社会課題を乗り越える、ビジネスパラダイムを問い直す 〜 山口周氏は、『GROW THE PIE』をどう読んだか 〜
“ ビジネスはその歴史的使命を終えつつある。” ― 山口 周
ビジネスパラダイムの革新に向けて
今日、「ステークホルダー資本主義」や「脱成長」といったこれからの経済のあり方や、「SDGs」や「ESG経営」といったビジネスのあり方が頻繁に議論されています。
また、多くの企業では新たな経営方針を打ち出し、単に利益や経済価値を追求するのではなく、社会価値と経済価値を統合して生み出していくビジネスへと変革を始めています。
こうした挑戦が始まる一方、これまで築いてきた従来の枠組みや固定観念を抜け出して、ビジネスのあり方を革新していくことには難しさを感じる場面も見受けられます。結果的に、従来パターンへと揺り戻しが起き、「パーパスは経営の綺麗事で、実際の業務には関係ない」というような、皮肉やあきらめの声も少なくありません。
ビジネスパラダイムを革新するには、何を為すべきか。
ヒューマンバリューでは昨年、ロンドン・ビジネス・スクールでファイナンスの教授を務めるアレックス・エドマンズ氏の著書『GROW THE PIE』を翻訳出版し、それを機に私たちの専門領域だけでなく、様々な分野の方々と垣根や境界線を超えて議論や探究を始めています。
山口周さんとの出会い
そして今回、『GROW THE PIE』をお読みいただいた独立研究家の山口周さんにインタビューと対話のお時間をいただきました。
山口周さんは、日本の大手広告会社と経営コンサルティング企業で勤めた後、人文科学と経営科学を交差させた独自の視点で、独立研究家やパブリックスピーカーとして活動されています。
これまでも多くのベストセラーを出してきた山口周さんですが、2020年に上梓した『ビジネスの未来』では、従来型のビジネスの歴史的使命の終焉を提起し、多くのビジネスパーソンにとって話題となりました。
今年4月には、新たな書籍『クリティカル・ビジネス・パラダイム』も出版され、これからのビジネスパラダイムの考察を続けています。
そうした探究の旅路の中で、昨年末、ご自身のnote(山口周研究室)の中で、『GROW THE PIE ー パーパスと利益の二項対立を超えて、持続可能な経済を実現する』を、「2023年一番の良著」としてご紹介いただきました。*
そこで今回、山口周さんにインタビューの機会をいただき、書籍の感想とともに、ビジネスパラダイムを革新するには何が大切になるのか、探究の時間をご一緒させていただきました。
そのインタビューと対話の記録を、連載記事として掲載いたします。
ぜひご一読いただき、今日の日本社会や日本企業の課題、そして、それらを乗り越えるビジネスパラダイムについて、探究をご一緒していただけたら幸いです。
山口周氏 Interview Series ビジネスパラダイムの再考
Vol.1:経済とビジネスの前提から、企業のあり方を問い直す
編集後記:ビジネスパラダイムの革新に向けて、私たちにできること
(山口周氏 プロフィール)
1970年東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。
電通、BCGなどで戦略策定、文化政策、組織開発等に従事。著書に『ビジネスの未来』(2020年、プレジデント社)、『ニュータイプの時代』(2019年、ダイヤモンド社)、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(2017年、光文社)、『武器になる哲学』(2023年、KADOKAWA)など。
株式会社中川政七商店社外取締役、株式会社モバイルファクトリー社外取締役。
出典:
* 冒頭引用『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』(著)山口 周
* note山口周 研究室 メンバーシップの掲示板にて(投稿は、メンバーシップ会員のみ閲覧可)
インタビュー(聞き手):ヒューマンバリュー 霜山 元、菊地 美希、内山 裕介
構成・編集:内山 裕介