Eラーニング

E学習年代におけるラーニングテクノロジーの融合: そのパワーは混合にあり

数多くのラーニングテクノロジー(ウェブ・ベース・トレーニング、CD―ROM、衛星、電話回線ビデオ会議、印刷物、オーディオ、ビデオ)をプレゼンテーションや提供手段と融合させ成功した5企業のケーススタディを探求する。

・異なるタイプのプレゼンや配布手法と、異なるラーニングテクノロジーをいかにブレンドさせるのか知る
・異なるタイプの学習対象にどのようなラーニングテクノロジーが最適応するのか理解する。
・あなたの組織の必要性に応じ、ラーニングテクノロジーを融合させるため実用設計されたチップやツールを集める。

関連するキーワード

概要

E-learningを含めたラーニングテクノロジーを構築し、活用する際のポイントと具体例(成功例)を示したセッション。冒頭に概念的な説明があり、その後プレゼンターが交代し、IBM、インテルでの例が紹介された。 650人入る会場が満員で立ち見が出るほどであり、終了後は拍手がわいていた。

内容

学習技術の融合がテーマ。キーワードは「ブレンディング(Blending)」
遠隔学習、E-learningなど学習の仕方がたくさんあるが、ニーズや要求に合わせて適切なものを選び、それを融合することで結果がよくなる。 情報は配布したハンドアウトに手を加えて、WEBサイトで見られるようになっている。リンクもある。

本日のアジェンダ

・融合とは何か?
・ブレンディング(Blending)
・ブレンディングとは何か?
・ブレンディングのキーベネフィットとは何か

プレゼンター

・カレン・マンティラ:
・シャロンフィッシャー:学習デザイン、電子学習ブレンディング
・ロバートニューマン:IBM、ASTDで表彰
・ケイト・ラフィン:インテル
・Robert Klingshin:Intellinex。組織について、幹部のリーダーがブレンディングからどういうことを学習したか、上級幹部。

◇ブレンディングとは何か?
2つ以上のプレゼンテ−ションを融合させる。
webベース、サテライト、シミュレーション、オーディオ等があるが、これらは答えではない。
学習者をきちんと判別し、すばらしい学習体験を提供することが必要。
どんな技術があってどれを使えばよいのかそれが、最初にすること。
現場は様々、変化が激しい。ASTDから帰ったらもう変わっている。
そこで、最初の出発点は技術ではない。学習者のニーズをきちんと把握する。

どういったブレンディングのテクノロジーがあるか?

融合のスタイルを視覚的、聴覚的に合わせていく
すべては学習者から始まる。 誰を対象としているかを考える
電子学習、クラスルームを取ったときに自分がどう考えるか?コンピュータの電源を切ってしまいたくならないか、いかに学習者の関心をきひきつけるか、そういったことを考えて技術を組み合わせる。

組織は今現在どういったものを使えるか?

最も単純なものが魅力あるもの─忘れがち。
クラスルームをみて、今のトレーニングの状況を見て、ベースはどこか、どこを高められるか、前もって情報をどう提供できるか、今何があるかを考える。

学習デザイン

料理のレシピと同じ。
材料が適切かどうかを見る。
次に準備、 電子学習をするときにはサービス製品をつくらなければならない。 実施が重要な項目。
材料:戦略的か?……
どんな融合でも1つのものよりは複雑になる。

組織のミッションとトレーニングのアライメントを取る

企業のミッション→戦略的ゴール→企業全体に渡るコンピテンシー→パフォーマンスゴール→トレーニングストラテジー
これらのしっかりしたリンクが必要

学習目標と方法(メディア)とのリンク

学習目標:どのような学習レベルを達成しようとしているのか?(知識を得る、知らないことを知ろうとするレベル)それに対して、どの媒体を使うかを決める。
何をするかの優先順位を付ける。 ブレンディングをする用意がなければだめ。

可能性、実行できることを考える

・自分たちの組織を見る。どういったインフラがあるか、サポートができるか?それを考えた上で単純なところから始めていく。
・わかっている、証明立証済みのものを使う(うまくいくだろうというものではない)
・まず、内部でやっている。違った技術を融合するには学習管理の方法が必要。その方法、単純なアクセスデータベースシステムでもよい。学習者自身が管理しなくてもよいように、システムをシームレスにする。

メソッドとメディアを補い合う形で活用する

よいフルーツのドリンクをつくるには、通常は魚は入れない。何と何をミックスしたらよいかを考える。 どういったメディアを使うか? どのような技術をもっているか?

基本を忘れない

コンテントが健全でなければならない(ABC)

A:アクセスができるものでなくてはならない。誰でもアクセスできる、効率的、学習者は時間がない。アクセスできればできるほど学習できる。
B:有益でなければならない:適切でかつ活用できる
C:チャレンジングでなければならない。

徐々に拡大するアプローチ

昔はビッグバン的に広げようと考えていたが、それではだめだとわかった。より注意深くやっている。1つひとつゆっくり構築する。段階的に進める。テストをすることが重要。
スプリントではなく、マラソンのように長期。テストをたくさんするのが重要。

何度もテストする

有用性のテスト、システムのテスト、コンテントの有効性のテスト、インテグレーションのテストをする
プログラム、グラフをユーザーがどう見ているのか?

IBMの事例紹介:ロバートニューマン

ブレンドアプローチをマネジメント開発に使っている。
なぜマネジメント開発のプログラムを変革しようとしたか?
すべてのIBMのマネジメントについて責任をもつようにしたい。
少ない時間でトレーニングができるようになった。
国境が消え、電子スペースの中でチームを組織した。顧客に実践しているところを示す必要があった。
マネジャーの時間を有効に使う、多くのコンテンツを盛り込んで、クラスルームに拘束しないで学習できる。
プログラム全体をプロセスとして考え、コンテンツは日常の業務で使えるようにした。パフォーマンスの改善につながる。 (ビデオの紹介)

下記にある4つの階層で考えた

◇階層1:PS&Reference
ジャストインタイムでマテリアルをすぐに転送できる。40のテーマがある いろいろな国で見せることができる

◇階層2:Interractive Learning and Simulation
双方向の学習。シミュレートする。100の学習ポイントがある。

◇階層3:Learning Collaborative Learning
他のマネジャーとバーチャルなチーム

◇階層4:Experience-Based
人間の相互作用。教室で活動。もっとも大きな成果。対面型の学習。
電子学習をすることで対面学習がなくなるわけではない。より高度な面で使う。
それらを組み合わせて、新任のマネジャーに対して次のようなプログラムを提供した。


◇フェーズⅠ:ラーニングスペース
E-learning、Quick Views、Web、Simulators、Coaching、360、In-field learning、Awarnesses
いろいろなシミュレーション。
オンラインで見られる、プリントアウトもでき、ダウンロードできる。そして、職場で実践できるようにする。

◇フェーズⅡ:ラーニングラボ
5日間 新人のマネジャーは、セカンドラインのマネジャーのコーチングを受けられる。

◇フェーズⅢ:ラーニングスペース
6ヶ月の学習
E-learning、Quick Views、Coaching、Collabolation
1年:IBMのマネジャーの資格を得る。

オンラインのアプローチ

コーチングのシミュレーター。オンラインでコーチングを体験できる。
コーチとはどういうものかがわかる。
フィードバック、ボディランゲージ等もわかる。
重要なことはこれをブレンディングでしたこと(E-learningだけではない)。
オンラインと人(対面)との協力関係でやったこと。
マネジメントの開発プログラムがうまくいったのはブレンディングをしたから。

インテル

より双方向にそしてトレーニングを効果的にするには?
一貫したメッセージを受ける必要がある。webベースならば一貫した情報を提供できる。
それによって、何十万人に、情報の移転ができた。適切な情報を適切な方法で提供できた。

Web-based Trainingのベネフィット

・Availability
・Measurable retention
・Cost-effective
・Consistency
・Faster access times
・Personalized interface
・Non-linear learning
・Multiple audience
・Advanced student tracking

効果的なWBTの開発

・Develop on-line content
・Use(appropriate) multimedia
・Allow flexible navigation
・Provide student tracking

適切なメディアを使うことが大切。

アニメーションを1つ入れるだけで効果的。絵は100万語に相当する。シンプルなアニメ:テキスト3ページ分になる。
媒体をシンプルに最小限に押さえる。適切なコントラストがある。
学習者が後で参照できるようにする。 いつでもコースのどこへでもアプローチできる。フィードバックができる。
環境が孤立しているのでフィードが必要。これによって消化しやすくなる。

Summary

シンプルな形で始めて、その後、双方向に クラスルームでブレンディングができる

INTELLINEXT:Richard Klingshim
それまで2900時間を通常のトレーニングに費やしていた。またコストは1億8600万ドルを使っていた。それをe-learningに変えることで効率的に進めることができた。
具体的には、Web Based Learningに800時間。Distance Learningに200時間。クラスルーム学習に900時間となり、1000時間が必要のない時間となった。重複している学習またそれにより、5700万ドルのコストが削減された。
そして、重複していた学習を削除し、受講者は自分たちのスケジュールに合わせて学習ができるようになった。 また、ブレンド化したので先生の質に左右されない。知識を維持することができるようになった。

所見

E-learningがどうあるべきかをわかりやすく解説してくれると共に、その成功例をわかりやすく示してくれた。E-learningが導入されても対面学習がなくならないこと、E-learningは1つの手段であり、プロセスに過ぎないこと(ゴールはパフォーマンスを高める、そのためには常に学習者のことを考える必要がある)ことなど、E-learningの方向性をわかりやすく示してくれた。
また、具体的な成功例も示されており、参加した方々の理解度、納得性も高かったように感じられた。 短い時間にかなりのコンテンツが詰め込まれていた。ただし、WEBでより詳しい情報を載せているので、そちらを見て欲しいということであった。

カンファレンスセッションの紹介:ASTD2001年

カレン・マンティラ、シャロン・フィッシャー

私たちは人・組織・社会によりそいながらより良い社会を実現するための研究活動、人や企業文化の変革支援を行っています。

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