組織開発

不確実な時代において、なぜ自律分散型組織が効果的なのか?

自律分散型組織については、1990年初頭に登場した「学習する組織」の中で、その必要性や有用性が語られて以降、変革の機運が高まり、様々なプラクティスが生まれてきました。一方、多くの企業は未だに中央集権的なマネジメント構造に基づいた組織運営から脱却することの難しさに直面しているものと思います。しかしながら、COVID-19の世界的なパンデミックをはじめ、社会的な文脈が大きく変わっていく流れの中で、これからの時代に即した組織運営の変革に取り組むことは、いよいよ待ったなしとなってきました。そこで、あらためまして、このタイミングで、不確実な時代において自律分散型組織を創っていくことの効果やその本質について考えてみたいと思います。

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取締役 主任研究員 長曽崇志

従来型の企業経営の思想やマネジメントモデルがシフトしている

社会・経済などの環境変化の影響を受けて、マネジメントモデルも変化しています。
近年では、2008年のリーマン・ショックが印象的です。サブプライムローン問題を端緒とした金融破綻の影響を受けて、その後10年間の世界の経済成長率は、リーマン・ショック前の10年間と比べて、先進国で0.6%ダウン、新興国で1.7%ダウン(IMF調べ)となるなど、下降傾向が続きました。そうした状況の中、市場原理主義(新自由主義)など既存の経済の基本思想のあり方に対する問題提起や、ポスト資本主義の議論も見受けられるようになってきました。

また、不確実な世の中の状況がますます高まり、先々のリスクが見通しづらい局面の中で、Volatility(不安定さ)、Uncertainty(不確実さ)、Complexity(複雑さ)、Ambiguity(曖昧さ)の4つの言葉の頭文字を取った、「VUCA」というキーワードが登場しました。
とはいえ、ポスト資本主義やVUCAについて、概念的には理解できるものの、当事者意識をもって実感できる人々はまだ少なかったかもしれません。しかしながら、2020年2月ごろに発見された最初の感染から急速に世界的に拡大した、新型コロナウィルス(COVID−19)のパンデミックを受けて、「ブラックスワン」ともいえる、未曾有の社会経済危機に直面した結果、私たちは身をもってVUCAを実感するとともに、これまでの生き方、働き方、ビジネスや企業経営のあり方を根本から見つめ直す動きが社会的にも広がりました。

経済思想のゆらぎとそれに伴う経営思想の変化から自律分散型組織を捉える

かつて、経済思想として新自由主義を先導した経済学者のミルトン・フリードマンは、「企業の社会的責任は、株主利益を最大化することである」と述べました。これは、長きにわたって信奉されてきた企業経営の思想で、「株主資本主義」のことを指しています。この思想に基づく施策は、短期業績に重きを置き、自由な市場競争を促進し、資本家と企業の経営層の富の増大に多大な貢献をもたらしました。
一方、その副作用として、過度な競争が実態経済と乖離したマネーゲームを扇動し、富裕層と貧困層という経済格差を世界中に生み出し、国内外の分断や地政学的なリスクを高めた側面があります。

こうした経営思想に基づいた企業マネジメントのあり方としては、株主への安定配当こそが最優先となります。そのため、いかに生産性を高め、効率的かつ迅速かつ安定的に価値を生み出すのかということに専心します。そこで、組織は機能分化した階層型の組織構造をとり、中央集権的かつ計画的に物事を進める「計画統制型」を指向する傾向が強まります。そうした組織で働く従業員には、専門性、勤勉さ、従順さが期待されます。そして、そのためのトレーニングが施され、それぞれが与えられた職務を正確かつ的確にできるようになり、皆が同じ水準で熟達していくことが大切とされます。この方法は、外部環境の変化が少なく、市場や顧客が求めるニーズがある程度一定かつ明確であれば、組織的に高い成果を挙げることができます。
一方、その弊害として、従業員の情熱、創造性、主体性は高まりづらくなり、指示されたこと以外には積極的に取り組まなくなることで、変化への対応力は下がるリスクが考えられます。

このような株主資本主義の経営思想と計画統制型のマネジメントモデルに代わって脚光を浴びているのが、「ステークホルダー資本主義」と「自律分散型のマネジメントモデル」です。
ステークホルダー資本主義とは、株主だけでなく、顧客、従業員、地域社会、取引先など、企業に関わるさまざまなステークホルダーの視点で経営のあり方を考え、彼らと有機的な連携を図っていきながら、社会の利益と企業の利益の両立を目指す思想です。フランスの経済学者のジャック・アタリ氏は、自著の『命の経済』(プレジデント社)の中で、ステークホルダー資本主義の重要性を説いています。またアタリ氏は、利己的な利他主義が大切だと述べています。利己的な利他主義とは、利他主義になるのは自分のためであるということです。自分の幸せは他者に依存しているからこそ、他人の幸福を考えることは大切であるという考え方です。このような思想は、日本でも広まってきました。事業家でベンチャー・キャピタリストの原丈人氏のアライアンス・フォーラム財団が、「公益資本主義」と呼んでその普及活動に以前から取り組んでいますが、いまアフターコロナの思想としてあらためて注目されています。こうした動きに呼応するかのように、多くの企業がSDGs(国連で採択された持続可能な開発目標)でうたわれている社会課題の解決に資する事業運営に積極的に取り組むようになったり、ESG(環境、社会、ガバナンス)を新たな経営指標として取り入れるようになったりしています。PWCアドバイザリーの調査によれば、SDGsやESGを経営方針の一環として取り組む旨を有価証券報告書に記載する日本の上場企業の割合は、3年前より15%増とのことです。これらの思想は、中長期的な視点での経営を企業に促し、社会の公器として変化に柔軟に対応しながら、ステークホルダーとの価値共創を促進するものです。

こういった経営思想に適した企業マネジメントのあり方は、自律分散型モデルといえます。なぜならば、自律分散型組織は、中長期的な価値とそこにつながる短期的な価値を位置付け、その価値に影響を与える外部環境の変化を素早く知覚するために、組織や個人が分散的かつ俊敏に動き、得られた情報をもとに公益に資する価値を創発することを意図しているからです。そうした組織で働く従業員には、情熱、創造性、主体性の高さが期待されます。そのために、従業員は自分の個人の目的意識と組織のパーパス(社会的な存在意義)を結びつけた上で、実現したいビジョンを描き、仲間と共有し合い、互いに支え合いつつ、相互学習を通じて、能力を高めていくようになります。外部環境の不確実性が高い状況でも、失敗を恐れず、ネガティブ・ケイパビリティ(曖昧さやモヤモヤを受容する力)をもって変化に適応しながら、価値を生み出していくことができるようになるのです。

反脆さを高める自律分散型のマネジメントモデルとその効果

では、自律分散型のマネジメントモデルとは、具体的にどのような形態なのでしょうか。そして、どのようなフィロソフィーや原理をもち、どのような効果があるのでしょうか。参考文献や事例を交えながら紹介したいと思います。

オリ・ブラフマン/ロッド・A・ベックストローム著『ヒトデはクモよりなぜ強い』(日経BP)では、中央集権型組織と自律分散型(本書では「分権型」としている)をそれぞれクモとヒトデに例えて、「クモは、頭を破壊すれば死ぬが、ヒトデは、切断しても、それぞれの片が独立して蘇生し、なかなか死なない」と、解説しています。その中で触れられていた自律分散型の特徴として、①小さなコミュニティでネットワーク的に動く、②特定のリーダーを決めずにコミュニティとしての共通の価値観やイデオロギーを持つ、③コミュニティ同士を繋ぐ触媒をつくる、が挙げられていました。この例は自律分散型の反脆さを表しています。

また、スタンリー・マクリスタル著『TEAM OF TEAMS』(日経BP)では、一つのチームとして動く重要性とどのようにチームをつくるのかの体験例が紹介されています。元米陸軍の司令官のマクリスタル氏は、アルカイダを討伐すべく戦っていたころ、何人も先方の上級の指導者を捕らえ、組織の弱体化を図ろうとしました。ところが、状況が一向に変わらないどころか、ますます抵抗が強まったことから、アルカイダの組織は階層型ではなく、各地でゲリラやテロを起こしながら自由自在に変化して交戦してくるネットワーク型であることに気づいたそうです。そこで、米軍側も陸・空・海兵隊各軍の縦割りの壁を取り払って自律分散型へと組織を変えることで、形勢を好転させたというストーリーが紹介されています。その中で、解説されていた自律分散型の特徴は、変化の適応力を高めるために、情報の透明性を念頭において、互いの意識を共有し、実行権限を付与するとのことでした。

企業事例としては、ゴアテックスで有名な米国のW.L.ゴア&アソシエイツ社があります。ゴア社では、イノベーティブな商品を生み出し続け、最も働きがいのある会社だと従業員に感じてもらえるよう、創業以来、マネージャーという役割を一人も置かずに組織運営をしています。具体的には、プロジェクトなどの機会に集まってきた個人が、自ら組織化するスモールチームという組織形態の中で、誰かが人々をマネジメントするのではなく、人々が自分自身を自らマネジメントするということが基本になるフィロソフィーのもとで仕事を進めています。そのため、ジョブ・ディスクリプションはなくても、取り組む目標や仕事といったコミットメントと呼ばれるものを自ら設定します。そして、一人ひとりがスモールチームの中で有機的に連携することで、自律分散的に協働しています。ただし、スモールチーム同士が連携できるよう、その接続役となるリーダーを兼務している人もいます。こうしたスモールチームの運営のポイントは、一人ひとりの情熱から始めるというベースのもと、①共通のバリューや原則を定める、②個人が社内で自分を支援してくれるスポンサーをもつ、③貢献内容と意思決定を明確化する、④互いに関わって協働する、となります。
以上の2つの書籍と1つの事例から見えてきたように、自律分散型の共通点として、決して指示命令で動かすのではなく、皆で目的を共有化し、その実現に向けての大切なバリューや原則を皆で定め、オープンかつ透明性を担保した情報共有を通じて、自律的に動くことを大切にしていることがうかがえます。

自己組織化が起きるように

こうした自律分散型を支える原理として押さえておきたいのが、自己組織化の考え方です。
自己組織化とは、あるランダム性のある構成要素が、構成要素間において何かしらの相互作用を及ぼし、影響し合うことで、自律的に秩序化・構造化する現象です。
組織の文脈においては、働く一人ひとりの従業員が、経営層や上司などからの命令や階層による権威ではなく、自らの意思と責任に基づいて行動し、皆で協働しながら俊敏かつ柔軟に対応する組織の状態を指します。ただし、自己組織化が実現すれば、フラットな組織になるというのは幻想です。実際は、自然界と同じように、自己組織化の中においても、ヒエラルキーは自然と発生します。たとえば、ある企業の社内で組織変革の推進チームAが自己組織化して最初に立ち上がったとします。その後、推進チームAの取り組みに共感し、新たに推進チームBとCが立ち上がるということもあるでしょう。この場合、Aはコアチームとして、BとCはサブチームとして機能することで、自己組織化したチーム間にヒエラルキーが生まれ、相互に有機的な連携が成されていきます。

また、元ニューヨーク大学教授のナシーム・ニコラス・タレブは『反脆弱性(アンチフラジャイル)』(ダイヤモンド社)の著書の中で、上述したランダム性をいかに担保するかの重要性を説いています。
「ランダム性はリスクを伴う。よって悪いものだ。ランダム性を取り除くにはランダム性を無くすしかない」と考えてしまいがちで、そこで「ランダム性を人工的にならそう(平準化)とすると、銀行員の収入と同じようになる。平坦で、安定しているが、破綻すると一気に脆い」状態になってしまう。「人間は、変動性を恐れ、システムを守ろうとすることで、知らず知らずのうちにシステムを脆くしてしまう」といった指摘をしています。

VUCAの時代において、混乱や衝撃を受けても壊れない「頑健(ロバスト)」なものをつくろうとすればするほど、結果的には、混乱や衝撃を受けて壊れてしまう「脆さ(フラジャイル)」を助長してしまいます。この1年の間でも、堅牢さが信じられてきた金融機関系のシステムが故障するなど、「脆さ」が露呈されてしまいました。その意味で、これからますますエントロピーが増大していく社会においては、自己組織化を意図的に活用した自律分散型の要素を組織の中に少しずつ取り入れる度合いを高めることで、混乱や衝撃をプラスに変えることをできる「反脆さ(アンチフライジャイル」を手にすることが重要になるでしょう。

実際に、いま急成長しているNetflixでは、カオスエンジンニアリングという手法で、自社の本番環境のネットワークを攻撃するソフトウェアを意図的に入れて、ランダムに障害を起こして復旧するということを繰り返す経験(小さな失敗を繰り返す)をエンジニアに積ませることで、エンジニアの「反脆さ(アンチフラジャイル)」を高めているようです。

不確実な時代への理解を深める

ここまで、企業経営の思想とマネジメントモデルがシフトしてきた背景、自律分散型の企業マネジメントモデルの度合いを高めていくことの重要性、自律分散型組織の効果について説明してきました。
実際、コロナ以前からも、自律分散型のマネジメントモデルを組織の中で適用し、実践されている事例がいくつもあると認識しています。たとえば、ホラクラシー、スクラム、ティール組織などが挙げられます。しかし、「言うは易く行うは難し」であるのが実情のようです。その理由と対応のポイントについて理解するうえで、不確実な時代を生き抜くにあたり、現実の状況の複雑さに応じた意思決定を助ける「カネヴィンフレームワーク」というモデルが参考になります。

カネヴィンフレームワークとは、シンガポールに拠点を構えるコンサルティーグファームであるコグニティブ・エッジ社のデーブ・スノーデン氏が開発したものです。このモデルでは、状況の複雑さの度合いを5つの領域−自明系、煩雑系、複合系、混沌系、無秩序−で表しています。そして、自明系と煩雑系を合わせて、「秩序系」と呼び、複合系と混沌系を合わせて、「非秩序系」と呼んでいます。
秩序系は、問題や状況の構造が秩序立っているので、観察、あるいは、一定の調査や分析があれば、最適解を見つけることができるものです。その中の自明系は、誰がみても原因と結果の関係がシンプルで、一目瞭然でわかるものなので、これまでの経験に基づいたベストプラクティスで対応することができます。

煩雑系は、原因と結果の関係が複数あるなど、自明系ほどシンプルでないため、整理・分析が必要となります。必要に応じて専門家の力を借りたり、PDCAサイクルを回したりすることで、ベタープラクティスを徐々に見出しながら対応することができます。
一方、非秩序系は、問題や状況の構造が秩序立っていない(わからないことやわかり得ないことが多い)ため、観察や分析だけでは原因と結果の因果関係は解明できず、実際にアクションを起こしてみて、後からわかることが多いものです。つまり、秩序系と違って最適解を見出すことができないのです。
非秩序系の中の混沌系は、その名称の通り、原因と結果の因果関係の解明が不可能な状況です。私たちが新型コロナウィルスに直面した最初のころを思い出してみると、すぐにイメージができるかと思います。コントロールが効かず、次に何が起こるかがわからない危機的な状況です。そのため、まずは損失回避や混乱収束の対応が急務となります。
非秩序系の中の複合系は、私たちが一般的によく呼ぶ複雑系のことを指しています。状況が複雑に絡み合っており、整理・分析しようとしても、原因と結果の因果関係がわからない状況です。予測が困難なため、経験的な定石やベストプラクティスは通用しません。そこで、何よりも実験が奨励されます。そして、致命的なダウンサイドリスクは抑えつつも、安全な失敗経験を積み重ねながら、徐々に問題や状況の構造を明らかにしていく対応が大切となります。具体的なアプローチ例としては、OODA、デザインシンキング、システムシンキング、シナリオプランニングなどが挙げられます。

そして、最後の無秩序とは、どのような性質の状況か判断しかねるときに、一時的に保留して置く場所です。実際には、まず問題状況に直面した際は、自分のバイアスを避け、ゼロベースで現実を捉えるという意味でも、無秩序からスタートするということが大切です。
以上のカネヴィンフレームワークの説明にあるように、私たちは動的に変わり続ける不確実な現実の中で、人間のバイアスがもたらす限定合理性の枠組みに気づき、それぞれの問題状況の本質を捉えながら適切な対応のポイントを踏まえ、日々の意思決定の質の向上を目指していくことが求められます。

出典:『不確実な世界を確実に生きる ― カネヴィンフレームワークへの招待』 (Evolving)コグニティブ・エッジ/田村洋一を参照し、H Vにて編集

不確実さを味方につけて、自律分散型のマネジメントモデルを効果的に運用する

過去に秩序系の状況において、計画統制型のマネジメントモデルを適用して成功体験をしてきた企業ほど、目の前の状況が、自律分散型組織としての対応が求められる複合系が変わっても、以前の成功体験をそのまま当てはめようとしてしまう「経路依存性」があります。
「経路依存性」とは、決まったやり方や進め方といった、組織の中に内在化された強固なルーティンが新たな組織行動を制限し、従来通りに物事を進めようとする作用をもたらすシステムのことを指します。たとえば、ある企業では、0から1を生み出す新規事業創出を推進しようとする際、初期の段階から、ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)に基づいた厳密な投資回収計算や精緻な事業計画の策定を求めてしまうことで、新規事業が萌芽しないまま頓挫してしまうということがありました。その企業の歴史を紐解けば、変化の波に翻弄されて混沌系の状況に置かれたことも幾度もあったかもしれませんが、そうした経験の積み重ねが、むしろより安定成長を求め、組織内のガバナンスを強化するといった内向きのエネルギーを生じさせてしまったのです。そのため、VUCAのように最適解を見出すことができない非秩序系の状況に置かれたとしても、秩序系の状況認知センサーが瞬時に作動し、ベストプラクティスを当てはめ、PDCAをさらに高速に回そうとして、結果的に受け身的に反応するシステムの囚人になってしまいました。

また、もう一つありがちなケースとしては、秩序系の中の煩雑系の問題状況に遭遇した際に、本当は専門家に相談すれば、すぐに最適解がわかるにもかかわらず、「今の時代はVUCAだから直面する問題状況は常に複合系に違いない」と思い込んで、皆で車座になってシステムシンキングを用いながら対話をしてしまうことで、本来必要のなかった工数が掛かってしまったという話もあります。

そこで大切なことは、いま組織が直面している状況の複雑さを観察したときに、どの系に相当するのかを見極め、その系に即した選択肢を取ることです。自明系や煩雑系であれば、自律分散型よりは計画統制型の対応のほうが効果的ですし、複合系や混沌系であれば、自律分散型の対応のほうが効果的です。いたずらに自律分散型組織にすればよいというわけではないのです。

ただし、VUCAにおいては、状況は刻々と変わりますので、たとえば、当初は混沌系で因果関係の解明が困難だったものが、行動していく中で、徐々に複合系の状況へと変化することもあります。また、複合系で試行錯誤を重ねる中である程度プランが立てられるほど、原因と結果の因果関係が見えてきたら、煩雑系の状況としてPDCAを回します。そして、PDCAを回しながら、ベストプラクティスが確立してきたら、それは自明系の状況として捉えます。
このように動的な状況や文脈の変化を観察し、それに合った施策を講じていく目を組織的に養っていくことが、自律分散型マネジメントを効果的に運用する上での重要なポイントになるのではないでしょうか。

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