北欧の人づくり研究会の概要
ヒューマンバリューでは、北欧の人材開発の取り組みや企業でのイノベーションの取り組みをヒントとして、これからの人材開発や組織開発、イノベーションに関わる新しい思想や方法を検討することを目的として、「北欧の人づくり研究会」を開催することにしました。
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研究会の趣旨
21世紀になって、企業の求めるものが成長だけでなくサステイナブルな社会を生み出すことに貢献する方向へと変化してきています。そして、人材開発・組織開発においては、目指すパフォーマンスも業績だけでなく、人々の自立性の向上やソーシャルキャピタル(社会関係資本)の充実へと広がってきています。そうした目的を実現するためには、新しい思想や原理が必要であるとともに、新しい方法論・手段が求められます。
そこで、私たちは、日本型や米国型とまったく異なる人材開発と、米国型でも英仏独型でもないリーダーシップに基づく組織展開が行われている北欧について研究する価値があるのではないかと考えます。
具体的には、経済の側面では、イノベーション力を見ると、世界のイノベーション指数(INSEAD調査2011)で、2位スウェーデン、5位フィンランド、6位デンマークとなっています。また、国際競争力ランキング・国別順位(世界経済フォーラム2011年)では、3位スウェーデン、4位フィンランドとなっています。
さらに、一人当たりのGDPを見ると、IMFの2010年調査ではノルウェー2位、デンマーク6位、スウェーデン8位、フィンランド14位といずれも日本の16位より高くなっています。
政治の側面では、市民の政治参加の意識は、投票率をとってみても85%(デンマーク)と高く、コミュニティも発達しており、民主主義の成熟度は高く評価されています。
教育の側面では、OECD生徒の学習到達度調査(PISA)でも、フィンランドは常に上位ランキングにあります。
人材育成の側面では、成人の科学技術リテラシー(科学技術に関する意識調査平成13年)は1位スウェーデン、3位フィンランド、4位デンマークと高くなっています。また職業訓練校のプログラムの充実さとその後の就職率には目を見張るものがあります。
こういった背景には、日本と異なる国の規模だからこそできる全国民との合意形成と、それに基づく政策や社会システムの構築のせいだという意見があります。確かに北欧の学校教育システム、職業訓練校、人事制度とも、そのまま日本の参考になるというものではないでしょう。しかし、北欧のシステムを研究することにより、私たちは日本の人材開発・組織のあり方の思想や方法論を見直す際のヒントを得ることができるのではないかと思います。
ヒューマンバリューでは、北欧の人づくり研究会を開催することで、日本の企業、行政体のみなさまと共に、人材開発、組織・リーダーシップのあり方、コミュニティ活動、生涯学習、学校教育などの分野にわたって、新たな知識を生成していきたいと考えます。