント・ディベロップメントの動向をつかむ参考としていただければ幸いです。

ラーニング・テクノロジー

このトラックでは、最先端のテクノロジーを用いた新しい学習の姿や、学習を効果的に行う方法、事例などを取り上げています。ラーニングとテクノロジーの関係は近年最も注目を集めるトピックであり、毎年のATDでも最大級のトラックとなっています。

その中でも、昨年からは、Alやバーチャル・リアリティなど、インターネット、モバイル、ソーシャル・ネットワークに続く新しいテクノロジーが現れ賑わいました。今年はさらにどのようなテクノロジーの進化を垣間見ることができるのか楽しみなトラックです。

今年のセッションでまず注目なのが、組織学習デザインの大家で、「eラーニング」という言葉の生みの親であるエリオット・メイシー氏が、2014年のASTD以来の登壇をします。

氏が登壇する「TU304:Learning Trends, Disrupters, and Hype in 2018 (2018年ラーニングの潮流、混乱させるもの、喧伝されているもの)」では、近年の新しいテクノロジー(マシン・ラーニング、音声ベースのコーチング、チャットボット、VR/AR等々)について触れながら、ラーニング・テクノロジーの最新のトレンドについてのお話が聴けそうです。今回、彼がどのような洞察を共有してくれるのか注目したいところです。

また、近年の新しいラーニング・テクノロジーがビジネスに実際どのようなインパクトを与えているかについて、オラクルやeBay、アップル、米ヤフー、マイクロソフト、インテルなど米国が誇るそうそうたるテクノロジー企業のラーニング・ストラテジーの策定と導入に携わったブランドン・カルソン氏がATDで初登壇します。

「M306:Learning in the Age of Immediacy: How the Digital Transformation Transforms Training(即時性の時代の学習:デジタル変換がどのようにトレーニングを変えるか)」では、どういった変革の話が聞けるのか期待したいところです。

今年のトレンドとしては、Experience API(xAPI)を扱ったセッションが目立ちました。

xAPIは、2013年4月に ADL (Advanced Distributed Learning) より発表された最新のeラーニングにおける国際標準規格です。

xAPIは、多様な教育関連の経験履歴の取得ができるデータベースを標準化していることから、様々な角度から個人や組織の学習を分析することが可能になります。将来的にはAIと組み合わせて、個人にあった学習を自動的に生成するような仕組みが期待されています。

ATDにおいてそうしたテクノロジーへの注目が高まっている背景には、いよいよxAPIの活用が本格的にはじまったのではないかと想像されます。
そこで注目したいセッションとしては、毎年難しいテクノロジーのトピックを分かりやすく説明してくれる、メーガン・トランス氏のセッション、「TU212:XAPI Geek-Free and Ready to Go(オタクでなくてもわかる実践的xAPI)」です。
xAPI普及の準備が整ったとする状況について、彼女は分かりやすく共有してくれるでしょう。

xAPIについて扱ったセッションは、他にも「SU315:Building the xAPI Ecosystem of Your Dreams(あなたの理想のxAPIエコシステムを構築するには)」や「M117:XAPI for Dummies(誰でもわかるXAPI)」があります。

昨年に引き続きバーチャル・リアリティ(VR)/拡張・リアリティ(AR)についてのセッションには、勢いが感じられます。
毎年最先端のテクノロジーについてダイナミックに紹介してくれるアンダース・グロンステッド氏のセッション「SU405:From Immersion to Presence: How Virtual and Augmented Reality Are Revolutionizing Learning(没入感から実在感へ:バーチャルと拡張現実は学習をどう変革したか)」は、今年もきっと楽しませてくれるでしょう。

また、ATDの常連スピーカーであるデイビッド・ケリー氏のセッション「TU405:What’ s Really Happening in Virtual Reality?(バーチャル・リアリティ(VR)で何が起こっているのか?)」も、同じくVR/ARの最新の動向を聞くことができそうです。

他にも、VR/ARを扱ったセッションには、「M302:Getting Started With Augmented Reality(拡張現実を使い始めるには)」、「W316:Virtual Reality: A Real-World Hospitality Case Study(バーチャル・リアリティ:現実世界におけるホスピタリティのケーススタディ)」があります。

例年同様に、動画(ビデオ)を使った学習コンテンツ開発や、バーチャルやオンラインのトレーニングについてのセッションも多数あります。その中でも事前のディスクリプションで目を引いたのが、リーダーシップ・コンピテンシーなどの研究やトレーニングを世界的に行っているDDI(Development Dimensions International)のセッションです。

これまでラーニング・テクノロジーのトラックでDDIのセッションを見かけることはあまりありませんでしたが、「TU303:Beyond Perception to Truth: Using Data to Transform the Classroom(認知を超えて真実へ:データを活用してクラスルームを変革する)」では、満を持してか、彼らの信頼性の高いリサーチを踏まえた、デジタル時代の新しい学習体験の方向性が共有されます。

また、今年はモバイルやゲーミフィケーション、マイクロラーニングなど、過去トレンドだったテクノロジーのキーワードが、融合したセッションが増えたように思います。

例えば、「W105:Virtual Classroom Bites: Incorporating Microlearning Techniques Into Virtual Classroom Experiences(バーチャルクラスルームを一口かじる:マイクロラーニングの手法をバーチャルクラスルーム体験に反映させる)」や「M116:When Games Go Small (ゲームのコンパクト化)」、「SU302:Microlearning on the Go: Developing Microlearning for a Busy Workforce(この場で見せるマイクロラーニング:忙しい社員のためのマイクロラーニング開発)」などが挙げられます。

このようなセッションから、新しいテクノロジーを組合させて現実の問題を解決しようとする、ユーザー側の応用領域の広がりが感じられます。
さらに、「SU103:Harnessing Technology for Team Intelligence: A Case Study(チームのインテリジェンスを高めるためにテクノロジーを活用する方法:あるケーススタディより)」では、テクノロジーを使ったグローバルチームのチーム・ビルディングであったり、「M215:Interact and Engage! Activities for Spectacular Live Online Events(交流し、繋がろう!壮観なライブ・オンライン・イベントのアクティビティ)」では、テクノロジーを活用してコミュニティやイベントの活動を活性化させるようなユーザーサイドのテクノロジーの活用を扱うセッションも見受けられました。

毎年ATDではこのようなテクノロジーの応用範囲の広がりからも新しい発見があるので、今年も注目したいところです。

リーダーシップ・ディベロップメント

本トラックにおいては、リーダーシップのあり方、リーダーシップ開発プログラムのデザイン、より効果的なリーダーシップを発揮するために必要となるスキルや知識の習得など、リーダーシップ・ディベロップメントに関連した様々なテーマが扱われています。

各セッションの概要を見ていくと、組織文化や、デジタル化、及び新たな世代の登場によるリーダーシップの変化への言及が多いように思われます。加えて、脳科学などの知見を背景にしたリーダーのマインドセットに関するセッションが多いのが今年のトレンドといえそうです。

組織文化に関していえば、ATD2016のキーノートセッションで、ラーニング・カルチャーの重要性が示されていたように、人に対して直接的な影響力を行使するリーダーシップだけでなく、人々の判断や行動に暗黙的に大きな影響を及ぼす組織文化や風土を創りあげていくリーダーシップの重要性が高まっていることを反映しているのかもしれません。

具体的なセッションとしては、「SU114:Create a Shared Learning Culture: Why the Best Learning Comes From Your Team(ラーニングを共有するカルチャーをつくろう: なぜ自分のチームからこそ最良の学びを得られるのか)」、「M204:Costly Conversations: Why Employee Communication Is Breaking Your Bottom Line(コストのかかる会話: 社員のコミュニケーションがあなたの会社の損益を左右する訳)」、「W114:Creating a Culture of High Trust: 10 Things Every Organization Must Do(高い信頼のカルチャーを醸成する: すべての会社組織がしなければならない10箇条)」などが挙げられます。

2つ目のトレンドのデジタル化や新たな世代の登場によるリーダーシップの変化という点では、これまでになかったテクノロジーの出現や、それによるビジネスの変化にどう対応するのか、またそうしたテクノロジーに囲まれた環境で育ってきた新たな世代との価値観の違いをどう乗り越えていけば良いのかということが多くの人の課題や感心事になっている様子が伺えます。

たとえば「SU208:Data From More Than 25,000 Leaders Reveals Why Digital Transformation Fails(25,000人のリーダーに訊きました:なぜデジタル移行は失敗するのか)」では、大手リサーチ団体のカンファレンスボードとDDIが調査結果を交えつつ、デジタル化推進のポイントを探求する内容となっており、注目度の高いセッションといえます。

また、これまで同様、今年もミレニアル世代を扱ったセッションが数多くありますが、昨今では、それぞれに個性の違う人たちをひとつのカテゴリーで括って「ミレニアル世代」と捉えることへの違和感も多く表明されるようになっています。今年のセッションの中で、どのような議論が行われるのかは興味深いところです。

最後に、近年、脳科学や心理学の知見を背景にしたリーダーのマインドセットに注目が集まっていますが、この流れを受けて、今年もそうしたセッションが数多く開催されます。

例えば、TEDトークのスピーカーでもあるダン・ポンテクラフト氏が「TU306:Mind the Gap: We’ re Losing the Ability to Think(ギャップに注意!:私たちは思考能力を失っている)」というセッションを行います。
また、マインドセット関連の研究とトレーニングを行っているアービンジャー・グループも「SU305:The Self-Deception Trap: Saving New Leaders From Themselves(自己欺瞞の罠:新しいリーダーが自滅する前に救おう!)」というセッションをもつ予定です。その他にも、マインドフルネスをテーマにしたセッションも4つほどあり、激しい変化に振り回されて自分を見失うことなく、自らのマインドを適切に取り扱い続けるための実践やその効果が多く紹介されそうです。

上述したトレンド以外にも、ケン・ブランチャード氏やジャック・ゼンガー氏、ジョー・フォークマン氏といったリーダーシップディベロップメントのグルと呼ばれるような人たちも、例年通り登場する予定です。昨今の変化を受けて、彼らがどのようなメッセージを発信するのかにも注目が集まりそうです。

トレーニング・デリバリー

このトラックは、トレーニング・デリバリーの技術や学習効果を高めるためのトレーニング設計の仕方、またファシリテーションやプレゼンテーションのスキルなどを扱っているトラックになります。「インストラクショナル・デザイン」や「ラーニング・テクノロジー」のトラックと合わせて、トレーニングの設計や実施のトレンドについて知ることのできるトラックです。

本トラックでは、学習効果を上げるための様々な技術が紹介されておりますが、今年は大きく2つの傾向が見受けられるように思います。
一つは、より実践的なストーリーテリングについて扱うセッションが増えてきたことです。そしてもう一つは、トレーナーやファシリテーターがハイプレッシャーで難易度の高い状況の中で、学習の効果を上げるためにどのようなことに意識を向け、どのような振る舞いをすると良いのかについて紹介するセッションが複数散見されたことが上げられます。

一つ目の傾向として挙げた実践的なストーリーテリングについて扱うセッションでいうと、たとえば、「SU219:Engaging Storytelling Techniques to Captivate Every Audience(ストーリーテリング技法を用いてあらゆる観客を魅了する)」では、インストラクショナル・デザイナーやトレーナーと学習者との間に本物のつながり(Connect)をもたらす方法としてストーリーテリングを位置付け、ストーリーを手掛けるためのロードマップなどがシェアされるそうです。

また、ストーリーテリングの科学やトレーニングに適したストーリーを選択する方法、eラーニングやバーチャルセッションにストーリーを簡単に統合する方法などについても紹介があるようで、ストーリーテリングをあらゆる場面で活用するためのヒントが幅広く得られるセッションかもしれません。

また「SU309:Lessons From Cavemen: Using Stories in Technical (and Nontechnical) Training(石器人の教え:技術(および非技術)的トレーニングにストーリーを活用する)」では、セッションの中でのグループ演習で、簡単なテンプレートや3つの必須のストーリー要素を使用しながら即興ストーリーを作成するそうです。実際にストーリーを作成するプロセスから学べることも多いかもしれません。

他にも「M217:Bringing Stories Center Stage in Training(ストーリーをトレーニングのセンターステージに置く)」では、ストーリーを学習に具体的に結びつける方法が紹介されたり、「TU218:Captivate Them: Tell Stories That Inform, Influence, and Inspire(聴衆の心をつかむ:情報を提供し、影響と感動を与えるストーリーを語るには)」では、セッション終了後に主要原則を強化するためのハンドアウトやデジタルブックなどを受け取れるセッションもあるようです。
こうしたセッションからは、職場に戻ってからの具体的な実践に活かせるものが得られるかもしれません。

二つ目の傾向として挙げた難易度の高い状況でのトレーナーやファシリテーターの振る舞いに関するセッションには、たとえば、「TU421:Sharing Responsibility for Learning Outcomes: How to Balance Compassion and Accountability(ラーニングの結果に対する共同責任:情熱と成果責任をどうバランスさせるか)」があります。

このセッションでは、時間・エネルギー・予算の縮小、かつこれまで以上にラーニングに対しての高い要求や結果への期待がなされる中、どのように学習者のオーナーシップをファシリテートするのかについて紹介がなされるそうです。ファシリテーターやトレーナーがどう自分の想いと状況とのバランスをとりながら、学習者を支援していくのかについて、新たな気付きが得られるかもしれません。

また、「W102:”Oh Yeah? Make Me!” Techniques for Handling Resistant Learners(抵抗する学習者に対処する「ふん、やれるもんならやってみろ」手法)」では、否定的で抵抗する参加者がいる学習環境において、その抵抗のルーツを評価し、学習と脳の原則を統合することによって、参加者の思考を即座に変える簡単なテクニックがシェアされるそうです。

さらには、「W207:Outsmart Your Brain: How to Manage Your Mind When Emotions Take the Wheel(あなたの脳より賢くなる:感情に支配されそうなとき、どうマインドをマネージするか)」では、消極的であったり注意散漫な参加者がいたり、抵抗・混乱のある学習環境において、トレーナーやファシリテーターが緊張を緩和し、防御力を抑え、パワフルな学習環境を創り出すための情報を、脳の話に絡めてシェアされるようです。
不安定な状況の中でどう自らをマネージし価値を生み出していくのかについての興味深い知見が得られるかもしれません。

その他、このトラックでは毎年人気のあるレジェンド・スピーカーが今年も登壇します。
たとえば、「SU105:Training 2020:Strategies for Engaging Future Workforce Learners(2020年のトレーニング:将来の労働力予備軍である学習者をエンゲージさせる戦略)」では、例年熱量の高いセッションで人気の高いジム・スミス氏が今年も登壇します。Box(枠組み)の外に出たり、そのBoxを取り除きたい人に向けられたセッションのようですので、刺激的なパフォーマンスや演出を含めて、楽しみながら参加ができるかもしれません。

また、「TU204:Results-Based, Creative Learning Strategies to Enhance Design, Delivery, and Transfer(設計、デリバリー、学習移転を促進するための結果指向でクリエイティブな学習戦略)」には、ボブ・パイク氏が登壇します。トレーニングをイベントではなくプロセスと捉え、結果を確実にするための戦略についての話がなされるようです。

最後に見どころとして挙げたいのは、「TU117:Don’ t Overlook This Enabler of Innovation: Build It Into Your Learning Programs(イノベーションの実現要因を見逃すな:あなたの学習プログラムに組み込むには)」です。

このセッションでは、昨今人材・組織開発の分野で注目されている心理的安全性(psychological safety)を構築するためのメカニズムとして、学習プログラムをどのように使うのかといった具体的なテクニックが紹介されるようですので、注目してみても面白いかもしれません。

その他、このトラックにはスピーキング・プレゼンテーション・ファシリテーションのスキルについて扱うセッションや、ロールプレイング・インプロ・アクティビティといったコンテンツを扱うセッションも例年と同じように幅広く存在しています。興味のあるセッションに参加して、ATDのセッションのライブな空気感を肌で体感してみても良いかもしれません。

インストラクショナル・デザイン

このトラックには、組織における学習の計画および設計、トレーニング開発に携わる人々にとって具体的な支援ツールやティップスを得られるセッションが集まっています。

セッション・ディスクリプションを見ると、従来的なインストラクショナル・デザインや効果測定のあり方を扱ったベーシックなセッションとともに、ITの進化を背景にデザイン思考などを活用して新たな学習のデザインのあり方を模索していこうとするセッションも散見されます。

いくつか興味深そうなセッションを見ていくと、たとえば「M101:LXD (Learner eXperience Design): Using Design Maps for Active, Deep Learner Experiences(LXD(学習者・エクスピリエンス・デザイン):デザインマップを用いてアクティブで深い学習者体験をデザインする)」では、デザイン思考を用いてラーニング・エクスペリエンスを設計するというテーマを扱っています。

学習者が体験する様々な経験の旅路を包括的にデザインすることで、学習者にとってより効果的で持続可能な学習プロセスを提供する方法論が提供されるようです。
また、デザイン思考をインストラクショナル・デザインに取り入れる具体的な方法を学ぶには、「W107:Design Thinking: Instructional Design Reimagined(デザイン思考:インストラクショナルデザインの再考)」も良いかもしれません。

デザイン思考を取り入れることで学習を促進する具体的な方法やティップスを学ぶことができるとのことです。

近年実践が進んでおり、関心度も高いマイクロ・ラーニングについても、いくつかのセッションが開かれます。多様な観点からその意味や価値を探求することで、導入や実践のためのヒントが得られそうです。

たとえば「TU206:Microlearning: What? Why? How?(マイクロラーニング:何が?なぜ?どうやって?)」は、マイクロ・ラーニングの実践者が集うパネル・ディスカッションです。基礎的な知識を偏りなく学ぶには良いかもしれません。
また、「SU110:6 Reasons Microlearning Will Make a Huge Impact in Your Organization(マイクロラーニングがあなたの会社組織で絶大なインパクトを与える6つの理由)」では、学習に従事する時間が無い人々のニーズに応えて大きな組織的なインパクトを生み出す方法としてマイクロ・ラーニングの重要性が扱われます。
また、「W208:Microlearning: Why We Like It, Who It Works for, and How to Get Started(マイクロラーニング:なぜいいのか、誰にとって効果的なのか、使い始めるにはどうしたらいいのか)」では、マイクロ・ラーニングのケース・スタディーも紹介されます。実際の実践事例を元にメリットやデメリット、実践のポイントなどを学ぶことができそうです。

また、興味深いセッションとして、「SU314:Effective T&D Initiatives: Start With Mental Models(効果的なT&Dイニシアチブ:メンタルモデルから始めよう)」があります。トレーニングを通して学習者の長期的な行動変容を生み出すためには、行動の背景にあるメンタルモデルに働きかけることが必要ですが、どのようにトレーニングをデザインすればメンタルモデルに働きかけられるのかを、具体的に学ぶことができそうです。

インストラクショナル・デザインにおいて重要な要素の一つとして扱われている「評価」についての伝統的なセッションでは、5段階測定モデルを生み出したジャック・フィリップスの「TU412:Proving the Value of Talent Development(タレント開発の価値を検証する)」や、4段階評価モデルで有名なカーク・パトリック・パートナーズ社の「M105:Overcoming the Challenge of Evaluating Outsourced and Off-the-Shelf Training(外部委託や、マニュアルのみで実行するトレーニングの結果評価にまつわるチャレンジを乗り越えるには)」があります。

効果測定は長年に渡って挑み続けられているテーマですが、それぞれに新たな観点で評価法を捉え直すことで価値を再考しようとしているようです。また、少し目新しいものとして「SU205:Assessing Assessments: How to Determine the Right Tool for Your Purpose (アセスメントをアセスメントしよう:目的に合ったツールを選ぶには)」では、数ある評価ツールからどのように自社に適したものを選ぶのかというテーマを扱っています。

多様な評価のあり方やツールが生まれてきている様子も見受けられます。

タレント・マネジメント

本トラックは今年度より新設されたもので、昨年までの「ヒューマン・キャピタル」のトラックで扱っていたような、組織のパフォーマンス向上や変革を推進するためのアプローチ、取り組み例などが紹介されています。
取り上げられるテーマとしては、タレント・ディベロップメント、エンゲージメントやダイバーシティ&インクルージョン、メンタリングやコーチングなど幅広いものが挙げられます。

今年は、リーダーシップを扱うもの、メンタリングやレジリエンス等の個人のメンタルを扱うもの、また、エンゲージメント・カルチャーやコーチング・カルチャーの醸成等、チームに着目し組織の文化や風土を扱うものが多いことが特徴に挙げられます。本トラックを通じ、変化が早く不確実性が高いVUCAの時代の中で、一人ひとりのメンタルの維持・向上を促しつつ、高いパフォーマンスを発揮できるチームをつくっていくこと、また、そういった時代におけるリーダーシップに関するヒントが得られるかもしれません。

以下では、散見された3つの主なテーマ、「1.リーダーシップ」「2.メンタリングやレジリエンス等、個人のメンタル」「3.チーム、組織の文化や風土」に分けて、見どころを紹介したいと思います。

1.リーダーシップ

タレント・マネジメントのトラックでは、リーダーシップを扱うセッションが最も多く、全部で7セッション程度あります(リーダーシップは、それ単独のトラックもありますが、トラックの境界を越えて扱われているように思います)。

たとえば、「M212:Successful Leadership Transitions: How a Global Company Equips Its Leaders for New Roles(成功するリーダーシップの移行法: グローバル企業はどうやってリーダーが新任職務に馴染むよう支援しているか)」は、グローバル企業において新任リーダーが職務に馴染むためのアプローチを、ケーススタディを踏まえて紹介するセッションです。

スピーカーの一人であるマイケル・ワトキンス氏は、世界的なベストセラーである「90日で成果を出すリーダー」の著者であり、これまでの実績に基づく興味深い話が聞けるかもしれません。また、これまでに40か国以上、1,200以上の企業で実績を積んでいるマインド・ジム社のセッション、「SU204:Buddy, Bully, or Boss: The Dark Side of Leadership Behavior(同僚、いじめ、上司:リーダーシップ行動の暗黒面)」では、リーダーシップを効果的にするのに最も大きな影響を与えるポイントについて、彼らの研究結果に基づいて紹介されるようです。

マインド・ジム社のセッションは、内容もさることながら、毎年ビジュアル性が高く、インタラクティブなプレゼンテーションが行われるのが印象的です。今年もどういった内容が共有されるのか注目したいところです。

2.メンタリングやレジリエンス等、個人のメンタル

この新設されたタレント・マネジメントのトラックでは、メンタリングに関するセッションも目立ちました。その中でも注目は、「SU407:Powerful Mentoring: Empower Mentors and Supercharge Results(パワフルなメンタリング:メンターをエンパワーし、結果を最大限チャージする)」は、昨年、一昨年とセッションを行っているTERP社によるセッションです。

TERP社は、大企業、政府、教育機関など、幅広い組織を対象にコンサルティングを行ってきた企業であり、その経験から発信される情報は、今後のメンタリングを考える上で何かしらの示唆が得られるかもしれません。

その他、メンタリングやレジリエンス等を扱うセッションとしては、「SU417:Mental Resilience: Success Strategies for Tough Times(メンタル・レジリエンス:辛い時期に成功する戦略)」、「M314:Create a Strategically Driven Mentoring Program That Delivers Remarkable Results(顕著な結果をもたらす戦略的なメンタリング・プログラムのつくり方)」、「M318:6 Evidence-Based Themes for New Leader Mentoring Programs(新しいリーダーのメンタリング・プログラムにおける科学的根拠にもとづく6つのテーマ)」などが挙げられます。

こうしたセッションが近年増えている背景としては、変化が激しく正解が見えづらい世の中において、自身の思考のあり方を見直すことや、相手の思考や行動に共感的に寄り添うメンターの重要性が高まっているということがあるのかもしれません。

3.チーム、組織の文化や風土

組織文化について、特に注目したいセッションが「M118:Joining, Not Judging: Bridging Divides to Enhance Interactions and Create Inclusive Workplaces(判断するのではなく関与すること: その橋渡しがインタラクションを増やし、インクルーシブな職場をつくる)」です。

スピーカーの一人であるフレデリック・ミラー氏は、世界のダイバーシティのパイオニア40人のうちの一人で、所属するジャミソン・コンサルティング社も、1970年の設立以来、インクルージョンを専門にサービスを提供している企業です。VUCAの世界においてインクルーシブな職場づくりは重要な観点であり、インクルージョンに関する豊富な実践に基づいた示唆に富んだ情報が期待できると思われます。

また、「SU116:Do, Speak, Create: 3 Simple Practices to Build a Winning Team(実行する、話す、創造する: 勝てるチームをつくる3つの簡単な実践法)」は、パフォーマンスの高いチームをつくる上で、人々のウェルビーイングは不可欠だとし、人々のウェルビーイングを高め、チームのパフォーマンスを引き出すためのポイントを紹介するセッションです。

ウェルビーイングは、身体的、精神的にも満たされた幸福な状態を指す概念として最近注目が高まっています。スピーカーのローラ・プットナム氏は、ウェルビーイングのムーブメントビルダーでもあり、どういった内容を紹介するのか興味深いところです。

「W106:Four Ways Unconscious Bias Training Can Create Mindful Inclusion(無意識のバイアス・トレーニングによってマインドフルなインクルージョンを生み出す4つの方法)」では、近年注目を集めている無意識のバイアスを扱ったセッションです。
スピーチを行うクックロス社は、設立29年の歴史ある企業で、研究論文の執筆もあり、深い知見に基づいた洞察が紹介されるかもしれません。

その他見どころとして挙げたいセッションに、世代間の違いを扱う「SU307:Making Sense of Generational Differences in the Workplace(職場の世代間の違いを理解する)」があります。
スピーカーの747インサイツは、ブーマー、ジェネレーションX、ミレニアム、ジェネレーションZ等、各世代のつながりを支援するリサーチ会社であり、マイケル・ウッド氏は、ナイキ、アディダス、コカ・コーラ、ペプシといった大企業にも影響を与えている人物です。

各世代の特徴を、豊富なデータを基に紹介することを通して、世代の観点から人々の特徴を掴んだり、一人ひとりのエンゲージメントを高める組織をつくるための何かしらのヒントが得られるかもしれません。

また、「TU103:Design Thinking: Educating Corporate Leaders in Innovation and Strategic Problem Solving(デザイン思考:会社のリーダーにイノベーションや戦略的問題解決を教育するには)」は、複雑な問題に対し、新しいアイデアを生み出し行動に移すアプローチであるデザイン思考を扱うセッションで、その考え方と実践的スキルが紹介される予定です。
スピーカーのキャロル・ビルソン氏が代表を務めるデザイン・マネジメント・インスティテュートは、ビジネス、文化、カスタマー、世界の変化をデザインすることを目的に1975年に設立された会員組織で、教育者、研究者、デザイナー、リーダー等、様々な職種が会員となっているようです。

昨今、注目されているデザイン思考の理解を深め、実践に役立つ情報を得られる期待がもてるセッションです。

キャリア・ディベロップメント

本トラックでは、自分自身のキャリア開発や人々のスキルや専門知識の習得の支援に関心がある、学習の専門家の方々に向けたキャリア開発の最新の傾向やトピックが扱われています。ここでは、組織の視点に立った従業員のキャリア開発の支援を扱うカテゴリと、個人の視点に立ったキャリア開発を扱うカテゴリの2つに分けて、傾向をご紹介したいと思います。

まず、組織の視点に立った従業員のキャリア開発の支援を扱うカテゴリでは、現代のVUCA Worldにおけるキャリア観が、従来の階層を登っていくような上昇志向で計画的なものから、アジャイルに動いていく生成的なものへとシフトしていることが、ここ最近の傾向として挙げられます。
今年も、そうした生成的なキャリア観の前提に基づいたセッションが多く見受けられます。

例えば、毎年登壇するキャリア開発の権威の一人である、ビバリー・ケイ氏は、「SU109:Reimagining Career Mobility: Up Is Not the Only Way!(キャリアのモビリティを見直す:昇進だけが唯一の道ではありません!)」というタイトルのもと、昨年も言及したキャリア・モビリティについて語るようです。

他にも「SU215:Recalculating Your Destination: Why Career Development Needs a GPS(あなたの目的地を再計算する:キャリア開発にGPSが必要な理由)」というセッションでは、線形なキャリアプランニングを時代遅れとしたうえで、組織がエンゲージメントやリテンションを高めるために必要な、新たなキャリア開発のフレームワークについて、共有されるとのことです。

また、このトラック内で扱われる「コンピテンシー」に関するセッションでも、変化の時代を前提に議論されている様子が伺えます。
例えば、「TU415:Build an Actionable Competency Model in Weeks(使えるコンピテンシー・モデルを数週間でつくろう)」では、ハイパフォーマーの行動特性を分析し、十分検討したうえで活用するような伝統的なコンピテンシー・モデルを脱却して、アジャイルなプロセスを通じてコンピテンシー・モデルを検討し、柔軟に活用していくことへのシフトを取り扱うセッションです。VUCAの時代の中でコンピテンシーをどのように取り扱っていくのか、新たな視座が得られるかもしれません。

次に、個人の視点に立ったキャリア開発を扱うカテゴリの今年の傾向としては、昨年同様、組織への所属にとらわれることのない個人のキャリア開発のあり方について言及されるセッションが見受けられます。

その中でも「パーソナル・ブランディング」やコンサルタントやトレーナーとしての「独立開業」をテーマとするセッションが今年も散見されました。

パーソナル・ブランティングをテーマとしたセッションとしては、例えば、「SU402:Rock Your Brand and Network Online(あなたのブランドとネットワークをオンラインで躍動させよう)」にて、強い個人のブランドが会社のブランドにとって重要であるという前提のもと、SNSの適切な活用を通じて、オンラインにおける個人のブランド毀損を回避し、より良い評価を得られるためのポイントについて語られるようです。
また、「SU316:Women: Ignite Your Personal Brand! Market Your MAGIC(女性たちへ: あなたのパーソナルブランドを輝かせよう!あなたの魅力をマーケティングしよう)」は、女性を対象としたパーソナル・ブランディングのセッションです。報奨と周囲からの認知を得られるよう、自分自身のブランド価値を高め、発信していくポイントについて語られるようです。

また、独立開業をテーマとしたセッションとしては、例えば、「M308:Craving Independence? Conquering the Fear of Going Solo!(独立を望んでいますか?: 独立開業する不安を乗り越えるには!)」があります。

こちらは、レジェンド・スピーカーでもあるエレイン・ビーチ氏らが登壇して、ここ数年開催されているパネル・ディスカッションであり、人気のセッションとなっているようです。独立開業の動向を知りたい方や自身が独立開業を検討されている方は、本セッションに参加してみるのもよいかもしれません。

他に注目したいセッションとしては、ストーリーテリングの権威としてこれまでトレーニング・デリバリーのトラックに登壇することの多かったダグ・スティーブンソン氏が「M207:Elevate Your Success, Enrich Your Life(成功によってさらに自分を高め、人生を豊かにするには)」に登壇するようです。
ダグ・スティーブンソン氏は、人生を豊かにするための7つの成功戦略について話をされるようです。

最後にお勧めしたいセッションとして、ここまでご紹介した2つのカテゴリを横断して、広く注目が集まりそうな「TU104:Oldies and Goodies: Learning From Experience(古き良き:経験から学習する)」を挙げたいと思います。
このセッションでは、ATDの創立75周年を記念して、5人の経験豊富な専門家が、合計230年以上の経験を土台して、未来の予測を行うセッションです。

エレイン・ビーチ氏、ケン・ブランチャード氏、ビバリー・ケイ氏、ジム・クーゼス氏、ジャック・ゼンガー氏というレジェンド・スピーカーの登壇が予定されており、どのような対話がなされるのか注目されます。このような特別なセッションが開かれるのは、昨今、キャリア・ディベロップメントのトラックで、変化の時代におけるキャリア観について語られるセッションが続いている中、著名人の知を結集し、「ATDとして、キャリアに関わる新たな知をさらに生み出していきたい」といったような背景ももしかしたらあるのかもしれません。

グローバル・ヒューマン・リソース・ディベロップメント

本カテゴリでは、グローバルの人材開発をメインテーマにセッションが行われています。

今年のセッション・ディスクリプションを見ると、米国以外の国でのローカルな取り組みを紹介するようなセッションは減少し、AIの進化を始め、時代環境の変化にグローバルHRがどう対峙するかといったことがメインのテーマになってきているように思います。

特に、ダイバーシティ、インクルージョン、カルチャー、コラボレーションといったキーワードを軸に、多様なカルチャーや個性を持つ人々がどのように価値を生み出していくのか、という一段深いテーマについてのセッションへと移行しつつあるようにも見受けられます。

いくつか興味深いセッションを紹介すると、たとえばグローバルチームのあり方について扱ったセッションに、「SU317:Belonging Across Boundaries: Strategies for Successful Global Virtual Team Collaboration (国境を超えても一緒:バーチャルで、グローバルなチームコラボレーションを成功させる戦略)」があります。

ここでは、多くの人がリモートで繋がる複雑性の高いバーチャルチームで高いコラボレーションを実現する方法をベスト・プラクティスを元に検討されるようです。また、「SU409:Engaging Global Teams Using Storytelling, Mentoring, and Reverse Coaching (ストーリーテリング、メンタリング、リバース・コーチングを用いてグローバルチームをエンゲージさせる)」では、タイトル内に挙げられた手法を用いてグローバルチームの成果を高めた事例を紹介しながらグローバルの人材開発のあり方を深堀りするようです。

それぞれのセッションでは、グローバルチームの運営について具体的な実践事例からヒントを得られるかもしれません。

また、コンファレンスボード(全米産業審議会:米経済団体、労働組合などで構成する非営利の民間調査機関)とコロンビア大学の研究者による共同セッションである「M211:Changing the Game: Transforming HR With Strategic Purpose(ゲームのルールを変える:HRを戦略的目的を持った組織に変えるには)では、HRの変遷と共にHRがビジネスと戦略的に連携するための診断ツールや調査データ等が共有されるようです。
調査をベースとして現状について理解を深め、今後の変化を考える素材になると思われます

その他の興味深いセッションとして、「TU105:Nuts and Bolts of Designing a Culturally Contextualized Mindfulness Program at Work(職場におけるマインドフルネス・プログラムをカルチャーの文脈に沿って設計するための要点」では、マインドフルネスを利用したプログラムがテーマに掲げられています。
マインドフルネスを活用し、文化的背景を共有して思いやりを高める取り組みとして韓国企業の事例が紹介されます。

企業事例として注目したいのは、家電メーカーのワールプール社のセッション「W306:Revolutionizing Talent Development: A Case Study(タレント開発革命:あるケーススタディ)」です。
日本でもベストセラーとなったゲイリー・ハメル著の『経営は何をすべきか: 生き残るための5つの課題』の中で、「イノベーション企業への転換をワールプールほど完璧に成し遂げた企業はない」と紹介されています。
ワールプールが紹介する「地域の文脈を超えて世界のリーダーを育成する方法論・ツール・参考文献等」からは様々な示唆が得られるかもしれません。

ラーニングの測定と分析

このトラックでは、トレーニングの効果性を高めるためのデータの取り方や、L&DのROIの適切な測定の仕方や、データを活用した効果的なコミュニケーションの仕方についてのセッションを扱っています。

例年同様、この分野の基礎を築いた4段階評価モデルのカークパトリックや、ROIモデルのフィリップス一族の活躍も複数のセッションで見られます。

例えば、カークパトリック氏のセッションは、「TU305:Real-World Evaluation for Training Professionals(トレーニング専門家にとっての現実世界の評価)」というタイトルで開催されます。より効果的なトレーニング方法を生み出せるようにアップデートした4段階評価モデルを紹介するそうです。

また、「SU200:What’ s It Worth? Demonstrate the ROI of Your Learning Programs(価値はどれぐらい?:あなたのラーニング・プログラムのROIを示すには)」では、
セッション内で実際に計算機を使いながら、フィリップス氏が、ROIのシンプルな計算の仕方を伝授するようです。

他にもテクノロジーをメインにセッションが組まれているものもあります。 「TU409:How AI and Machine Learning Will Support Learning and Talent Development Decision Making(AIと機械学習がラーニングとタレント開発の意思決定をどう支援するか)」は、どうしたらAI(人工知能)とMachine Learning(機械学習)を効果的にタレント・デベロップメントに適応できるかについてのセッションです。

新しい技術を取り入れるにはリスクや負荷もかかりますが、使い方によっては仕事をより効率化できますし、正確なデータも取れるようになるので、大きな可能性が感じられるトピックです。

全体としてはROIのより適切な測り方のツールの説明や、ノウハウのセッションが多い内容となっています。

ラーニングの科学

このトラックでは、主に、心理学、行動科学、脳科学の研究から得られた知見を活用した学習のあり方を変容させるアプローチや取り組みを扱っています。
特に近年は脳科学の興隆に伴い、人事・人材開発に携わる人々の関心が高まっており、ATDの中でも最も人気が高く、活力のあるトラックのひとつになっています。

事前にアップされているセッションの概要を見ると、脳科学の重要性やベースとなる基礎知識を網羅的に扱ったセッションは減少し、バイアス、パーパス、トラスト、フィードバックなど、より具体的なテーマへのラーニングの科学の適用が模索されていることが伺えるように思います。

たとえば「SU106:Beyond Bias: Awareness, Understanding, and Improv(バイアスを超えて:気づき、理解し、改善する)」や「M109:T.R.I.B.E.: A Model for Managing Biases and Building Psychological Safety(T.R.I.B.E:バイアスを管理し心理的安全性を築くモデル)」などのセッションでは、バイアスがメインのテーマとして扱われています。

昨年も注目度の高かった心理的安全性に認知バイアスがどういった影響を及ぼすのかといった観点が深堀りされるものと思われます。

また、「M106:Wired to Become: The Neuroscience of Purpose(人間の天性はパーパスを追うこと:パーパスの神経科学)」は、パーパスをテーマに取り上げています。
ディスラプティブと呼ばれるような変化の激しいビジネス環境において、あらためてパーパスに着目しようという動きが近年高まっています。
スピーカーのブリット・アンドレッタ氏は、ラーニングやリーダーシップの科学的アプローチのトレンドを幅広く発信しており、昨年は「チームの神経科学」というテーマで、多くの参加者の関心を集めていました。そのアンドレッタ氏が今年はパーパスにテーマを絞っており、どんな発見が共有されるのか、注目したいセッションです。

その他注目したいセッションに、「TU116:The Art and Science of Failure: Learning to Fail Forward(失敗の理論と仕方:失敗をしても前進する方法)」や、「TU407:Ouch, That Hurt! The Neurobiology of Feedback(あ痛っ!フィードバックの神経生物学)」などがあります。

近年働く一人ひとりのグロース・マインドセットを育てていくことが人材・組織開発のひとつの命題になりつつありますが、失敗から学ぶことやフィードバックはグロース・マインドセットに大きな影響を与えるものです。
そうしたテーマが科学的な根拠をもとに議論されると思われます。

また、「TU214:The Next Frontier: Unleashing the Learner(次のフロンティア:内なる学習者を解放しよう)」には、ここ数年ATDでセッションを続けて持ち、人気も高いパトリシア・マクレガン氏が登壇します。

マクレガン氏は昨年「ラーニング4.0」というコンセプトを掲げ、今の時代に合った新たな学習のあり方の再構築を提唱し、関心を集めていました。
今年も「Unleash the Learner(学習者の解放)」をテーマに、ラーニング4.0の考え方や実践がどう進化しているのか、注目してみたいところです。

脳科学以外にも、心理学や行動科学の適用など、他にも興味深そうなセッションが多数あります。今年もこのトラックには多くの人が参加し、議論が白熱することが予想されます。

セールス・イネーブルメント

本トラックはセールスを取り巻く事象全般を扱っており、セールスを強化し成果を生み出すための、様々なツールやシステム、トレーニング、方法論などに関するセッションが多く見られます。

一つの注目セッションは、「SU419:Looking Into the Crystal Ball of Sales Talent Development(水晶玉に覗き込んでセールス人材開発の未来をみよう)」です。
AIやARなど、今までにはなかったテクノロジーの登場によって、セールス向けトレーニングがどのように変わっているか、あるいは変わっていくか考えるものです。

また別のセッションでは、率直なフィードバックカルチャーをどのように自分たちのセールス組織で作るかについて話されるそうです。
タイトルは「M319:Radical Candor: Creating a Culture of Feedback in Your Sales Organization(徹底した率直さ:あなたの会社の営業組織にフィードバックのカルチャーを醸成するには)」というもので、率直なフィードバックの価値を強調しています。

他にも面白そうなセッションとしては、「W219:Oh Shift! Another Initiative? Strategies to Help Your Sales Team Change Their Behavior(転換!また別のイニシアチブ?あなたの営業チームの行動変容を支援する戦略)」が挙げられます。
このセッションではセールスチームの行動の変化をどのように推進するかについて、ケース・スタディーを通してベストプラクティスを紹介するそうです。

今年は主に、セールス・イネーブルメントが今後どのように変わっていくか、またこの分野においてはどのようなことが期待されているかなど、未来を見つめているものが多いように見えます。


※事前レポート内のセッション情報は1月18日時点のものです。セッション番号は、変更になる可能性がありますので、最新情報はATDのウェブサイトでご確認ください。

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