Eラーニング

インストラクショナル・デザインについて今まで知っていることを忘れなさい

カンファレンスセッションの紹介:On Line Learning2001年

良いインストラクショナル・デザインに関する本が多くある中、なぜ、それらは感動的で意味があり、記憶に残る学習とはならないのでしょうか?多くの事例を用いたこのプレゼンテーションにおいて、マイケル・アレンはこれまでのインストラクショナル・デザインが提供してきた知恵にトマトを投げつけます。しばしば見過ごされてきた価値やプロシージャ―をあなたの現実的で楽しく成功するデザインに応用しましょう。

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概要

マイケル・アレン、及び彼の会社の従業員2人が、さまざまな事例を用いて、新しいインストラクショナル・デザインのコンセプトを説明した。200人程度は入れる会場が半分埋まっていた。セッション中は、質問に答えると、お菓子を投げるなどして、受講者を喚起していた。

内容

導入

これまでのEラーニングの教材はいくら他と違ったツールを用いてもほとんどが退屈なものであった。 その原因は、古いインストラクショナル・デザイン(以下IDとする)への信仰にある。そこで今回のセッションタイトルを”Forget What You Know about Instructional Design”として、これまでのIDの授けた知恵を否定することにする。 学習というものは知識を増やすためではなくて、学習者の行動を変化させるためにあるもの。その意味で子供の時にどのような体験も新鮮でエキサイティングしたのと同じように、学習もそういうものでなければいけない。

トレーニングのゴール

The goal = Success
トレーニングにおける成功とは、人々に、適切なときに適切なことをやらせること。これが全てであり、トレーニングとは人々が何かをできる(Able)ようになる手助けをすることである。またマネジメントの役割はそれらが実践できるような状況を導くことである。その両者はパートナーで密接に関わらなければならない。

Interactive Training Goals

・Enhance learner’s motivation to learn
もしモチベーションが高ければ、退屈なものでも進んでやる
・Focus learner on behavior-enhancing tasks
モチベートした学習者を正しい方向へと導く
・Create meaningful andmemorable experience
覚えていないようなトレーニングは時間の無駄。また、たとえ覚えていたとしても、そこに意味がないと効果がない。
・Potential Value of Expereience = M&M(Memorable and Meaningful)
IDを本からのみ学ぶと、M&Mがなくなってしまうことが、現在の大半のEラーニングが退屈な原因

Troublesome wisdom(従来のIDによる、間違った知恵)

1.Content is King
ID focuses too much on content
Key to interest: Learner
コンテンツにおいては、明確なコンセプトを提示するより、具体例を示したほうがずっと効果がある。

例 テーマ:EAP(従業員支援プログラム)に関するコンテンツ

①従来までのIDによる方法
1) Pre-test
2) What do you know about EPA?
3) When do you use it?
4) Refering to an EAP
5) Steps
6) Post-test

という流れを順番にこなしていた。コンセプトは明快でしっかりしているが、つまらない。

②M&MなIDによる方法
ケーススタディ 登場人物:マネージャー、背景の異なる部下4人

初期画面:マネージャーと4人の部下の顔をクリックすると背景が説明される。ケーススタディのテーマは、マネージャーがさまざまな状況でEAP(従業員支援プログラム)をどう理解し、どう使用するかをシミュレーションで学ぶ。具体的には、部下のAさんから、「夫婦で旅行に行きたいので、休ませて欲しい」という質問を受けたり、部下のBさんはよく働くのだけれど、遅刻が多いといった状況にどう対応するかを学ぶ 。

第2画面:部下の1人の状況が説明され(この場合Bさんの謝辞という形で)それに対応するマネージャーの行動がラジオボタンの選択式で選べるようになっている。

第3画面:最終画面で選んだ解答に対する答えとフィードバックを得られるようになっている。

このように、コンテンツにフォーカスするのではなく、Experienceにフォーカスを あてなければいけない。

2.List learning objectives
・Nobody reads the objectives
・Fail to orientate
・Fail to focus
・Fail to motivate

3.Sequence by skill hierarchy
簡単なものから順番にやっていくという形をとると、上級の人はモチベーションが下がってしまう。だから人々がやりたいような順番で学習させるべき。

4.Provide immediate Feedback
・Reduce thinking
・Artificial
・Ovely simplifies tasks
・Becoming boring
M&Mなフィードバックの例

テーマ:コールセンターの顧客応対トレーニング

再生ボタンを押すと、従業員と顧客の会話の例が話される。それを聞いて、右の評価項目(上記の他にも、説得力、効果的なリスニングなどの項目もあった)においてその従業員の対応を5段階で自分で評価づけできる。その後、エキスパートがどう評価したかが解説つきで示され、自分の評価と比較することができる。また、ひととおり、フィードバックレッスンが終わったあとは、従業員の声の変わりに、自分の声をレコードして、それを自分で聞いてフィードバックすることもできる。

ここまで示してきたように、IDをいかにMemorableでMeaningfulにするかが今後の課題となるであろう。

所見

インタラクティブなコンテンツの具体例が多く、見る側も飽きずに最後まで楽しめるセッションとなった。Experienceを重視したインストラクションのデザインは、今後非常に参考になると感じた。1時間という短いセッションであったため、事例もさわり程度しか見ることはできなかったが、EXPOでブースを出しているとのことなので、ぜひいろいろと質問をしてみたい。

私たちは人・組織・社会によりそいながらより良い社会を実現するための研究活動、人や企業文化の変革支援を行っています。

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