べストプラクティス共有システム:ユーザーに優しい知識共有
ASTDによるセッション紹介文
3-D Change, Inc.のプレジデント。Cap Gemini、Bell and Company、Harley-Davidson、Allied Signal Aerospaceなどのコンサルタントを行う。
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概要(参加者の人数など)
初めから参加者は少なく、30人前後だったと思われる。スピーカーは、Alcan Packagingに対し、コンサルティングを行い、Best Practiceのシェアリングシステムを導入したコンサルティング会社の3-D Change, Inc.の社長Lawrene Solow氏。このプロジェクトの中心となったEd Mathany氏が講演を行った。社長のSolow氏は非常に気さくな人物で、早めに会場に来ていた人と会話をしていた。
内容
講師のローレンス・ソーロー、エドワード・マサニーがまずBPSSの導入背景と特徴を述べた。
Best Practice Sharing System(BPSS)導入
◇背景
Alkan Packaging社では、シックスシグマを導入したものの、多くのベスト・プラクティスが共有されていなかった。価値のあるものが失われていた。
・お金がかかる
・ベスト・プラクティスをシステムに入れるにも取り出すにも時間がかかる
・なかなか良いタイミングで情報が入ってこないということから、効率的なベスト・プラクティス共有システムを導入することにした。
◇特徴
・すべてのベスト・プラクティスを載せなくても良い。(シックスシグマ中心に載せる)
・小さな部分に分解してわかりやすい形で入れる。
・Push、Pull、Interpersonalというように複数の共有の方法を入れている 基本的にはシックスシグマから出てくるベスト・プラクティスを入れる
具体的なコツとその概要
1.”Push”アプローチ
E-メールによるニュースフラッシュとハードコピーで配布される。1〜4ヶ月に1回は出される。短く、使える、新しい、というようなものが書かれている。
2.”Pull”アプローチ
・特にシックスシグマで出てきているベスト・プラクティスを拾いあげ、載せている。
・シックスシグマのエキスパートへのコンタクトリストを載せる
・コミュニティ掲示板
・質問を話し合うディスカッショングループ
・ベスト・プラクティスを利用した成功事例
・ニュースレターを蓄積
3. “Interpersonal”アプローチ
・Lunch & Learn’sという昼を食べながらの情報交換会がある。
・トピックはあらかじめBPSSのウェブサイトに載せている
・1〜15時間ほどの会合
システムの運用状況
そううまくはいかなかった。最初のうちは、予算が足りなくなったり、BPSSの必要性が薄れる、というようなことが起こったりもした。
本当にうまくいき始めたのは、このシステムを導入したということが、トップの耳に入ってからだ。Pest Practices Councilというグループが成立した。そして、彼らの活躍で、多くの地域へ広がり、シックスシグマ以外の分野へと広がった。
今では、個人の年間目標に取り入れられたりしている。イントラネットも活用されている。
事例から学べるポイント
・お金をどぶに捨てた感じがするのは、テクノロジーに無駄遣いしたのではなく、投資した後に使いこなしていないから、結果的に無駄遣いになっている。テクノロジーの部分にはお金をかけてしまっても良い。むしろ、ユーザーに使いやすくするためには、そこにお金をかけたほうがよいのである。
・ただ単にシステムを導入するのではなく、それをどう使い、コミュニケーションを図るのかという、コミュニケーション戦略が重要
・RewardやRecognitionのシステムがさらに活発化させる。
・リーダーシップからの強いサポートが必須
所見
よくレジュメがまとまっていた。E-learningは投資対効果が低いということになっているが、初めから、必要なシステムは何かという戦略をもって投資すれば、効果は期待以上になる可能性がある。また、導入した後の、制度や組織の受け皿の整備が、本当の効果発揮へとつながるということが、良く表されている事例だった。
カンファレンスセッションの紹介:ASTD2003年
ローレンス・ソーロー、エドワード・マサニー