Eラーニング

正しいLMS(ラーニング・マネジメント・システム)をどう選ぶか

現在市場に出ている113ものLMSの中から自分の会社にあったものを選ぶことは大変気力を要します。しかし、明確な基準と十分な知識があれば、それは可能となります。いえむしろ楽しくなります。

このセッションで学ぶことは:

・LMSが必要かどうかを決める方法
・要求書の作り方 ・ ショートリストの選び方と、RFPの作り方
・LMSプロバイダーの評価の仕方

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概要

講演者がEラーニング界の著名なアナリストの1人、ブランドン・ホールということもあって、400人ぐらい入れる会場の8割方は埋まっており、講義の最後の方は立ち見が出るほどの反響だった。今回のカンファレンスは参加者が少ないことから席が埋まるということはまずなかったため、ここまで人の入ったセッションは珍しかったように思える。テーマが、正しいLMSの選び方ということであり、参加者も各企業のトレーニング部門のEラーニング担当者がほとんどであった。

内容

自己紹介

Brandon-Hall.comという会社の社長を務める。Eラーニング業界のインディペンデント・アナリストであり、コース開発は一切行っていない。 Eラーニング戦略立案コンサルタント。著書に”Web-Based Training Cookbook”があるn Brandon-Hall.comという会社の社長を務める。Eラーニング業界のインディペンデント・アナリストであり、コース開発は一切行っていない。 Eラーニング戦略立案コンサルタント。著書に”Web-Based Training Cookbook”がある。

LMSとは?

■ LMSは以下の機能をオートメーション化する

・登録 ・ カタログ ・ コンテンツの配布
・クラスルームのリソース
・受講者のトラッキング
・マネジメント・レポート

■ LMSと他の要素を比較すると

・コース開発には複数のベンダーを用いることができる
・オーサリングツールとしては複数の製品を使用することができる
・LMSはひとつのベンダーを選ぶだけ

よって、組織によっては、部署間でどのLMSを使用するかの争いが起きることもよくある(LMSとLCMSの違いはLMSが、Administration、Trackingといった受講者の管理を主に担うのに対し、LCMSとは Content Store Houseである)

■ LMSの例

・Ingenium
・THINQ
・KnowledgePlanet
・Saba
・Docent

LMSのカテゴリー

■ Enterprise Level(全てのシステムを兼ね備えているが、最も高価)
■ Classroom Management System n E-Learning Launcher & Tracker(オンラインラーニングのマネジメント機能に特化している)
■ Hosted offsite(LMSを自社サーバーにインストールする必要がなく、IT部署の手をわずらわせずにすむ)
■ Competency Management System

Best Class of Enterprise and Global(Brandon-hall.comの調査より)

■ Saba n Docent
■ TEDS n THINQ
■ SmartForce
■ LearnFrame
■ KnowledgePlanet

Competency Management

■ Ingenium
■ KnowledgePlanet
■ Edcor
■ Librix Learning
■ THINQ

Classroom Management & E-learning

■ Gyrus
■ KnowledgePlanet
■ Sun Isopia
■ Ingenium n Channelwave

いかにこれらの中から自社に適したLMSを選択するかのステップ

1.Business Requirement

LMSにより何が実現できればよいのか?

・トレーニングの運営
・コンテンツ開発
・コンテンツ配布
・評価
・コンピテンシー・マネジメント

Business Requirementを立てるにあたってのヒント

・短くシンプルなものにする
・あなた自身の要求を説明する
・要求に優先順位を設ける(1人ではなく、全てのチームで合意しながら優先順位をつける)

2.Vendor Demo

・ベンダーにBusiness Requirementを送付する
・フェイスツーフェイスのミーティングをセッティングする

その目的:LMSに関するナレッジを高める
全てのチームメンバーが質問できる機会を設ける

3.Requesut for Proposal(RFP)
以下の項目についての要求仕様のアウトラインを書く

・必要とされているサービスと製品
・バイヤー側のニーズに即したサプライヤーへの要求
・選択の際の指針

Q:自分たちの会社は各部署でそれぞれ独自にLMSを選んでいる状況で意見がばらばらなのだがどうしたらいいか?
A:Business Requirementにおいて各部署でしっかりと優先順位を決め、それを部署間で調整し統合した上で、その仕様を満たす最もふさわしいベンダーを選ぶべきである。

Q:SAP等のERPベンダーも候補に挙げるべきか?
A:現在既にSAP等が自社に導入されているのでなければあまりおすすめはしない。LMSに特化していないので、Business Requirementとマッチしないでしょう。また既にERPソフトが入っている場合でも、両者は適合できるので、2つのシステムが共存していてもよい。 参加者からの意見: ベンダーを見る際は、製品やサービスだけでなく、そのベンダーの財務状況も見たほうがいい。
結局やったことがある人に聞くのが一番である

所見

来ている人のほとんどがこれからLMSを導入しようとしている企業の人だったため、講義もLMSを選ぶ際の基本中の基本をしっかりと振り返ったという感じだった。むしろ、参加者の質問に、別の既にLMSを導入したことがある参加者が自分たちの知恵を提供することで答えるという場面が多かった。ただ、参加者が次々とマイクもなしに質問をしていたため、聞き取りにくいことが多かったのが残念だった。


カンファレンスセッションの紹介:On Line Learning2001年

Brandon Hall

私たちは人・組織・社会によりそいながらより良い社会を実現するための研究活動、人や企業文化の変革支援を行っています。

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