Online Learning(オンラインラーニング)2001 エキスポジションの概要
関連するキーワード
出展社数
10月3日のOnline Learning2001のプレスの発表によると、エキスポでの展示は250に達していた。
展示日時
・1日(月) 12:15p.m.-6:00p.m.
・2日(火) 9:00a.m.-4:30p.m.
・3日(水) 9:00a.m.-2:00p.m.
エキスポの内容
全体の印象
250のブースが並ぶOnline Learning2001のエキスポであったが、こちらもテロの影響のためか、会場の広さ、出展企業の多さに比べて観客はまばらであり、多くの観客の関心を集め、いつもにぎわっているブースと、デモを行っても誰一人見ようとしないブースとの差が激しかったような印象を受けた。各ブースにおいては、実質的なデモンストレーションをいかに魅力的に見せるかということに主力が注がれていた。 今回のエキスポにおいて特に目立った点を以下に挙げる。
1)SunやOracle等のエンタープライズ企業の出展
本年のASTDにおいては、主にLMSなどのEラーニング関連商品のみを扱っている企業の出展が目立ったが、本エキスポにおいては、Sun, Oracle, IBM, HPなどのトータルソリューションを得意とするエンタープライズ企業やサーバーを提供する企業が、一際大きく派手なブースを出して、観客の注目を集めていた。これらの企業は以前からEラーニングに取り組んできたが、最近になってEラーニングも複数のオプションを持ったトータルソリューション的なサービスが求められるようになり、ますます力を入れ始めたように思える。これらの企業の強みとしては、Oracleのブースで聞いた話では、コンテンツからプラットフォーム、サービスまでトータルなソリューションを提供できるほかに、ベンチャー色の強いベンダーの多いEラーニング業界にあって、豊富な資金力を持ち、顧客に対しても信頼があることが挙げられるということだった。
2)LCMS(Learning Content Management System)ベンダーの出展
LCMSというこれまでほとんど名前を聞くことのなかったをサービス機能を提供するベンダーが数多く見られた。具体的な企業名としては、WBT System, Avaltus, LeadingWay等が挙げられる。それに加え、ライブEラーニングプラットフォームを提供するCentra社なども、LCMSベンダーのMindLever社を買収したと言っていた。また、DocentやSabaなどもこれまで提供してきたLMS機能に加えて、オーサリング機能を強化するなど、今後ますますプラットフォーム・テクノロジーの主流はLCMSに移行するのではないかと感じた。
3)シミュレーションを前面に打ち出したコンテンツ コース
開発ベンダーが打ち出していた、コンテンツの大半は何らかの形でシミュレーションを取り入れており、テキスト形式のコンテンツを紹介しているベンダーはかなり少なくなっていた。デモを行っていたシミュレーションの多くは、職場の人間関係や顧客との対応等に関するソフトスキル向上を狙ったもので、職場でのさまざまな状況において、どのように行動すれば、どのような結果が導かれるといったケースを取り扱っていた。コース開発費は、コンテンツのクオリティやスケールによってまちまちであると言っていたが、ある程度インタラクティブなものを作ろうとすると、やはり何万ドル単位の開発費が必要とのことであった。
ブース以外の取り組み
1)Shootout
エキスポ会場内で行われたこのShootoutというイベントは、4つのベンダーが、ある特定のテーマ(ソフトウェア・シミュレーションのオーサリング、及びライブEラーニング・プラットフォーム)に関する自社製品の性能を4つの画面上にて同時にデモを行うことで、観客が項目ごとに最も優れていると思ったベンダーに投票して優劣を決めるという、見本市のようなものであった。イベント色が強いせいもあってか毎日席は満席となるような盛況ぶりであった。
2)Hands-on Lab
Hands-on Labというこのイベントでは、エキスポとは別会場で、各ベンダーの商品を実際に自分で使ってみることで、サービスなどについて理解度を増すことができた。同イベントにおいては、SmartForce, Interwise, DigitalThink, Macromedia…etcといったベンダーが各商品の説明を行った。会場では、参加者1人ひとりにコンピュータが提供され、前画面でのインストラクションを通して、各ベンダーの商品を使うことができた。1時間のセッションなので、あまり深いところまでは触れないが、実際に触ってみることを通して、メタデータなどの理解しづらかった概念の把握に役立った。
主な出展企業の紹介
その他出展していたE-Learning企業の情報を以下に簡単にまとめる。
◆Avaltus
今回のエキスポにて大々的に取り上げられることになったLCMSを提供するベンダーのひとつ。他にもWBT SystemやLeadingWayといった企業と組んでLCMSカウンシルを形成し、LCMSの普及に努めている。
紹介していた商品はJupiter Studio, Content Management Server, Learning Server, Personalization Serverの4つのコンポーネントから構成されるJupiter Suiteと呼ばれるLCMSで、その中でもどのように教材を構成するかに焦点を絞ったオーサリングツールのデモを行っていた。このオーサリングツールにより、SCORMに準拠した形のメタタグ付けも簡単に行え、教材の作成に要する時間がかなり短くなったような印象を受けた。
◆Sun Microsystems
一際大きく派手なブースを出して、常ににぎわっていたのがサン・マイクロシステムズのブースであった。紹介していたサービスとしては、LMS、Content Development、サンの教材提供(JAVA等に関する教材)とそれに伴うラーニング・ポータル、Eラーニング導入コンサル等とにかくありとあらゆるジャンルのEラーニングサービスを提供していた。Sunのシステムの強みとしては、JAVAやXMLと相性が良く、他のシステムと比べて柔軟性、安定性、拡張性に長けると言っていた。前にも述べたが今回のエキスポではSunやIBMのようなトータル的にサービスを提供する企業が目立っていた。
◆Allen Interactions
Macromedia社の代表的なオーサリングウェアであるAuthorwareを開発したマイケル・アレン氏が社長を務めるコース開発会社。同社のコンセプトは”People learn by doing”と”Memorable&Meaningful”と表され、コンテンツ提供企業の中でも、一際インタラクティブで凝った作りの、Experienceを重視したコンテンツを紹介していた。同社の強みはインストラクショナル・デザインに特化していることで、自社でコース開発を請け負うほか、クライアント企業に対して、コース開発におけるノウハウをコンサルテーションするサービスも行っている。またコース開発を行う際のアプローチの特徴として、あらかじめ学習者のニーズ分析をしっかり行ってから詳細に設計するのではなく、まず大枠だけ整えたコンテンツをデザインし、そこから改良を加えていくといった手法がとられていると言っていた。
◆e-Help
EPSSに特化したオーサリングツールであるRoboinfoを提供しているソフトウェアベンダー。現在はまだどの標準化規格にも対応していないが、EPSSもいずれはSCORM対応し、ラーニング・オブジェクトと共存していくつもりであると言っていた。
◆SkillSoft
コンテンツ提供会社のSkillSoft社のブースもにぎわっていた。前回のASTDでは主に同社が開発した新しいLMSであるSkillPortの説明に終始していたが、今回は同社が得意とするソフトスキル取得をターゲットとしたコンテンツの紹介も詳しく行ってくれた。その内容はこちらもやはりコミュニケーションスキル向上を中心としたシミュレーションが多かった。SkillSoft社は、日本においてもリクルート社と組んでコンテンツの提供を積極的に行う予定であり、NECと提携したDocent、NTT-Xと提携したSmartForceと並んで、今後ますます米国の大手ベンダーが日本のEラーニング市場に参入してくるものと考えられる。
◆その他のベンダー
その他にも、LMSベンダーのSaba、Docent、THINQ、SmartForce、Digital Thinkや、コンテンツ開発ベンダーのSMG、ライブEラーニング・プラットフォームを提供するCentra、Interwise、Eラーニング導入にあたってのコンサルティングを提供するデロイト・コンサルティングなどの企業が出展していた。