【Rethink 組織開発を再考する対話会】の第1回目を、2023年3月22日(水)にオンラインにて実施いたしました。第1回目のテーマは「エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発」でした。こちらでは、対話会当日の様子や参加者の皆さま同士の対話から生まれた気づきを実施レポートとして紹介できればと思います。
インサイトレポート
そのときどきのトピックについて、ヒューマンバリューのメンバーがまとめた雑誌掲載記事などの考察をご覧いただけます。
2023.04.08インサイトレポート
【Rethink -組織開発を再考する対話会 実施レポート】第1回:エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発
2023.02.06組織開発
組織開発を再考する<第1回>〜エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発〜
株式会社ヒューマンバリュー取締役主任研究員 川口 大輔 組織開発(Organization Development)の歴史は古く、1950年代後半くらいから発展してきたといわれていますが、日本において、しばらく影を潜めていた「組織開発」という言葉が再び企業内で認知されるようになったのは、2008年くらいと考えられます。それまで重視されてきた人材開発という個人の能力やスキル、リーダーシップを高めるアプローチに加えて、人と人との間の関係性にフォーカスを当て、チームや組織の力を高めることで、より良い価値を生み出していくことへの意識が大きく高まった時期でした。成果主義の導入やリーマンショックの影響によって、組織が疲弊していたことも背景にあったかもしれません。 2008年には、ATD(Association for Talent Development)の日本チャプターにおいて「組織開発委員会」が立ち上がり、2010年にはOD Networkの日本支部も発足しました。企業の中に「Organization Development」や「Organization Effectiveness」といった機能を持つ部署が生まれ始めたのもこの頃かと思います。私自身も、2011年にATDグローバルベーシックシリーズの書籍『組織開発の基本』(原題: Organization Development Basics)を翻訳する機会に恵まれました。 ヒューマンバリューにおいても、日本にそれまで入ってこなかった組織開発の方法論を数多く紹介させていただきました。AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)、OST(オープン・スペース・テクノロジー)、ワールド・カフェ、フューチャー・サーチなどの様々な手法を用いて、大規模なセッションや対話会を実施し、組織全体に影響を及ぼしていくラージスケール・チェンジや共創の場づくりが変革の1つのトレンドとなりました。 それから15年ほどが経過した近年、組織開発の意義はますます高まっているといえます。特に昨今は「人的資本経営」というキーワードをもとに、個人のリスキルやアップスキルが重視されていますが、その個人をパーパスやビジョンのもとに結びつけ、価値創造につなげていくのはチームや組織の力に他ならないからです。 ただし、私自身プラクティショナー(実践家)として、現場の最前線で組織変革の支援を行う中で、組織開発のあり方が十数年前と比べると、大きく変化してきていることを実感します。当たり前ですが、ビジネスの環境が変わり、働く人々の多様性も高まり、テクノロジーも進化し、組織の境界も曖昧になってきている中で、組織の価値を高めていくためのアプローチも変わっていく必要があります。 そこで本連載では、組織開発のこれまでの変遷を簡単に振り返りつつ、現在、企業内で起きている変化に目を向けながら、そのあり方を再考し、これから組織開発がどう進化していくのかの可能性を模索していきます。 第1回となる本稿では、「エンプロイー・エクスペリエンスの視点から考える組織開発」と題し、組織開発の原理・原則を働く人々の経験としてデザインし、組織開発を特別なイベントではなく、日常の習慣として実践できるようにしていくこと、そして特別なスキルや能力がなくても、誰もが自然と組織開発に取り組めるような環境をつくっていくアプローチを今後の方向性の1つとして考えていきたいと思います。
2022.12.21インサイトレポート
プロセス・ガーデニング ─ 庭師の視点で、人と組織の変化を育てる
プロセス・ガーデニング ─ 庭師の視点で、人と組織の変化を育てる 株式会社ヒューマンバリュー 内山 裕介 昨今、激しい外部環境の変化や多様な働き方の広がりを背景にして、自社における人と組織のあり方を変革していこうとする企業が増えています。一方、組織の状況や文化は、組織によって様々なものです。人材開発・組織開発に携わる人にとっては、「自社の直面している課題に、どのような取り組みを行うべきなのか」「自部署では、自分自身は、どのような支援をすればよいのか」といった、それぞれの課題に悩みながら試行錯誤されている方も多いかもしれません。筆者自身、ご一緒するクライアントの方々とともに、こうした問いに向き合い、取り組んでいる一人でもあります。 そこで本稿では、人材開発・組織開発を通して自組織に合った変化を生み出すために大切な考え方として、私たちヒューマンバリューのメンバーが礎にしている「プロセス・ガーデニング」についてご紹介します。プロセス・ガーデニングは、私たちがどの取り組みにおいても大切にしている考え方であり、今日ますますその重要性が高まっているように感じています。 日々取り組まれている人材開発や組織開発の支援のあり方について見つめるきっかけにしていただき、ご自身にとっての具体的なプロセス・ガーデニング実践の可能性を考えたり、仕事で実際に活かせるヒントを見つけていただくなど、取り組む際の参考にしていただければ幸いです。 目次 1. 人材開発・組織開発に取り組むうえで、支援のあり方を考える 2. プロセス・ガーデニングとは
2022.11.11インサイトレポート
実践者から学ぶDAO(Decentralized Autonomous Organization)型組織
株式会社ヒューマンバリュー プロセスガーデナー清成勇一 2022年に入ってから、一般のニュースなどのメディアにおいても、Web3やNFT、メタバース、DAOというキーワードをよく耳にするようになりました。筆者は、「自律分散型組織」について調査・研究を進める中で、数年前から、DAO(ダオ)に着目していました。DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、日本語では「自律分散型組織」を意味します。このDAOは、中央集権ではなく、ブロックチェーンの技術を活用して自律的に情報を管理し、不特定多数がネットワーク上でつながりながら、目的の実現に向けて運営される組織体系を指します。海外での事例が多い中、日本国内でも実践している方の声を聞きたいという想いからリサーチしていたところ、この分野の第一線で実践されている岡 崇(おかたかし)さんとのご縁をいただきました。2018年11月に、社内の研究会にて、ブロックチェーンとDAOに関するトレンドや海外事例などをご紹介いただきながら、対話をする機会をもつことができました。そして、2022年に入り、Web3やメタバースなど国内でも注目が高まりつつある中で、あらためて、岡 崇さんに約4年間の実践を踏まえて、DAOの世界観や最新事例について、アジャイルODx研究会の会合で講演をいただきました。今回の会合の目的は以下の通りです。 ・web3.0、DAO、メタバース、NFTなどのテクノロジーの最先端に触れる機会を通して、生物圏・人間圏・地球圏にいま加わった「バーチャル空間」の新たな可能性・あり方を探求するきっかけとなっている。 ・DAOやweb3.0によって、人・組織のあり方にどのような変化がもたらされるのか。そこに向けて、私たちは何を受け入れ、手放し、そして何を大切にしながら歩む必要があるのか。対話する中で、そのポイントが浮かび上がっている。 ・メタバースの世界に対応するための、心と身体の準備ができ、そこに向けて一歩歩めるようになっている。 本記事は、第1部で、アジャイルODx研究会での岡 崇さんの講演のサマリーや参加者の皆さんとのダイアログを紹介し、第2部では、私たちヒューマンバリューメンバーで対話したDAOと人・組織に関わる考察を共有いたします。
2022.10.28組織開発
コラム:ピープル・センタードの人事・経営に向き合う5つの「問い」
株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員 川口 大輔 「人」を中心に置いた経営へのシフトが加速しています。パーパス経営、人的資本経営、人的情報開示、ESG経営、エンゲージメント、ウェルビーイング、D&I、リスキリングなど様々なキーワードが飛び交う中、こうした動きを一過性のブームやトレンドではなく、本質的な取り組みや価値の創出につなげていくために、私たちは何を大切にしていく必要があるでしょうか? 学習する組織の考え方やU理論にも大きな影響を与えた元ハノーバー保険CEOのビル・オブライエン氏は、「ある介入策が成功するかどうかは、その介入者の内面の状態にかかっている」と述べ、どんな施策を行うにしても、その施策に私たちがどういう姿勢や在り方で向き合うかによって、起こる結果が大きく変わることを示唆しています 本コラムでは、人を中心に置いた(ピープル・センタード)人事・経営を目指す上ではまりがちな課題を整理しつつ、私たちがどんな姿勢を大切にしていくのが望ましいのかを「5つの問い」を設定して考察してみました。
2022.10.19組織開発
自律分散型組織で求められる個人のマインドセット変容
株式会社ヒューマンバリュー 会長高間邦男 今日、企業がイノベーションを行っていくには、メンバーの自律性と創造性の発揮が必要だと言われています。それを実現するために、先進的な取り組みを行う企業の中には、組織の構造を従来の管理統制型のピラミッド組織から自律分散型組織に変えていこうという試みをしているところがあります。それを実現する方法としては、組織の文化や思想を変革していくことが求められますし、運用面ではコミュニケーションのあり方やミーティングの進め方などの新しいプロセスを獲得していくことなどが行われています。しかし、新しいパーパスを掲げ、新しいツールを導入して変革に取り組んでも、途中で壁にぶつかり頓挫したり、後戻りをする事態が起きがちなようです。その原因の一つとしては、経営層やメンバーの個人の意識にあるメンタルモデルが変わらないことが挙げられるでしょう。本稿では、そもそも自律分散型組織がなぜ求められるのか、どのような状態を構築すればよいのかをおさらいしたうえで、組織のメンバーの意識の自己変容をいかに図ればよいのかを考察していきたいと思います。
2022.08.18インサイトレポート
主体性・創造性・情熱を解き放つオープン・スペース・テクノロジー(OST)〜人と組織の尊厳を取り戻す自己組織化のプロセス〜
株式会社ヒューマンバリュー 代表取締役社長 兼清俊光
2022.05.02インサイトレポート
今こそ必要な「アプリシエイティブ・インクワイアリー(AI)」の哲学とアプローチ
株式会社ヒューマンバリュー 代表取締役社長 兼清俊光
2022.03.17雑誌掲載記事
人材開発の潮流を踏まえ、人材開発部門の役割を革新する〜未来に価値を生み出すラーニング・カルチャーの醸成に向けて〜
「企業と人材」(産労総合研究所)2021年12月号(No. 1106)掲載 株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員 川口 大輔
2022.01.20組織開発
組織にアジャイルを獲得する〜今、求められるエージェンシー〜
プロセス・ガーデナー 高橋尚子 激変する外部環境の中で、SDGsへの対応、イノベーション、生産性の向上などの山積するテーマを推進していくには、組織のメンバーの自律的取り組みが欠かせません。そういった背景から、メンバーの主体性を高めるにはどうしたら良いのかといった声がよく聞かれます。この課題に対し、最近、社会学や哲学、教育の分野で取り上げられている「エージェンシー」という概念が、取り組みを検討する上での参考になるのではないかと思います。本レポートでは、「エージェンシー」の概念と、それを醸成する観点を紹介します。